J-POPの音域を調べる

J-POPを中心にボーカルの音域を調べていきます。楽曲の感想なども述べています。

J-POPを中心に歌メロディーの音域を調べ、楽曲の感想なども述べていきます。カラオケや歌ってみたなどに役立てて頂ければ幸いです。

ボカロ作品

『命に嫌われている』(初音ミク[カンザキイオリP])の音域

 こんにちは。今回は初音ミクの『命に嫌われている』(2017)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。

 なお、添付動画としてボカロの原曲と、歌い手のまふまふさんが歌唱されているバージョン2つを添付いたします。


『命に嫌われている』(初音ミク[カンザキイオリP])、Inochi ni Kirawareteiru(Miku Hatsune[Kanzaki Iori P] )


【地声最低音】mid1G(G3)  

★そんな歌が正しいなんてm1G[馬鹿]げてるよな
m1G[周]りが死んだら悲しくて


【地声最高音】hiG(G5)  ※サビやCメロを中心に登場

hiC[簡]hiG[単]hiE[に]hiD[電波で]E[な]D[がし]C[た](サビ)
hiG[ぼ]hiE[くらは]hiD[命]hiC[に]D[嫌わ]hiE[れ]D[て]C[いる]

hiC[変]hiG[わらず誰]hiE[かがど]hiD[こ]hiC[かで]D[死]E[ぬ](Cメロ)
hiC[君]hiG[が生きて]hiE[いた]hiD[なら]C[それ]D[で]E[いい]

hiC[こ]hiG[ろし]hiD[て]  C[あ]hiE[がい]D[て]  (ラスト)
hiC[生]hiG[き]hiD[ろ]




【補足】hiChiEの注意箇所

★僕hiC[らは]hiD[命に嫌わ]C[れ]D[てい]hiE[る] (サビ)
hiC[価値]hiD[観もエゴも押]hiE[し]D[付]C[けて]
hiC[軽]hiD[々しく命]C[を]D[見]C[てる] 

hiD[ずっと一人で]hiC[わ]D[らえ]hiE[よ](2番サビ直前)
hiE[愛]hiD[情]E[も]  hiD[ゆうじょ]hiC[うも](Cメロ)
★滑hiC[稽な夢のたわ]hiD[むれ]hiE[で]  
hiC[全]hiD[部カネ]C[で]D[買える]E[し]D[ろ]C[もの]

hiE[そう]hiC[だ]。  C[本]hiD[当]E[は]
hiD[そういうこ]hiC[とがう]D[たい]hiE[たい]



『命に嫌われている』(初音ミク[カンザキイオリP])









 まず、『命に嫌われている』についてです。この楽曲は、2017年にカンザキイオリさんにより制作、リリースされたボカロ作品です。ニコニコ動画などで多くの再生回数を記録し、歌い手のまふまふさんなどにもカバーされました。
 初音ミクバージョンのオリジナルは、2020年3月現在、YouTubeで1200万回以上再生され、まふまふさんによりカバーされたバージョンは6000万回近くの再生回数を記録しています。最近のボカロ作品では非常に人気の高い1曲なのではないかと思います。

 『命に嫌われている』はピアノのイントロから始まるロックナンバーです。途中からストリングスが加わり楽曲を盛り上がて行きます。
 歌メロの特徴についてですが、サビ直前までは比較的低めの音域で歌われ、サビから急激にキーが上がり、hiG,hiEといった音階が多く登場します。恐らく原曲キーで歌唱できる人はごくごく一部の方に限られるのではないかと思います。ちなみに、サビメロについてはヨナ抜き音階で作られております。この『命に嫌われている』も非常に人気を集めていますが、最近のヒット曲ではヨナ抜きで作られることが増えたように感じます。

 




 さて、『命に嫌われている』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3) ~【地声最高音】hiG(G5)で歌メロディーが構成されております。一般的な人の音域よりもかなり高いです。以下、見ていきます。

