『Banquet』(Chevon)の音域

　まず、『Banquet』（バンケット）についてです。この楽曲は、2023年にロックバンド・Chevonによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、2024年のフルアルバム『Chevon』に初収録されました。同アルバムには、当ブログでも以前に取り上げた『ダンス・デカダンス』（過去記事）、『サクラループ』（過去記事）なども収められています。

　『Banquet』はミドルテンポのバンド曲です。小気味のいいギターリフ等が耳を惹くロック曲であり、ボーカルなども力強いです。歌メロはAメロBメロサビと展開します。男性曲としてはかなり高い高音が登場するため、その辺りも1つの魅力です。作詞はボーカルの谷絹茉優さん、作曲はChevonによりなされました。


　『Banquet』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としてはかなり高いレンジで歌メロが作られています。低音域に余地があるため、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです（ただ、それでも高い）。
　今回の楽曲はAメロは中低音中心で、サビは中高音が頻出します。高音域としてはhiB辺りが多いのですが、要所でhiD#～hiG#といった音階が登場するため、男性曲としてはかなり高いといえます。また、裏声も多用されているため、器用な発声も不可欠です（この辺りは最近の傾向でもある）。こうした点を考慮すると、高音域が得意な男性にマッチしやすい曲です（ロック系の曲でよく見られるキンキンとした発声が重要になる）。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常は少しキーを上げた方が歌いやすいです。今回はmid1C#-mid1D#のコンボが一部で見られるため、女性の音域としては低音が低いです。ただ、今回は最低音の回数は多くないため、人によっては原キーで歌う方がよい場合もあります。その辺りは実際に歌唱してみてください。今回は音域自体がかなり広いため、歌える人が限定されやすいです。男性同様に、ロック系のキンキンした発声が得意な人の方がマッチしやすいです。



　最後に『Banquet』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)～【地声最高音】hiG#(G#5)、【裏声最高音】hiF#(F#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、かなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1C#はAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。今回はmid1C#の場面が限定されるため、見た目より歌いやすい低音だと思います（表現は決して簡単ではないが）。

　次に、地声最高音hiG#はBメロやラストで計3回程度登場します。この辺りは男性の音域としては極めて高いです。このhiG#に次ぐ地声高音としてはhiF#がピークとなる場面が全体で1回、hiFが2回、hiD#が3回、hiBが19回登場します。こうした点を考慮すると、男性の音域としては極めて高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから4つ程度下げてみてください（それでも一部高いですが）。


　『Banquet』は低音域に余地があるため、キー下げは可能です。ただ、今回の楽曲は音域自体がかなり広いため、歌い慣れた人であっても一部歌いにくい部分が出てくる可能性があります。音域という側面からハードルになりやすい曲だといえます。
　同曲はメロディー自体は比較的わかりやすく、リズムも取りやすいです。ただ、音域自体が非常に広い点や、メロが急激に上昇する点など難しい要素が多い曲です。地声高音の高さに注目がいきがちですが、裏声高音などもよく見られるため、その点で器用な発声が不可欠になります。ただ、高音域が際立つ曲であるため、歌いこなせると非常に気持ちがよいと思います（難易度は高いですが）。

　『Banquet』を原曲キーで歌唱する場合、hiB～hiG#といった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回はサビを中心にhiB辺りが多く、要所でhiD#以上に高音域が登場します。低音については標準的ですが、体感的には見た目より高い印象です。
　こうした点を考慮すると、「高音域が非常に得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。また、女性の一部は原キーが選択肢に入る可能性があります（男女ともに歌える人が限定されると思います）。

【まとめ】

①Aメロは中低音中心、サビは全体的に高い
②原キーだと「女性の一部」「高音域が非常に得意な男性」向け
③音域がかなり広く、歌える人が限定される
④ロック系の発声に慣れている人の方が合いやすい（裏声も不可欠）
⑤難易度は高いが、高音が際立つため、歌いこなせると気持ちよさそう