カテゴリー

『1999』(羊文学)の音域

こんにちは。今回は羊文学の『1999』(2018)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。


『1999』(羊文学)、1999(hitsujibungaku)
『1999』(羊文学)の音域







【地声最低音】mid1E(E3) 

★ぼくはm2G#[どう]したらいい? 眠れG#[ない]夜がきm1E[て]【Aメロ】


【地声最高音】hiB(B4)  ※曲全体で2回程度

★カウンm2G#[ト]ダウンがはじまった G#[ほ] hiB地[ほ]【2番Aメロ】
hiBhiE[よ[る][明][る]hiB地[こ]m2G#[ろ] 迎えにゆG#[く]

※場合によっては、hiBを裏声にしてもよいです。

【裏声最高音】hiE(E5) ※曲全体で1回

hiBhiE[よ[る][明][る]hiB地[こ]m2G#[ろ] 迎えにゆG#[く]【ラストサビ】


【補足】mid2G#hiC#辺りを含むフレーズ一覧

★それはm2G#[世]紀末のG#[クリス]hiB裏[マスイブ]
★誰もm2G#[が]愛したこの街m1F#[は]m1E[ぁ]
★(知らない神様が変えてしまう) hiC#裏[って]hiB[いう]

 まず、羊文学(ひつじぶんがく)について少し説明します。羊文学は2012年より活動する3人組ロックバンドです。フロントマンの塩塚モエカさんが高校の頃に設立したバンドが母体となっております。2020年にはソニー系のレーベルからメジャーデビューし、フルアルバム『POWERS』をリリースし、話題を呼びました。
 羊文学のジャンルとしては、オルタナティブ・ロックに属します。私自身はシューゲイザー感も非常に感じ、そうした分類をされる方もいるようです(メンバー自身はシューゲイザーを意識しているわけではないそうです)。ノイジーでありながら、どこか寂し気なであったり、浮遊感のあるギターサウンドが特徴的です。
 バンド名にもあるように、私自身は歌詞も魅力的なバンドであると思います。今回取り上げる『1999』もよいですが、私自身は『天気予報』、『あいまいでいいよ』なども好きです。2021年には、柏葉幸子による児童小説を原作としたアニメ映画『岬のマヨイガ』の主題歌として、『マヨイガ』をシングルとしてリリースしました。今後が益々期待されるバンドであります。


 『1999』についてです。この楽曲は、2018年に3人組ロックバンド羊文学によりリリースされたシングル作品です。当初は配信限定のシングル作品でしたが、、2019年にはCDシングルでリリースされております。インディーズ時代のシングルで、メジャーデビューアルバムの『POWERS』にも収められております。同曲は、2019年にMVが公開されており、2021年8月現在、240万回を超える再生回数を記録しております。羊文学の中でも人気の高い作品の1つといえます。

 『1999』はどこかひんやりとした雰囲気のあるバンドナンバーです。イントロのギターの音色などが非常に印象的であります。イントロからAメロの歌い始めまで1分近くありますが、私自身は非常に好きなアレンジであります。歌メロについては、Aメロサビを中心に作られており、シンプルです。また、高音では裏声が多用されております。

 『1999』は歌詞なども非常に印象的な作品であります。

それは世紀末のクリスマス・イブ
誰もが愛したこの街は 
知らない神様が変えてしまうっていう話
 サビのこの部分は恐らく、1973年頃に発行された書籍『ノストラダムスの大予言』などをモチーフにしているのではないかと思います。同作では「1999年7月に人類が滅亡する」といった趣旨の解釈がされており、オカルトブームの先駆けになりました。
 そうした中で、この「1999年に人類に悲劇が訪れる」といった趣旨の漫画やアニメ、ゲームなども作られたりしました。音楽に関しては、当時1999年7月にリリースされたL’Arc-en-Cielのアルバム『ark』と『ray』が「地球最後の日」のアルバムとしてプロモーションされました。
 
