『Rain』(YUI)の音域

　まず、『Rain』についてです。この楽曲は、２０１０年に女性シンガーソングライターのYUIさんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、２０１１年に発表された『HOW CRAZY YOUR LOVE』に初収録されました。同アルバムには、『It’s My Life』、『HELLO』などのシングルっ曲が収められています。アルバムは２０万枚を超えるヒットを記録し、日本レコード協会よりプラチナ認定がなされました（ランキングデータブログBillion Hits!より引用）。

　『Rain』はアップテンポのバンド曲です。同曲はテレビドラマ『パーフェクト・リポート』の主題歌としてタイアップが付きました。楽曲の質も相まって、CDシングルとして１０万枚を超えるセールスを記録しました。こちらも日本レコード協会よりゴールド認定がなされています。


　『Rain』の音域的な特徴についてです。この楽曲は女性の音域としてはやや高め（体感的には「高め～高い」）のレンジで歌メロが作られています。低音域に余地があるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲はAメロ～サビについては大体1オクターブ超（mid2C～hiC#）で歌メロが作られております。そのため、相対的にhiA辺りの中高音がよく見られる楽曲です。最高音自体は滅茶苦茶には高くないですが、体感的に高く感じやすい楽曲といえます。一方、低音域としては、Dメロでmid2A-mid2A#等が見られ、低音の山場になります。これらを踏まえると、「中高音域が得意な女性」の方がマッチしやすい曲です。

　男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから５～６つ程度下げてみてください（人によっては少し高音感がある）。今回は、「高音域が非常に得意な男性」についてもいくらかキーを下げた方が歌いやすいのではないかと私は推測しています。



　最後に『Rain』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiC#(C#5)、【裏声最高音】hiC(C5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、やや高め（体感的には「高め」です）。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2AはDメロで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内です。この場面以外のAメロ～サビではmid2Cが低音となっているため、女性曲の低音域としてはやや高い印象です。そのため、中高音寄りの歌メロであることが、低音域からも示されています。

　次に、地声最高音hiC#はサビで登場します。登場回数は２回程度（１～２番のサビで登場）です。このhiC#に次ぐ地声高音としては、hiCがピークとなる場面が全体で１６回程度登場します。また、hiAなどの頻度も考慮すると女性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすそうです。一つの目安ですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください。

　『Rain』は低音域に余地があり、キー上げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。また、ビギナー向けの調整も可能だと思いますが、もしかしたら低音などは少し歌いにくい部分が出てくるかもしれません。
　同曲はメロディー自体は分かりやすく、またリズムなども比較的取りやすいです。最近の曲と比べても息継ぎなどもしやすいため、音域がマッチするのであれば練習曲には向きやすいと私は分析しています。

　『Rain』を原曲キーで歌唱する場合、hiA～hiCといった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。hiCはサビ近辺でと多いですが、hiA辺りは全体を通してよく見られます。今回は低音域も比較的高いため、相対的に中高音域が得意な女性の方が有利な曲といえます。
　こうした点を考慮すると、「標準より高め～高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。

【まとめ】

①最高音は高くないが、全体的に中高音寄りの曲
②原キーだと「標準より高め～高音域が得意な女性」に合いそう
③キー調整は比較的しやすい（一般的には少し下げた方が合いそう）
④メロは分かりやすく、練習曲向き