 まず、サビの直前までは比較的低い音程で歌メロが作られています。大体mid2Eくらいです。サビの直前からhiGなどの高音域が連発されるようになります。

 ちなみに、歌い手のまふまふさんはCメロについては、裏声を多用しており、サビとの違いを強調しています。実際に歌唱する際は、ボカロではなく、まふまふさんなどカバーされている『人』のニュアンスなどを参考にした方が良いと思います。また、カバーされる方によってキーが各々異なりますので、その辺りも参考になります。

 『命に嫌われている』は高音域が非常に高く、音域も広いため、キーの調整は難しいです。ある程度歌い慣れた人であれば、ちょうど良いキーを見つけること可能であると思います。ただ、キー調整を行ったとしても、普段歌い慣れていない人にとっては非常にハードルが高いです。その点は留意しておいてください。

 私なりに考え、実践していることなのですが、ボカロなどの作品を歌う際は、「自分が大体どのキーを歌いこなすことができるか」、「どのキーならば自分の声質が活きるか」などを把握しておいた方が良いと思います。最近はスマホにボイスレコーダーなども付いております。また、ピアノアプリなどもあるため、自分がどのキーを歌いこなせるかといったことも特定しやすいです。自分の声の特徴や、課題などを把握したうえで、ボカロ作品のキー調整を行うと良いと思います。

 例えば、『命に嫌われている』の場合、1オクターブ下げて歌った方が歌いやすい男性もいると思います。私自身は、この楽曲についてはチャレンジしたことは無いのですが、音域を見る限り、原曲キーから2~3つ上げて、1オクターブ下を歌唱するのが目安になりそうです。女性だともっとキーを上げても良いかもしれません。

 ボカロ作品は全体として難易度が高い作品が多い印象です。練習する際は、比較的歌いやすい別の曲と並行してチャレンジした方が良いのではないかと私は考えております。

『千本桜』(初音ミク)の音域

 こんにちは。今回は初音ミクの『千本桜』(2011)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回は自選曲です。当ブログでは、これまでシャルル『からくりピエロ』『恋愛裁判』ドーナツホール『マトリョシカ』『砂の惑星』でボカロPのセルフカバーバージョンを取り上げてきました。ただ、今回は初音ミクということで初めてボカロ名義の作品になります。

 動画としては、初音ミクver.と、和楽器バンドver.も添付いたします。どちらもキーは同じです。


『千本桜』(初音ミク)、Senbonzakura(Miku Hatsune)


【地声最低音】mid1G(G3)  ※Bメロ

★環状線を走り抜m1G[け]て 東奔m2G[西]走  なんのその


【地声最高音】hiE(E5)  ※転調後サビ

★千hiA[本ざ]hiB[くら よ]hiD[る]hiE[に]A[ま]B[れ]
★さあhiC[光]hiB[線]hiA[銃]A[撃]ちhiB[ま]hiD[く]hiE[れ]




【補足】mid2G(一部略)hiDの注意箇所

★大胆不敵m2G[に] ハイカラ革命 (Aメロ)
★らいらいらくらm2G[く]hiA[反]G[戦]国家
★少年少女戦国無双 浮世のまにm2G[ま]に(Bメロ)

★千m2G[本ざ]hiA[くら よ]hiC[る]hiD[に]m2G[ま]A[れ](通常サビ)
★そのhiA#[光]hiA[線]m2G[銃]G[打]hiA[抜]hiC[い]hiD[て]
★そのhiA#[断]hiA[頭]m2G[台]G[飛]A[び]G[降]A[りて](転調直前)

★君hiA[がう]hiB[たい ぼ]hiC[く]B[は]A[おどる](転調後サビ)

『千本桜』(初音ミク)









 まず、『千本桜』についてです。この楽曲は、2011年に黒うさPにより制作、リリースされたボカロ作品です。演歌歌手の小林幸子さんが紅白歌合戦でカバーしたり、CMで使用されるなどお茶の間でも多く流れた楽曲です。もはやボカロファンのみならず、一般の方にも広く知られているボカロ曲の1つなのではないかと思います。
 『千本桜』は原曲のみならず、カバーも人気が高いです。原曲はYouTube公式チャンネルで1000万回超、和楽器バンドのカバーバージョンは1億回以上の再生回数を記録しています。

