『はいよろこんで』(こっちのけんと)の音域

★ギリギリダンスギリギリダンス（m2E–m2F#[もっと鳴ら[せ]）【サビ】
★怒りm2F#–E[抱]いても] 優しさが勝m2A[つ] F#[あ]な]た[の]【Dメロ】
★さぁ!奏でろハクナマタタなおm2F#–E[と]は]【ラストBメロ】


【補足】その他のフレーズ

★嫌嫌で生き延びて わからm2D[ず]やにm2A[た]て【Aメロ】

　まず、『はいよろこんで』についてです。この楽曲は、２０２４年に男性シンガーソングライターのこっちのけんとさんによりリリースされたシングル作品です。
　同曲は配信限定のシングルとして発表され、Tik Tokなどで大きな話題となりました。YouTubeで公開されたアニメ調のMVが１５００万回を超える再生回数を記録していますが、最近はストリーミングランキングでも上位にランクインしており、広く認知されつつあります。昭和のアニメを彷彿とさせるMVはアニメーターのかねひさ和哉さんにより制作されました。

　『はいよろこんで』はアップテンポのポップです。韻を踏んだリズミカルなメロが印象的であり、中毒性があります。同曲の作詞はこっちのけんとさん、作曲はけんとさんとGRPの共同、編曲はGRPによりなされました。GRPさんは、以前に取り上げた『死ぬな！』（過去記事）でも関わりのあるアレンジャーです。


　『はいよろこんで』の音域的な特徴についてです。同曲は大よそ一般的な男性の音域の範囲内（体感的には「やや高め」かも）で歌メロが作られております。一般的な音域の男性が原曲キーで歌唱することも可能そうですが、場合によっては少しキーを下げてもよいかもしれません。
　同曲は、地声最高音はmid2F#であり、最近のJ-POP男性曲としては高音がやや控えめです。一方、低音については、男性曲としてはやや高く、その分やや中高音寄ったメロになっています。こうした特徴から、おおよそ一般的な「男性の音域の範囲内 or やや高め」であると分析しています。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はいくらかキーを上げた方が歌いやすいと私は分析しています。今回は最低音がmid1Dであり、mid1F#等が多く登場します。こうしたことから、女性の音域としては少し低く、いくらかキーを上げた方がより歌いやすいと推測しました。
　ただ、今回は男性曲としては全体的に低音が高いため、「標準より低い音域の女性」などは原キーがマッチする可能性があります。その辺りは実際に歌唱して、調整を加えてください。



　最後に『はいよろこんで』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D(D3)～【地声最高音】mid2F#(F#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内（体感的にはやや高め）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1DはDメロで登場します。登場回数は1回のみです（mid1Eやmid1F#とのコンボ）。この辺りは男性の音域の範囲内です。今回は低音域としてはmid1F#辺りが比較的多く、男性曲としてはやや低音が高い印象です。女性にとっては低い声域ですので、一般的な音域の女性等はキーを上げることを推奨します。

　次に、地声最高音mid2F#はイントロやサビ等で登場します。登場回数は１４回（コーラスも含めると２０回程度）です。この辺りは男性の音域の範囲内ですが、mid2F#は慣れていない人だとスムーズな発声が損なわれやすいです。ただ、比較的克服しやすい音階でもありますので少しずつ練習を重ねてください。


　『はいよろこんで』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。今回は大部分についてmid1F#～mid2F#の1オクターブで歌メロが作られております。そのため、見た目よりはキー調整をしやすく、ビギナーなどもある程度歌いやすいレンジに調整することができると思います。
　今回の楽曲はメロディー自体は比較的わかりやすく、覚えやすそうです。ただ、同曲は歌メロが速く、息継ぎしにくそうな場面もあり、その点で少し難しい可能性があります。歌詞などをしっかり覚えた上で、「どこで息継ぎを入れるか」、「どこで妥協するか」といった点を事前に整理しておきたいです。

　『はいよろこんで』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D～mid2F#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回は要所でmid2F#等が見られます。一部は歌わなくもよいかもしれませんが、やや中高音に寄ったメロであり、息継ぎのしにくさなども相まって少し高音感があります。
　こうした点を考慮すると、「標準(orやや高め)～高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。また、「標準より低い音域の女性」なども原キーがある可能性がありますが、一般的にはキー上げを推奨します（『死ぬな！』よりも高音が低い）。


【まとめ】

①最高音自体は高くないが、全体的にやや中高音寄り（音域は見た目より狭い印象）
②原キーだと「標準(orやや高め)～高音域が得意な男性」に合いそう
③女性は通常は少しキーを上げた方が歌いやすい（人によっては原キーでもよいかも）
④メロは分かりやすいが、息継ぎなどが大変そうな場面があるので注意