『沈丁花』( DISH// )の音域 [2021年の作品]

　まず、『沈丁花』（ちんちょうげ）についてです。この楽曲は、2021年に4人組ロックバンドDISH//（ディッシュ）によりリリースされたシングル作品です。当初は配信シングルとしてリリースされましたが、CDシングルとしても発表されております。この記事を執筆時点では最新曲であるため、アルバムには未収録です。

　『沈丁花』は、高瀬志帆さんの同名漫画を原作としたドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室』の主題歌として書き下ろされました。同ドラマは中学受験をテーマとした内容となっており、歌詞も「息子から母へ」の感謝の言葉が綴られております。作詞作曲編曲をマカロニえんぴつのボーカルはっとりさんが担当しております（作曲は北村匠海さん、編曲は宗本康兵さんとの共同）。はっとりさんは、DISH//に対し、以前にも『僕らが強く。』という作品を楽曲提供しております（こちらは自選曲としてリストアップしていたのですが、なかなか記事に出来ずにいます）。

　DISH//は『猫』にヒット以来、知名度が大きく上昇しました。また、ボーカルの北村匠海さんの俳優としての活躍もあり、広く人気を集めるバンドになりつつあります。シングル『No.1』はテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』のオープニング曲にも抜擢されております。また、2021年末の紅白歌合戦にも出場が決定しました。


　さて、『沈丁花』（チンチョウゲ）はミドルテンポのバンドナンバーです。バンドサウンドに加え、ホーンセクションなども目立ちます。歌メロは、頭サビで始まり、AメロBメロサビと展開していきます。全体的に暖かみのあるポップナンバーであり、何度か聴いているうちに口ずさめるような親しみやすさがあります。また、ラストサビでは転調が行われ、キーが1つ上がります。こうした点も親しみやすいです。

　『沈丁花』の声域的な特徴についてです。同曲は、男性としてはやや高いレンジで歌メロが作られております。難しい曲というわけではないですが、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいのではないかと思います。ちなみに、女性が歌う場合はキーを上げた方がよいとです（原キーでも不可能ではないと思いますが）。


　最後に『沈丁花』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3)～【地声最高音】hiA(A4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりもやや高め（ラストサビは高め）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1D#はAメロBメロで登場します。男性としては滅茶苦茶に低いわけではないですが、低音が苦手な方などは少し歌いにくいかもしれません。女性などはキーを上げた方が歌いやすいと思います。

　一方、地声最高音hiAはラストのサビで登場します。登場回数は２～３回程度でそこまで多くないです。ただ、同曲は通常サビでもmid2G#辺りが登場しますので、一般的な男性の場合はキーを下げてもよいと思います。目安として、原曲キーから2つ程度下げてみてください。

　『沈丁花』は低音部分に余地があり、キー調整は可能です。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することが可能だと思います。一方、歌い慣れていない人はキー調整をしてもやや歌いにくい部分が出てくるかもしれません。難しいと感じた場合は、別の易しめの曲と並行して練習してください。また、「Aメロ辺りは曖昧になってもいいので、サビは頑張る」といったふうに場面ごとに練習に強弱を付けてもよいと思います。
　『沈丁花』はメロディー自体はかなり親しみやすく、リズムが難しい部分も多くないです。音域面での難しさはありますが、歌の練習などには比較的向きやすいのではないかと思います。

　『沈丁花』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E～hiAの中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。一つの目安ですが、back numberやMr.Children、レミオロメンやマカロニえんぴつなどが歌える人はチャレンジしやすいと思います。一般的な惰性の声域としてはやや高いですが、この辺りが歌えると、選曲の幅がかなり広がります。

　『沈丁花』はメロディーが親しみやすく、カラオケなどでも歌いやすい作品だと思います。DISH//のYouTubeチャンネルでは1か月足らずで、既に570万回の再生回数を記録しており、DISH//の作品の中でも人気が高まっております。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。