 『千本桜』は疾走感あふれるロックナンバーです。ピアノのイントロが非常に印象的です。ラストのサビで転調、歌メロがヨナ抜き音階、AメロBメロサビのメロディー構成など多くの人に馴染みやすい要素が詰められていると思います。

 『千本桜』の音域的な特徴についてです。先にも述べましたが、この楽曲はラストのサビで転調し、キーが2つ上がります。その点は歌唱の際に注意してください。一方、ボカロ曲としては比較的抑え気味の音域で制作されております。女性キーとしては少し高い部分もありますが、原曲キーで歌唱できる女性も一定数居るのではないかと思います。ちなみに、和楽器バンドは原曲キーでカバーしております。





 さて、千本桜の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3)~【地声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域よりも高いです。以下、見ていきます。

 まず、AメロBメロについてはあまり高い音階は登場しません。大体hiAが一番高い部分です。この辺りも丁寧に歌唱していきたいところです。

 地声最高音hiEは転調後のラストサビで登場します。転調によりキーが2つ上がるので、通常サビではhiDが最高音になります。高いキーが得意な方ならば歌唱できると思いますが、高音域が難しい方の場合キーを下げても良いのではないかと思います。原曲キーから2つ程度下げると、地声最高音がhiDに調整されます。

 『千本桜』は女性の作品としては声域が広めです。キーの調整は可能なのですが、大きくキーを下げたりすると、低音部分が歌いにくくなる可能性もあります。よって、普段歌い慣れていない人などは、キー調整を行ったとしても歌いにくい部分が出てきます。その点では、融通が利きやすい曲とはいえませんので、留意しておいてください。

 『千本桜』は滅茶苦茶に難しい曲では無いですが、多くの人が手軽に歌いこなせるような難易度ではありません。ただ、多くの人に知られている作品の一つでもあり、TPO関係なく歌いやすい楽曲なのではないかと思います。

『シャルル』(須田景凪【バルーン】セルフカバー)の音域

こんにちは。今回はボカロPのバルーンこと須田景凪(すだけいな)さんの『シャルル』(2016)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『シャルル』(須田景凪【バルーン】)、Charles(Keina Suda【Balloon】)


【地声最低音】mid1C#(C#3)  ※Bメロで1回

★空っぽでいよう それでいつm1C#[か] 


【地声最高音】hiA#(A#4)  ※1,2番のサビで1回ずつ

★愛を謳っhiC#裏[てう]たっhiC#[て]hiA#地[く]m2F[もの上]ぇぇ


【裏声最高音】hiC#(C#5) ※サビで頻出

★愛を謳っhiC#裏[てう]たっhiC#[て]hiA#地[く]m2F[もの上]ぇぇ(サビ)
★濁りきってはm2F[見]hiC#裏[え]hiC[な]m2F[いや]
※語っhiC#[て]語っC#[てよ]るの群れ
☆譲り合ってなm2F[に]hiC#[もな]F[いな](2番サビ)

※の部分を含め、サビの象徴的なフレーズはカラオケでは【C#[て]hiA#[よ]で統一されています
☆の部分はボカロの原曲、歌い手、カラオケなどはm2FhiC#hiCm2Fという形で歌唱されており、セルフカバーのみ微妙に音程が異なります。




【補足】mid2Fmid2G#辺りの注意箇所

★ そm2G#[れ]m2F[な]のに頬を濡らしてしまうの(Aメロ)
★そうやって昨日の事も消してしm2F[まう]なら
★こんm2F[な]風に悩F[め]るのかな(Bメロ)

m2F#[い]m2F[や]F#[い]F[や]F#[い]F[や] ah ah ah F[ah](サビ)
★遠く描いてm2F[た]m2F#[日]F[々]

