『絵空』( マルシィ ) の 音域

　まず、『絵空』についてです。この楽曲は、２０２０年にロックバンド・マルシィによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとしてリリースされました。アルバムとしては、２０２２年のメジャー初のフルアルバム『Memory』にボーナストラックとして初収録されました。

　さて、『絵空』はマルシィとしては初の配信シングルです。同曲は、インディーズ作品でノンタイアップにもかかわらず、Spotifyのバイラルチャートにランクインする等大きな話題を呼びました。マルシィのYouTube公式チャンネルでも８００万回を超える再生回数を記録し、活動間もないバンドとしては異例の大ヒットになります。今回はリクエスト曲ですが、私自身も終盤のギターサウンドが非常に耳に残った一曲です。


　『絵空』はスローなバンド曲です。歌詞が失恋をテーマにしているということもあってか全体的にしっとりしており、切なさが強調されます。歌メロはAメロBメロサビと親しみやすい展開をし、楽曲が進行するにしたがって盛り上がっていきます。また、ラストサビでは転調が行われ、キーが１つ上がります。作詞作曲はボーカル＆ギターの吉田右京さん、編曲はマルシィによりなされました。

　『絵空』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲は「AメロとBメロ前半は中低音中心」のメロとなり、「サビやDメロは中高音が中心」になります。こうしたことあり、音域は低音～高音までやや広めです。ただ、最低音はmid1Eですので、男性曲としてはそこまで低音が辛いわけではないと思います。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。今回の楽曲は最低音がmid1Eであり、女声としてはかなり低いレンジになります。一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ程度上げるとよいと私は推測しております。音域が広いため、ビギナーだと少し取っ付きにくいかもしれません。



　最後に『絵空』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】hiA#(A#4)、【裏声最高音】hiA(A4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1EはＡメロＢメロで登場します。このmid1Eは一般的な男性の音域の範囲内です。ただ、今回は頻度が高いため、「高音域が非常に得意な男性」などは少しキーを上げるのもよいかもしれません。

　次に、地声最高音hiA#はラストサビで登場します。登場回数は１回のみです。このhiA#に次ぐ地声高音としては、hiAがピークとなる場面が全体で５回、また、mid2G#が全体で１６回程度登場します。こうしたことから、男性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから２～３つ程度下げてみてください。


　『絵空』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分の得意なレンジに調整することができると思います。一方、今回の楽曲は音域自体がやや広めです。そのため、ビギナーだと一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。その点は留意しておいてください。
　同曲は全体的にメロディアスであり、覚えやすそうです。そのため、音域が合う人であれば練習曲にはいいと思います。

　『絵空』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F～hiA#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はサビやDメロなどを中心にmid2E～mid2G#辺りの頻度が高く、終盤は少し高音感を感じやすいと思います。
　こうしたことを踏まえると、「標準より高め～高音域が得意な男性」などが原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。



【まとめ】

①AメロBメロは中低音寄り、サビやDメロが中高音が多く見られる（音域はやや広め）
②原キーだと「標準より高め～高音域が得意な男性」に合いそう
③女性はキーを上げた方が歌いやすい（原キーから+3～4程度[#3～4]）
④全体的にメロディアスで、覚えやすい（音域が合う人にはおススメ）