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『靴の花火』(ヨルシカ)の音域と感想

こんにちは。今回はヨルシカの『靴の花火』(2017)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『靴の花火』(ヨルシカ)、Kutsu no Hanabi(Yorushika)

『靴の花火』(ヨルシカ)






【地声最低音】mid1G(G3) ※A、Bメロで頻出

★ねぇ ねぇ 何m1G[か]言おうに[も]言葉足らずだ(Aメロ)
m1G[わ]すれていくこと[は 虫が]食べ始め[た]結果だ(Bメロ)


【地声最高音】hiB(B4)  ※サビで頻出

★夕暮hiB[れ]hiA[た][そ]らを[飛ん]hiB[で] (サビ)


【裏声最高音】hiE(E5) ※各サビで1回ずつ


★きhiA[み]の居hiD裏[たま]hiE[ち][だ]


【補足】サビでの注意箇所

hiB[次]hiA[第][小][く]hiD裏[なっ]hiB[てくの][は](サビ)
hiB裏[だ]hiC[なん]hiB[て]hiA[も]
★そhiA[ん]hiB[な]hiC[な][つ][が][え]
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 まず、『靴の花火』についてです。この楽曲は2017年に、音楽ユニットのヨルシカによりリリースされた楽曲です。アルバム『夏草が邪魔をする』に収録されました。そのアルバムの発売に先立ち、この『靴と花火』がヨルシカのYouTube公式チャンネルで動画が公開されました。公開されたMVは2019年8月現在、1100万回もの再生回数を記録しています。

 『靴の花火』のサウンドについてです。クリーンなギターの音色が基調となったミディアムテンポのバンドサウンドです。ギターの音色も非常に美しいのですが、Bメロのベースのフレーズも個人的には好きです。また、サビ、2番のBメロで使われるアコースティックギターの音色も耳に残ります。スピッツやあいみょん辺りが好きな人は、こうした構成は非常に耳馴染みするのではないかと思います。
 
 歌メロディーについてですが、 AメロBメロサビの構成で、AメロBメロが静、サビの動という感じでジャンプアップしていきます。一般的なJ-POPなどで見られる馴染みやすい構成であると思います。AメロBメロは低音部分が続きます。細かい部分は後述しますが、地声最高音があまり高くないので、普段歌い慣れてない人であっても、手を付けやすい部分があると思います。

 
 『靴の花火』歌詞についてです。ヨルシカの作品群は「死」を漂わせる歌詞が魅力の一つですが、本作ではタイトルでその傾向が見られます。作中では「靴の先に花が咲いた 大きな火の花が咲いた」とあります。「僕」は空を飛んでいますので、花火を見下ろしていることを間接的に示しています(私はそう解釈しています)。全体として暗めの内容であると言えますが、そうした世界こそが魅力の一つでもあると言えます。

 印象的だと思ったフレーズは1番Aメロで登場する「忘れていくことは虫が食べ始めた結果だ 想い出の中じゃいつも笑ってる顔なだけ」というフレーズです。個人的な解釈ですが、「時間の経過とともに記憶が薄れていく」ことを「虫が食う」という表現と繋げた点は秀逸だと思いました。
 また、自分自身を「ヨダカになれない」と歌っているいう点も、自身の中途半端さやちっぽけさを上手く表現していると思います。
 ちなみに「ヨダカ」は宮沢賢治の短編小説『よだかの星』からの引用です。MVでもその一節が登場します。ざっくりあらすじを言うと、「虫を食料として生きている自分に嫌気が差したヨダカ(夜鷹)が、命を振り絞って夜空を飛び、ついには星になった」というものです。こうした物語と対比して、『靴の花火』で登場する「僕」は「ヨダカにさえなれない」と歌っています。



 さて、最後に『靴の花火』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3)~【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiE(E5)でメロディーが構成されております。裏声の部分を除けば、一般的な女性の音域の範囲内であると言えます。

 まず、地声最低音についてですが、AメロBメロに登場します。『靴の花火』はAメロBメロが静で、サビが動といった歌メロディーです。 AメロBメロは声が低めで、高音域が得意な人は少し苦労するかもしれません。

 次にサビ部分についてです。ここで地声最高音のhiBや裏声のhiEなどが登場します。hiBは一般的な女性にとっては必ずしも高い音階ではありません。多くの人が歌いこなせる可能性が高い音階であります。ただ、普段歌い慣れていない人は、スムーズな発声が損なわれうる音階でもあります。歌う習慣があまりない人は、練習を重ねることが重要です。
 その点で、この『靴の花火』は報われやすい楽曲でもあると思います。ただ、この楽曲はただhiBがサビで登場するだけでなく、時々裏声交じりで高音部を歌唱する必要もあるので、その点で少しだけ難易度が上がります。音域的に考えると、練習曲としても扱いやすい楽曲なのではないかと思います。
 
 逆に、高音域が得意な人は、全体として少しキーが低く感じるかもしれません。その場合、キー調整しても良いと思います。

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