★ねえ そうでm2F[しょ](2番Aメロ)
★きっときっとわm2F[かって]いた(Cメロ)
m2F[騙]m2F#[し]合うなんて馬鹿らしいよm2F[な]
★そうだろう 互いm2F[の]せいで今F[が]あるのに

☆の部分については、ah ah ah は歌詞表記はありませんが、重要だと考え記載しました。

『シャルル』(須田景凪【バルーン】セルフカバー)










 まず、バルーンこと須田景凪(すだけいな)さんについて少し説明します。須田景凪さんは2013年より活動するシンガーソングライター、ボカロPです。2013年よりボカロPのバルーンとして楽曲投稿をはじめました。2018年より、須田景凪としてシンガーソングライターとしても活動を開始いたしました。アニメ等でもタイアップが増え、思い入れのある人も多いと思います。

 さて、『シャルル』についてです。この楽曲は、2016年にボカロPバルーンにより投稿されたボカロ作品です。程なくして、須田景凪さん自身もセルフカバーし話題を呼びました。Youtubeで公開されている楽曲はボカロ曲が2000万回強、セルフカバーバージョンは5000万回弱の再生回数を記録しています。また、同曲はカラオケでも多く歌唱されており、年間ランキングで上位にランクインしています。バルーンさんの代表的な作品であり、またボカロ楽曲の中でも近年特によく知られた楽曲の一つといえると思います。

 ちなみに、『シャルル』はフランスの男性名であり、英語圏ではチャールズになります。私自身としては、シャルルと聞くとフランス人歌手のシャルル・アズナヴールを連想します。アズナヴールの楽曲『She』はCMなどでも非常に多く起用され、日本人にもなじみ深い作品です。
 
 『シャルル』は疾走感のあるバンドサウンドです。ボーカルの音域的には、地声最高音がhiA#であり決して低くはないのですが、ファルセット(裏声)がある程度こなせるならば、このhiA#を回避することも可能です(詳細は後述)。そこを除けば、地声音域は決して高くはありません。mid2G,mid2Fあたりを確実にこなしていきたいところです。






 さて、『シャルル』 の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)~【地声最高音】hiA#(A#4)、【裏声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されています。一般的な男性の音域よりもやや高いです。以下、見ていきます。

 まず、裏声最高音hiC#はサビで登場します。【愛を謳っhiC#裏[てう]たっhiC#[て]】と急激に音域が上がりますので、しっかり練習しておきたいところです。

 一方、地声最高音hiA#も同じくサビで登場します。【愛を謳っhiC#裏[てう]たっhiC#[て]hiA#地[く]m2F[もの上]ぇぇ】の部分です。この部分ですが、【愛を謳っhiC#裏[てう]たっhiC#裏[てく]m2F[もの上]ぇぇ】という風に、hiC#で繋げてもあまり違和感はありません。原曲においても、須田さん自身がラストのサビで後者②のように歌唱しております(1,2番サビの最初は①で歌唱)。歌い手のカバーでも後者②で歌唱されているものがかなり多いです。よって、後者②で統一しても違和感は少ないです。ただ、カラオケ採点では前者①統一されていますので、カラオケで高得点を目指す方は前者①で歌唱してください。



①【愛を謳っhiC#裏[てう]たっhiC#[て]hiA#地[く]m2F[もの上]ぇぇ】
②【愛を謳っhiC#裏[てう]たっhiC#裏[てく]m2F[もの上]ぇぇ】⇐こちらでも違和感ない

_______


 これらを踏まえると、『シャルル』ではmid2G,mid2F当たりのキーを安定的に歌唱できることが求められます。これらは一般的な男性の音域の範囲内ですので、少しずつ練習を重ねてください。
 ただ、『シャルル』では先にも述べましたように、裏声と地声の急激な変化などが求められ、決して難易度が低くありません。また、楽曲のテンポも速めです。キーを調整して練習することも可能ですが、歌い慣れていない人の場合、つまづくことも十分にあり得ます。
 別の曲である程度歌い慣れた上でチャレンジすることも良いと思います。すぐに歌いこなせなくてもガッカリせずに気長に取り組んでください。

