『もういいよ』(こっちのけんと)の音域

　まず、『もういいよ』についてです。この楽曲は、２０２４年に男性シンガーソングライターのこっちのけんとさんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとして発表されました。

　こっちのけんとさんは、２０２４年上半期にリリースした『はいよろこんで』（過去記事）が大きなヒットとなり、年末の紅白歌合戦への出場も決定しました。前作のブレイクも相まって、『もういいよ』もミュージックビデオ公開から1カ月で７５０万回もの再生回数を獲得しています。
　同曲の作詞はこっちのけんとさん、作曲はけんとさんとGRPの共同、編曲はGRPによりなされました。GRPさんは、以前に取り上げた『死ぬな！』（過去記事）でも関わりのあるアレンジャーです。


　『もういいよ』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域の範囲内で歌メロが作られております。一般的な音域の男性が原曲キーで歌唱することも可能そうですが、場合によっては少し調整するのもよいと思います。
　同曲は、地声最高音はmid2G#であり、ラストサビを中心にmid2F#等も多く登場します。一方、低音については、CメロDメロ辺りでmid1B-mid1C#等の低音がよく見られます。こうした特徴から、おおよそ「一般的な男性の音域の範囲内」であると分析しています。一方、同曲は歌メロが速く、息継ぎなどがしにくそうな場面もあります。その点は留意しておいてください。場合によっては複数人で歌うのもよいかもしれません。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから５～６つ程度合上げてみてください。ただ、今回の楽曲は音域自体が広いため、人によっては一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。



　最後に『もういいよ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1B(B2)～【地声最高音】mid2G#(G#4)、【裏声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1BはCメロDメロで登場します。今回はmid1C#とのコンボになっており、それなりに低音感があります。「高音域が得意な男性」などはキーを上げてもよいかもしれません（もしくは1オクターブ上のキーを歌うのもよい）。

　次に、地声最高音mid2G#はAメロで登場します。登場回数は１回のみです。このmid2G#に次ぐ地声高音としてはmid2F#がピークとなる場面が全体で１４回程度登場します（主にラストサビ）。こうした点を考慮するとおおよそ一般的な男性の音域の範囲といえます。ただ、今回は息継ぎのしにくさなどを考慮すると、人によっては少しキーを下げるのもよいかもしれません。


　『もういいよ』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。ただ、今回の楽曲は音域が広いため、ビギナー向けの練習曲としてはやや使いにくい印象です。
　同曲は歌メロ自体は分かりやすく、リズミカルです。反面、今回の楽曲は息継ぎなどがしにくそうな場面が多いです。歌詞などをしっかり覚えた上で、「どこで息継ぎを入れるか」、「どこで妥協するか」といった点を事前に整理しておきたいです。場合によっては複数人で歌うのもよいと思います。

　『もういいよ』を原曲キーで歌唱する場合、mid2C#～mid2G#(裏声はmid2G#～hiB等)といった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回は、mid2F#～mid2G#等の中高音が求められる場面は少ないです（ラストサビで集中してmid2F#が見られるので注意）。低音域としては、mid1B～mid1C#等がCDメロで頻出します。
　こうした点を考慮すると、「標準的～ある程度高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。「高音域が得意（or非常に得意）な男性」などはキーを上げるのもよいと思います。息継ぎがしにくいため、２人以上で歌うことも選択肢に入れてください。


【まとめ】

①男性の音域としては標準的（音域は広め）
②原キーだと「標準的～ある程度高音域が得意な男性」などに合いそう
③メロは分かりやすいが、息継ぎなどがしにくそう
④場合によっては２人以上で歌うのもよいかもしれません