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『若者のすべて』(フジファブリック)の音域と感想

 こんにちは。今回はフジファブリックの『若者のすべて』(2007)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『若者のすべて』(フジファブリック),Wakamono no Subete(Fuji Fabric)


【地声最低音】mid1A#(A#2) 

★真夏のピークが去った m1A#[て]んき予報士がテレビで言ってた


【地声最高音】mid2G#(G#4)  ※曲全体を通して1か所のみ

★ mid2F[僕]らは変わるmid2G#[か]2F[な](ラストサビ)



【補足】mid2F,mid2F#の箇所

★夕方5 mid2F[時]のチャイムが(Bメロ)
mid2F[何]年経っても思い出し2F[て]2F[ま]mid2F#[う]2F[な](サビ)
★まぶた閉じ2F[て]浮2F[か]2F#[べ]2F[てい]るよ
★すり[ー]むいたま[ー]ま 僕はそ[っ]と歩き2F[出し]2F#[て](Cメロ)


『若者のすべて』(フジファブリック)










 まず、『若者のすべて』についてです。この楽曲は2007年にフジファブリックによりリリースされたシングル作品です。当時は4人組バンドとして活動されていました。
 『若者のすべて』については大きなタイアップなどは無かったのですが、他のアーティストにカバーされたり、ドラマのワンシーンで流れるなどし、10年間かけて知名度を高めていきました。2018年にLINEモバイルのCMで使用されたことも楽曲が知られるようになった大きな一因だと思います。
 フジファブリックのYouTube公式チャンネルでもMVが公開され、2019年5月現在、1600万回もの再生回数を記録しています。フジファブリックの作品の中では、非常に知られたナンバーだと言えます。

 『若者のすべて』のサウンドについてですが、ピアノのイントロが印象的であり、全体として重要な役割を果たしていきます。「夏の終わりの花火」が一つのモチーフになっており、楽曲全体を通してしっとりした雰囲気です。バンドもそうした雰囲気を醸し出すように、演奏されていきます。メロディーも非常に美しいのですが、歌詞のある「ぼんやりした微睡(まどろみ)のような雰囲気」をボーカルの志村正彦さんが上手く表現しています。

 歌詞についてです。先に述べましたように、「夏の終わりの花火を見て感傷的になっている僕」が描かれています。その中で、「ここにいない君」を思い続けている内容です。ちなみに歌詞に中には「君」は登場しません。しかし、そうした直接的な表現が無くても「ここにいない相手」を思わせる表現が練り込まれています。そうした婉曲的な表現が、長く愛される一つの秘訣になっていると思います。

 個人的に好きだと思ったフレーズは「ないかな ないよな きっとね いないよな 会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ」です。感傷的になっている「僕」の心の揺らぎが巧みに表現されている素晴らしいフレーズだと思います。少し野暮ですが、私なりに解釈して行間を埋めるとすると、「君に会えないかな、会えないよな、きっと会えないよな、けど、会えたら言えるだろうか」といった感じです。短い文章の中で、主人公の心の微妙な動きが映し出されます。





 さて、『若者のすべて』の音域ですが、【地声最低音】mid1A#(A#2) 【地声最高音】mid2G#(G#4) でメロディーが構成されております。おおよそ一般的な男性の音域であると思います。

 まず、Aメロについてですが、mid1A#など低音部が続きます。高音域が得意な人はその辺も非常に気をつけてください。もしかしたら、高音域が得意な男性の場合はキーを少し上げた方が歌いやすいかもしれません。

 高音域についてですが、mid2F,mid2F#といった音階を中心にサビが作り込まれています。この音階は一般的な男性の音域であり、歌い慣れてくると多くの人が届きうるキーです。少しずつ練習してください。最高音であるmid2G#はラストのサビで1箇所だけ登場します。

 一方で、『若者のすべて』はサビでのメロディーの上下も激しい印象です。高音部だけでなく、メロディーが上手く取れているかも意識づけてください。メロディーが捉えにくい楽曲ですが、慣れてくると上手く歌えると思います。

 キー自体は必ずしも高くないので、音域的には努力が報われやすい楽曲なのではないかと思いますが、個人的にはサビの上下移動が激しく、見た目以上に難易度が高い印象でした。その中で、槇原敬之さんのカバーが素晴らしかったので、非常に参考になりました。気になる方は槇原敬之さんのカバーをチェックしてみても良いと思います。

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