 ちなみに、原曲のボカロキーだとmid2A#~hihiA#(オク下げだとmid1A#~hiA#)になります。ボカロキーから3つ上げるとセルフカバーと同じキーになります。

 また、女性が歌唱する場合、個人差もありますが、ボカロの原曲キーから6つ上げると歌いやすくなるのではないかと思います。6つ上げると、地声mid1E~hiC#(hiB)、裏声hiEに調整されます(hiC#は回避可能)。このあたりを一つの目安としてください。



『ドーナツホール』(米津玄師ver.【ハチ】)の音域と感想【加筆】

(2019/02/12)初投稿
(2019/10/27)
mid2Emid2F#の音域も含め、詳細に記載しました。解説部分も加筆しております。


『ドーナツホール』(米津玄師)DONUT HOLE(Kenshi Yonezu)

2013年10月28日投稿【VOCALOID】
2014年04月23日発売【2nd Album「YANKEE」収録】




 ※1)
米津玄師さんの音域について、当ブログではこれまでに、『アイネクライネ』『爱丽丝(アリス)』『打上花火』(DAOKO×米津玄師)『打上花火』(米津玄師ソロver.)『馬と鹿』『海の幽霊』『orion』、『かいじゅうのマーチ』『恋と病熱』『春雷』『Nighthawks』『ナンバーナイン』『灰色と青 ( + 菅田将暉)』『飛燕』、『LOSER 』『ピースサイン』、『砂の惑星』米津玄師作詞作曲『パプリカ』(Foorin)『パプリカ』(米津玄師セルフカバー)『Flamingo』『フローライト』、『メトロノーム』『マトリョシカ』を取り上げています。興味を持たれた方は参考にどうぞ。


【地声最低音】mid1B(B2)

★いつからこんなに大きな 思い出せない記憶があった[か]
[もう]一回何回やったって思い出すのはその顔だ


【地声最高音】mid2G(G4) ※曲全体を通して計4か所

m2F#[バイ]バイもう[永]m2E[遠]F#[に] [会]m2G[え][な]E[い]




【補足】mid2Emid2F#の注意箇所

★何も知らないままでm2E[い]るのが(Bメロ)
★簡m2F#[単]な感{情]m2E[ばっ]か数えてE[た]F#[ら] (サビ)
m2F#{あ]m2E[な]たがくれE[た]体温まで忘れてしまった
★故かそんな気m2E[が]するんだ

m2F#[あ]m2E[な]たを確[か]めるただ一つE[の証]F#[明]
★あなたのm2E[名]m2F#[前は]


初音ミクのバージョンは1オクターブ上【mid2B(B3)~hiG(G5)】になります
『ドーナツホール』(米津玄師ver.)









 こんにちは。今回は
米津玄師さんの『ドーナツホール』(2014)を取り上げます。よろしくお願いします。米津玄師さんはに続き、5度目の登場になります。

 『ドーナツホール』はボーカロイドの楽曲として2013年に米津玄師さん(ハチさん)が投稿した作品ですが、2014年に米津玄師さん2枚目のアルバム(メジャーとしては初アルバム)『YANKEE』に自身によるカバーが収録されています。
 
youtube動画は初音ミクのバージョンになります。



 
 さて、『ドーナツホール』についてですが、米津さん自身は「少年漫画のような作品」と評しております。私もこれについては同様に考えており、少年漫画でありそうな描写が歌詞の中で描かれています。また、TVゲーム等にもありそうな描写であるように感じます。主要キャラの欠けている記憶が物語の謎になり、それがカギになって話が進行していくのはよくあるパターンです。

 しかし、欠けている記憶を『ドーナツの穴』だと喩えている部分が米津さんの個性の一つだと思います。

★ドーナツの穴みたいにさ 穴を穴だけ切り取れないように
★あなたが本当にあること 決して証明できはしないんだな

というフレーズが出てきます。ここが私の一番記憶に残った歌詞です。また、他の場面でも穴についての描写が出てきます。具体的には以下のフレーズです。

★この胸に空いた穴が今 あなたを確かめるただ一つの証明


 
の回でも出てきましたが、米津さんの歌詞の特徴の一つとして、「自分の欠けた部分を相手(あなた)が持っている」というものがあります。こうした点も、米津さんらしい価値観が出てきます。
  
