『PEAK’D YELLOW』( ハルカミライ ) の 音域

　まず、『PEAK’D YELLOW』についてです。この楽曲は、２０１９年にロックバンド・ハルカミライによりリリースされたシングル作品です。バンドのメジャーデビューシングルであり、アルバムとしては２０２０年の『THE BAND STAR』に初収録されました。
　ハルカミライは２０１９年のメジャーデビュー以降も着実に実績を重ね、最近ではロックフェスのメインステージを担当することも増えております。今回の楽曲を聴いても想像できそうですが、ライブに定評のあるバンドです。

　『PEAK’D YELLOW』はアップテンポのバンド曲です。Aメロサビから成るシンプルなパンク調のロックであり、全体的に勢いがあります。そうした楽曲故に、ボーカルの高い声域が要求されます。作詞作曲はボーカルの橋本学さん、編曲はベース担当の須藤俊さんによりなされました。


　『PEAK’D YELLOW』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高いレンジで歌メロが作られております。一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲は、Aメロサビから成りますが、全体的に元気がよく、mid2F#～hiAなどの中高音が多く登場します。また、低音域についても最低音がmid2Aと高いです。こうした特徴故に、相対的に高音域が得意な男性の方がマッチしやすい曲といえます。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はいくらかキーを上げた方が歌いやすいと思います。単純な音域だけを見ると、原キーで歌うことも可能な曲ですが、女性の得意な声域を考えると少しキーを上げるのも選択肢だと思います。ただ、「標準より低め～やや低めの音域の女性」などは原キーがマッチする可能性があります。その辺りは実際に歌唱して微調整を加えてください。



　最後に『PEAK’D YELLOW』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高い（「かなり高い」でもよいかも）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2AはAメロやDメロで登場します。登場回数は少なめです。今回は男性曲としては低音が高いため、相対的に中高音が多く登場します。そのため、最高音がhiBの曲の中でもかなり高音感がある曲だと推定しています。音域的には女性が原キーで歌ってもよい曲です。

　次に、地声最高音hiBはサビ等で登場します。登場回数はフェイク込みで計3回です。このhiBに次ぐ地声高音としては、hiAがピークとなる場面が全体で１５回程度登場します。また、今回は曲全体を通してもmid2F#辺りが非常に多いため、体感的にはかなり高い曲だと私は分析しました。一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすそうです。一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ程度下げてみてください（人によっては少し高いかもです）。


　『PEAK’D YELLOW』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。この楽曲は音域自体はそこまで広くないため、歌い慣れた人はもちろん、ビギナー向けの調整も可能です。ただ、キーを調整したからといって、すぐに原曲の橋本さんのような歌唱が出来るわけではないので少しずつ練習を重ねてください。橋本学さんは力強い発声をされていますので、最終的にはそうした歌い方をができるように意識したいです。
　同曲はメロディー自体は比較的わかりやすく、リズムなども取りやすいです。そのため、キー調整なども考慮すると練習曲にするのも悪くないと思います。ただ、今回のような声を張った歌唱は意外と難しく、私自身も不得手です。単に力強さを強調するだけでなく、それを聞き苦しくないように上手くコントロールする必要があります。

　『PEAK’D YELLOW』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F#～hiBといった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回は曲全体を通してmid2F#～hiA等が多く、高音感があります。低音域についてもmid2Aと高いため、女性曲に近似するような音域です。
　こうした点を考慮すると、「高音域が得意（or非常に得意）な男性」、「標準より低め～やや低めの音域の女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。


【まとめ】

①全体的に中高音に寄ったメロ（音域は広くない）
②原キーだと「高音域が得意（or非常に得意）な男性」などに合いそう
③女性だと「標準より低め～やや低めの音域の女性」なども合う可能性がある
④メロは分かりやすいが、力強い発声が意外と難しいので注意
⑤ただ力強く歌うだけでなく、上手く声をコントロールしたい