『蝶』( Acid Black Cherry ) の 音域

　まず、『蝶』（ちょう）についてです。この楽曲は、２０１１年にyasuさんのソロプロジェクトAcid Black Cherryによりリリースされたシングル作品です。５カ月連続のシングルリリースの１枚として発表され、アルバムとしては翌年にリリースされた『『２０１２』』に初収録されました。
　アルバム『『２０１２』』には、『シャングリラ』、『CRISIS』、『ピストル』、『イエス』(過去記事)などのシングル曲が収められております。アルバムは17万枚を超えるセールスを記録し、日本レコード協会よりゴールド認定がなされました。また、シングル曲『イエス』も25万ダウンロードを記録し、大きなヒットとなっております（音楽ランキング分析ブログBillion Hitsより引用）。

　『蝶』はジャジーな趣のあるミドルテンポのバンド曲です。イントロが歌メロで始まり、Aメロサビと展開します。歌詞は女性目線で書かれており、マイナー調のメロディーなども相まって艶やかな印象を与えます。同曲は、CDとしては約７万枚のセールスを記録し、ABCの楽曲としてはカラオケでもよく歌われております。私自身も友人がカラオケで同曲を歌っているのを聴いて、この曲を初めて知りました。その点では個人的にも思い出深い楽曲です。


　『蝶』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としては高め、もしくは明確に高いレンジで歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲は曲全体を通してmid2E以上の音階が多く登場します。相対的にmid2E～mid2Gといった中高音域が頻出するため、ある程度高音域が得意な人でもスタミナなどが求められそうです。逆に高音域が得意な人だとマッチしやすいと思います。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから２～３つ程度上げてみてください（#２～３程度）。ただ、「標準より低い音域の女性」などは原曲キーがマッチする可能性もあります。



　最後に『蝶』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、「高め」もしくは明確に「高い」です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1Eはイントロとアウトロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内ですが、高音域が非常に得意な男性だと少し歌いにくいかもしれません。ただ、今回は登場回数は多くないので、キーを上げなくてもよいと思います。女性の場合は、キーを上げた方がマッチしやすいと思います。

　次に、地声最高音hiA#はサビで登場します。登場回数は8回程度で、いずれもhiAとのコンボになっています。このhiA#は男性の音域としては高いです。また、今回は中高音域の割合が高く、相対的に高く感じやすいです。そのため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから２～３つ程度下げてみてください。


　『蝶』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することができると思います。
　一方、同曲は要所要所でスケール外の音が登場します。そのため、音程を取るのが意外と難しく、苦手な方だと取っ付きにくいかもしれません。しっかり楽曲を聴き込んでおきたいところです。また、可能であれば、楽器などでメロを弾いてみるのも役に立つと思います。

　『蝶』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E～hiA#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はmid2E以上の割合が高く、低音域の割合が少ないです。そのため、高音域が得意な人の方が有利に働きやすそうです（中高音域を歌い続けるスタミナが不可欠になる）。
　こうしたことを踏まえると、「(ある程度)高音域が得意な男性」が原曲キーに合いやすいと私は判断しました。女性の場合は「標準より低い音域が得意な女性」などの中には原曲キーが合う人がおられるかもしれません（ただ、一般的にはキー上げを推奨します）。


　『蝶』はノリの良いジャズテイストなバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。