 サウンドの点で面白いと思った点は、イントロに出てくる声です。これは声を早回したものと思います。これがあることにより、ただの疾走感のあるロックサウンドという枠を超えて、どこか謎めいた印象や混沌感を与えることに成功していると思います。また、歌詞の世界観が広がりを見せます。
 米津玄師さんの作品では同じ『
YANKEE』の収録曲『TOXIC BOY』でも同じような手法が見られます。また、他のアーティストですが、声を逆再生するというものも見られます。

 
 さて、『ドーナツホール』の音域ですが、地声最低音mid1B(B2)~
地声最高音mid2G(G4)で構成されています。大よそ一般的な男性の音域の範囲内であります。

 まず、地声最高音mid2Gについてはサビで1回ずつ登場します。これは一般的な男性の音域の範囲内でありますが、普段歌い慣れていない人の場合、スムーズな発声が損なわれやすいです。同様に、mid2F#辺りもそうです。『ドーナツホール』ではmid2E、mid2F#、mid2G辺りがサビの高い部分に当たります。練習を重ね、確実に歌いこなせるようにしたいです。そうした点で、ドーナツホールは比較的努力が報われやすい楽曲といえます。

 一方で、高音域が得意な男性の場合は、キーが低すぎて歌いにくい場合があるかもしれません。キーを少し上げるという調整もあり得ると思います。

 また、この楽曲では米津玄師さんの楽曲の特徴である「速い言い回し」というのが顕著に出てきます。そうした点において、歌詞を覚えていないと確実に失敗する楽曲です。「速い言い回し」の曲は、キーが低くても苦しくなりがちです。音の途切れる場面でしっかり呼吸をすることを意識してください。そうした点を心がければ、カラオケなどでも歌いやすい一曲になると思います。


『からくりピエロ』(イナメトオル【40mp】)の音域と感想

 こんにちは。今回はイナメトオル【40mp】さんの『からくりピエロ』(2015)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。初音ミクバージョンについても触れますが、40mpさんのセルカバーバージョンをメインに記述していきます。


『からくりピエロ』(イナメトオル【40mp】),Karakuri Pierrot(Toru Iname【40mp】)


【地声最低音】mid1F(F3)  

m1F[そ]れは簡単で m1F[と]ても困難で


【地声最高音】hiA(A4)  

★きm2G[みにた]hiA[ど]り着けないままで



【補足】mid2Emid2Gの象徴的な箇所

★待ち合わせは2時間まm2F[え]で(Aメロ)
★信じられなくて 信じたくなm2F[く]て(Bメロ)

★回っm2E[て] 回っE[て] 回E[り]疲れて(サビ)
★悲しい僕m2F[の]m2G[ま]F[つ]ろだ


※初音ミクオリジナルの音域はm2C~hiDで、セルフカバーのキー+5です。音域自体はミクの方が少し狭いです。この点の詳細は後述します。
『からくりピエロ』(イナメトオル【40mp】)









 まず、『からくりピエロ』についてです。この楽曲は2011年に、ボカロPの40mp(よんじゅうメートルぴー)さんが公開した初音ミクの作品です。同年リリースされたアルバム『小さな自分と大きな世界』に収録されました。ボカロ作品の中でも人気の高い楽曲の一つだと思います。ニコニコ動画でもミリオンを突破するなど多くの再生回数を記録しました。YouTube公式チャンネルにおいても2019年9月現在、1900万回もの再生回数を記録しています。その後、2015年に40mpさん自身がイナメトオル名義でセルフカバーした動画が投稿され、アルバム『1.7m』にも収録されました。こちらは、約190万回もの再生回数を記録しています。





