『copy light』(TK from 凛として時雨)の音域

　まず、『copy light』についてです。この楽曲は、2020年に凛として時雨のフロントマンであるTKさんによりリリースされたアルバム『彩脳』に収録されています。同アルバムには、『Katharsis』（過去記事）などの楽曲が収録されております。同アルバムは、「コラボを軸とした作品」であり、Salyuさん、ヨルシカのボーカルsuisさん、漫画家の石田スイさん等が携わっており、その点でも話題となりました。

　『copy light』は元々はライブで披露されていた作品ですが、アルバムの最終盤の楽曲として初収録されたバラードです。全体的にしっとりとした美しい作品であり、裏声も多用されています。歌メロについてはAメロBメロCメロから構成され、シングル曲と比べるとシンプルです。作詞作曲はTKさん、編曲はAnzu Suharaさんによりなされました。


　『copy light』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としてはかなり高いレンジで歌メロが作られています。低音域に余地があるため、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。
　今回の楽曲は全体的に中高音寄りのメロであり、hiA#～hiCといった高音階が多く登場します。こうしたこともあり、中高音域が得意な男性の方がマッチしやすい曲だといえそうです。また、今回は要所で裏声が登場します。地声と裏声が目まぐるしく切り替わるような場面は少ないですが、裏声の発声にも力を入れていきたいです。

　女性が同曲を歌唱する場合、人によっては原曲キーがマッチする可能性があります。今回は低音域がmid1G#～mid2A#辺りであり、女性が原キー歌えなくもないレンジです。中高音域がhiA#～hiC辺りであるため、標準的な音域の女性にとっては合いやすいといえそうです。ただ、原曲のようなニュアンスで歌う場合、少しキーを上げた方がより歌いやすいと私は分析しています。その辺りは実際に歌唱して、微調整を加えてください。
　ちなみに、今回は男性曲としては高音がかなり高いです。そのため、「標準より低めの音域の女性」などについては、少しキーを下げた方が歌いやすい可能性があります。



　最後に『copy light』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G#(G#3)～【地声最高音】hiD#(D#5)、【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、かなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1G#はAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。ただ、最低音がmid1G#となる男性曲は、かなり高い確率で「一般的な音域の男性にとってはキーが高い曲」となります。今回の楽曲についても明確にこの傾向が当てはまります。

　次に、地声最高音hiD#は2番Bメロで1回だけ登場します。このhiD#に次ぐ地声高音としてはhiC#がピークとなる場面が全体で1回、hiCが10回、hiA#15回超登場します。こうした点を考慮すると、男性の音域としてはかなり高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえます。一つの目安ですが、原曲キーから５～６つ程度下げてみてください。


　『copy light』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ただ、今回の楽曲は高音域がかなり高いため、一般的な音域の男性が歌いやすいレンジにするためには多くのキー下げが必要になります。そのため、違和感などを覚える人も多いかもしれません。キー調整を考慮しても中高音域が得意な人の方がチャレンジしやすい曲です。
　今回の楽曲はメロディー自体は比較的分かりやすく、リズムなども取りやすいです。バラード曲なので、慣れないうちは若干テンポを上げてもよいかもしれません。音域がマッチするのであれば練習曲に良いと思います。

　『copy light』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G#～hiD#（裏声はhiFまで）といった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回はmid2G#～hiC辺りが比較的多く、男性としてはかなり高音感があります。間奏が比較的長いため、休憩などを入れやすいですが、それでもやはり高音域が得意である必要があります。低音域についても男性曲としては高いレンジです。
　こうした点を考慮すると、「高音域が非常に得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。今回は音域的に女声曲と近似するため、女性の方が原キーでチャレンジしやすいかもしれません（ただし発声ニュアンスなどは異なる）。


【まとめ】

①男性曲としてはかなり中高音寄り
②原キーだと「高音域が非常に得意な男性」向け
③音域的には女性の方が原キーで歌いやすい可能性がある
④要所で裏声が多用されている
⑤メロ自体は比較的わかりやすい。音域が合う人であれば練習曲におすすめ