 一方で、そうしたオカルトとは別に、1999年はIT関係でも「2000年問題」という一つの課題を抱えておりました。従来のコンピュータが、西暦を下2桁でしか認識しないプログラムであったため、2000年以降、ITシステムが誤作動を起こす可能性などが問題視されていました。
 これら2000年問題については、様々な努力により大きな障害なども起きずに済みました。しかし、当時は日本の景気が本格的に悪くなり、凶悪な事件も頻発していたことから、世紀をまたぐことに対して、どこか「世界の終わり」、「世界の急変」のようなものを感じていた人も多いのかもしれません。また、1000年の1度の出来事ですので、いつになくソワソワされた方も多いと思います。当時は、「ミレニアム」という言葉が流行語大賞の候補にもなったようです。羊文学の『1999』ではそうした当時の状況を、どこか幻想的に表現しているように私には感じました


 最後に『1999』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)~【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の声域の範囲内でありますが、とりわけ低音が低めです。以下、見てきます。

 まず、地声最低音mid1EについてはAメロやサビで登場します。ここは女性としてはかなり低めのレンジになりますが、曲中では意外と多く登場します。同曲は高音部分がそこまで高くないですので、場合によってはキーを上げてもよいのではないかと思います。

 一方、地声最高音hiBについては、2番Aメロとラストサビで登場します。ここは曲全体で2回程度で少なく、また一般的な女性の声域の範囲内であります。また、ライブなどでは裏声で歌うこともあるようです。場合によっては、裏声気味に歌唱してもよいのではないかと思います。逆に声が高い人などはもう少しキーを上げた方がよいかもしれません。各々の声質などを加味して、調整してください。

 『1999』は低音が低めの作品です。故にキー下げについては、一般的には難しいのではないかと私は考えております。逆に、地声最高音などはそこまで高くないですので、人によってはキーを上げることもあり得るのではないかと思います。各々、実際に歌唱してみて、調整を加えてください。
 同曲は、音域自体が広めの作品です。難しい部分はそこまで多くないかもしれませんが、ビギナーなどにはやや手を付けづらいかもしれません。キーなどを調整しても難しいと感じた場合は、別の易しめの曲と並行して練習してください。

 私なりの印象ですが、『1999』はボーカル塩塚モエカさんは、そこまで声を張らずに比較的リラックスして歌唱しているように感じます。バンドのアレンジも裏声などが合いやすいですので、そうしたボーカルの微妙な抑揚などについても原曲を参考にしてみてください。歌い慣れた人であれば、比較的アプローチしやすいのではないかと思います

 『1999』はカラオケなどで盛り上がるという類の楽曲では無いと思いますが、私自身歌詞もメロもアレンジも非常に好きな楽曲です。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 名無しA より:

    クリスマスソングなので12月あたりまで待つつもりでしたが、早めに取り上げていただいてありがとうございます。タイトルや歌詞の解説も面白かったです。
    hiBの次に高い地声はmid2G#ですかね。声低い男性の自分でも喉の調子がすごくいい時は原キーで歌えなくもないかなって、感じです。
    あと、音域の図の箇所と音域の解説の箇所で地声最低音がmid1G(G3)になっているので、mid1E(E3)に直されるといいと思います。

    • もりっしー より:

      コメント&ご指摘ありがとうございます。該当部分は修正しておきます。

      タイトルに西暦が入る曲は多いのですが、
      1996年生まれの塩塚モエカさんが
      1999年に焦点を当てたの点は面白いと思いました。
      2011とか2020とかは何となくありうると思っていたのですが。

      キーは確かにそこまで高くないですよね。
      男性の歌唱についてはあまり触れられなかったのですが
      歌唱可能だと思います。

  2. two.puck より:

    Daichi Yamamoto
    Crystal feat. 中村 佳穂
    調査お願いしたいです。

    • もりっしー より:

      リストアップしておきます。
      ただ、同曲はラップ曲ですので
      もしかしたら、音域調査がスムーズに行かずに断念するかもしれません。
      その点についてはご了承ください。
      なるべく記事に出来るように頑張ります。