 さて、『からくりピエロ』のサウンドについてです。『恋愛裁判』とも少し被りますが、全体としてジャジーなアレンジになっています。初音ミクバージョンと比較してもそのように感じます。歌メロディーについてはマイナーキーによる美しいメロディーであり、寂しげな世界観です。私自身は当時、初音ミクの人気作は全体としてアップテンポで元気のいい作品、バンドサウンド、ややファンキーな作品などが多いと感じていました。初音ミクの声質など考えても、そうしたアレンジの方が合うのではないかと考えていたのです。その中で『からくりピエロの』ような歌メロ・アレンジの作品を知り、ボカロ曲の見方が変わったのを覚えています。

 歌メロディーについて特徴的な点をもう少し書きます。『からくりピエロ』はラストのサビで転調しています。ただ、注意してほしいのは、このキーは通常のサビと同じということです。1番のサビとラストのサビは同じキーです。
 
カラオケなどではあまり意識しないと思いますが、『からくりピエロ』は通常のサビでも転調しております。『からくりピエロ』はAメロBメロとラストサビの手前が同じGm(ミクバージョンはCm)、サビはAm(Dm)です。通常サビでの転調は、場面の転換を意図してるのではないかと私は考えています。また、Cメロからラストのサビにかけては、楽曲の盛り上がりを印象付ける意図があると思います。歌メロ自体は長いわけではないですが、上手く聴き手に印象付けることに成功しているのではないかと私は解釈しました。

 『からくりピエロ』の歌詞についてです。好きな相手にぞんざいな扱われ方をされながらも、相手のことを想い続けずにはいられない「ぼく」の姿が描かれています。相手に思いが届かないと知り、心の中では諦めを感じつつも、相手の好きなように操られる主人公の姿は切なさを誘います。そうした様を40mpさんは「道化」であることを比喩しています。
 私自身はサビの部分で繰り返される「回って 回って 回り疲れて」というフレーズが非常に印象に残ります。サビ等で同じフレーズを繰り返すというのは、リズム感もよく、聴き手に強い印象を与える効果があります。「回って 回って」というフレーズはリズム感の良さとともに、「君にたどり着けない」ということも暗に意味しており、リスナーに対して、主題がダイレクトに伝わるのではないかと感じました。




 さて、最後にセルフカバー版『からくりピエロ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F(F3) ~【地声最高音】hiA(A4) でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりもやや高いです。

 まず、地声最高音はhiAになっています。サビで1回ずつ、楽曲全体では3回登場します。一般的にはhiA辺りになると地声で歌唱するのが難しくなり始めます。その点は留意しておいてください。
 さて、この『からくりピエロ』のhiA部分についてですが、場合によっては裏声でも良いのではないかと私は考えています。理由は、メロディー自体がしっとりしており、ボーカルの声の力強さがあまり求められていないと解釈しているからです。他の部分が地声であるならば、この部分のみ裏声であってもニュアンスが大きく崩れることは無いと思います。

 『からくりピエロ』の音域は、そこまで広くなく、低音域は余裕があります。hiAなどの高音域が苦手な人はキーを下げても良いと思います。また、普段歌い慣れておらず、キーをたくさん下げて練習したいという要望にも応え得る楽曲です。個人的には練習曲に向いている作品なのではないかと考えております。

 ※余談ですが、このイナメトオルさんのセルフカバーバージョンは初音ミクのバージョンと比べて音域が少しだけ広いです。私自身、音域の調査をする中で感じていることのなのですが、同じ楽曲について、女性版と男性版で音域が異なるとき、多くの場合、男性側の低音部が広がっている印象です。この『からくりピエロ』でも本来ならばイナメトオルさんの低音部はmid2Gになるところが、mid2Fになっています。
 こうした現象は、男性と女性の声質の違いに起因しているのではないかと私は考えています。例えば、「男性の方は声が低いため、低音部を強調した方が曲が活きやすい」、「女性は声がクリアであるため低音部でも声が高めに振れやすい」、逆に「男性は低音部では特に声が籠り易く、低音側に振れやすい」といった点があるのではないかと私は推測しています。