『Nagisa』( imase ) の 音域

　まず、『Nagisa』（なぎさ）についてです。この楽曲は、２０２３年に男性シンガーソングライターのimaseさんによりリリースされたシングル作品です。最新シングルであるため、アルバムには未収録です。
　imaseさんは、人気曲『NIGHT DANCER』(過去記事)がアジア圏でバズるなど、デビュー間もないにもかかわらず、海外での人気も高いアーティストです。最近は、特に韓国で人気が高いようです。

　さて、『Nagisa』は今年の５月にリリースされたデジタルポップであり、現在も国内のストリーミングランキングでも上位にランクインしております。同曲は大きなタイアップはありませんのが、楽曲自体の評価が高く、ラジオネットワーク全国36局の６月のパワープレイに選曲されました。また、imaseさんという歌手そのものへの注目が非常に高まっているとも私自身強く感じます。

　『Nagisa』は80年代を彷彿とさせるシティ・ポップナンバーです。そうしたこともあってか、ミュージックビデオでも80年代を思わせる衣装やセットなどが用いられております。
　同曲は頭サビで歌メロが始まり、AメロBメロサビと展開します。ラストサビでは転調が行われ、キーが1つ上がります。こうしたJ-POPらしい展開も多くのリスナーに親しみやすい要素ではないかと思います。


　『Nagisa』の音域的な特徴についてです。同曲は、地声レンジについてはおおよそ一般的な男性の音域の範囲内で歌メロが作られております。そのため、一般的な男性が地声レンジを原曲キーで歌唱することは可能だといえます。
　一方、同曲は裏声の使用頻度が非常に高く、音域についても大体mid2D#～hiFまでかなり広く使われます。そのため、器用な裏声発声は不可欠です。私なりの印象ですが、「中高音域は可能な限り全て裏声で歌う」位の心構えで歌うのがよいのではないかと感じまいた。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいと思います。今回は最低音がmid1Eであるため、「低音域が得意な女性」だと原曲キーでの歌唱は可能かもしれません。ただ、「裏声が使われる場面」などにもこだわって原曲に近いニュアンスで歌唱したい場合は、キーを上げた方がより歌いやすいと私は推測しております。




　最後に『Nagisa』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】mid2F(F4)、【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内（裏声は高い）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1EはAメロやBメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。ただ、高音域が非常に得意な男性だと若干歌いにくいかもしれません。女性にとっても通常はかなり低いレンジになります。場合によっては、キーを上げることも選択肢だと思います。

　次に、地声最高音mid2Fはアウトロで１回だけ登場します。この場面はライブだと裏声のようにも聞こえるので、あまり厳密にこだわらなくてもよいと思います。地声高音についてはmid2C#～mid2D辺りが歌えると、そこそこ形になりやすいと思います。この辺りは男性音域の範囲内であり、比較的克服しやすいです。
　一方、同曲は「裏声」の頻度が非常に高く、使用レンジも広いです。そのため、器用な裏声発声が必要不可欠になります。裏声については、地声よりも広がりやすいといわれますが、今回は男性の裏声としては高い音階も多いです。慣れないうちはキーを下げて練習してもよいと思います。


　『Nagisa』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ある程度歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することができると思います。一方、繰り返し申しているように、今回は裏声の使いこなしが重要になります。そのため、普段裏声を使い慣れていない人だと難しく舵やすいと思います。その点で、ビギナーの練習曲としては使いにくいかもしれません。

　『Nagisa』を原曲キーで歌唱する場合、裏声でhiA～hiFといったレンジをしっかり歌いこなせる力が求められます。今回は、裏声の発声が非常に重要であり、その点で難易度が高いです。裏声のレンジは地声よりも広がりやすいといわれており、一概には言い難いですが、「標準よりやや高め～ある程度高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。今回は低音域の低さなどを考えると、高音域が非常に得意な男性はキーを上げた方がより歌いやすいのではないかと考えております。


　『Nagisa』はノリの良いポップであり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。女性目線の歌詞であり、音域がマッチするのであれば女性にもお奨めです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。