(2019/02/26)初投稿
(
2020/06/05)mid2D#~mid2G#の音階まで詳細に記載しました

 こんにちは。今回はサカナクションの『アイデンティティ』(2010)、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』(2011)の2曲を取り上げます。どちらもサカナクション5枚目のオリジナルアルバム『DocumentaLy』に収録され、ベストアルバムの『魚図鑑』にも収められています。どちらもよろしくお願いします。
 
  サカナクションは当ブログでは『新宝島』『アイデンティティ』、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』『ネイティブダンサー』『多分、風。』を取り上げています。興味を持たれた方は、そちらもどうぞ。



①『アイデンティティ』(サカナクション)、Identity(Sakanaction)

2010年8月4日発売【アルバム『DocumentaLy』収録

『アイデンティティ』(サカナクション)










【地声最低音】   mid1F#(F#3)

m1F#[生ま]れない m2E[ら]ららm2F#[ら]  


【地声最高音】hiA(A4)  ※サビのロングトーン。曲全体で10回登場

★どうしhiA[てぇ]m2G#[ぇぇ]hiA[ぇぇ](サビ)


【補足】mid2Emid2F#辺りの注意箇所

m2F#[アイ]m2E[デン]ティE[ティ]がない
★好きm2E[な食べ物][何?] そう m2E[そん]E[物差]しを

★今になって そう僕はm2F[考え]m2F#[たん]だろう?
★自分らしさってやm2E[つに] 朝は来m2E[るのか?]


 さて、『アイデンティティ』についてですが、サウンドについては私はアメリカのニューウェイブバンド、トーキング・ヘッズ (Talking Heads)に近いものを感じます。非常にかっこいいです。この楽曲は歌詞が暗めなのですが、それを感じさせない民族的な明るいリズムになっております。
 サカナクションのボーカル山口一郎さんは「サカナクション的な『勝手にシンドバッド』(サザンオールスターズ)を作りたいと考えて、この曲を作った」と発言しております。

 歌詞については全体的に非常に共感できる内容であると思いました。「取りこぼした十代の思い出とかを掘り起こして気づいた これが純粋な自分らしさと気づいた」というフレーズが特に気に入ってます。
 十代というと非常にキラキラしたイメージで、映画等でも美しく描かれることが多いです。まさに青春真っ盛りといったところでしょう。しかし、必ずしも全ての人がそうした爽やかで輝かしい十代を過ごせるとは限りません。「取りこぼした十代の思い出」のような生活を送る人も多いと思います。一方で、そうした「少しジメジメしたような青春時代も、後々振り返ると『自分らしさ』」であることに気付くのです。
 「部屋でゲームばっかりしてたな」、「みんながあまり興味の無いような音楽を一人で聴いてたな」といった一見美しくないような思い出も、『自分らしさ』であるし、後々の人生の糧になるような経験であると私は思うのです。



 さて、『アイデンティティ』の音域についてですが、地声最低音   mid1F#(F#3)~地声最高音hiA(A4) でメロディーが構成されています。以前にレビューした『新宝島』よりも狭い音域ですが、歌唱難易度的には『アイデンティティ』の方が難しいのではないでしょうか。
 
 理由はサビの『どうし【てーえーえー】』の部分です。hiAのロングトーンを普段歌い慣れていない人だと、恐らくここで苦労する可能性があります。hiAというのは一般的には高めの音階であり、それがロングトーンで登場します。
 一般的な男性の音域を考えると、はキーを1~2下げる(♭1~♭2)のも選択肢に入れてください。歌い慣れていない人はもっとキーを下げても良いです。『アイデンティティ』は音域自体は広くないので、キー調整には向いております。
 


②『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』(サカナクション)
Bach no Senritsu o Yoru ni Kiita Sei Desu(Sakanaction)


【地声最低音】mid1D#(D#3)

★月(『つ』き)に慣れた夜になぜ 月(『つ』き)に見とれたのはなぜ


【地声最高音】mid2G#(G#4)  

m2F[気][ぐ][な]m2G#[き]m2G[み]F[い]ろ(サビ)
★部m2F[屋][吹][ぬ]m2G#[る]m2G[い]そのいF[ろ]


【補足】mid2D#の注意箇所

m2D#[バッ]ハの[せ]んりつを[よ]るに[聴]いたせいです(冒頭)

『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』(サカナクション)










 
 次に『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』について見ていきます。この楽曲は「バッハ」という言葉が入っていますが、エレクトロダンスミュージックとロックが融合したような構成になっております。サカナクションらしい楽曲です。歌唱については詩吟をイメージしたとのことです。「バッハ」については『チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調』の一節が引用されています。

 ポップスの楽曲の中にクラシック音楽の一節を入れる曲と聞くと、私は英国のロックバンドMUSEの楽曲『United States of Eurasia』(2009 )を思い出します。この楽曲ではショパンの『夜想曲2番』が引用されています。また、ゲスの極み乙女。の『キラーボール』(2013)でも、同様にショパンの『幻想即興曲』が引用されました。



 
 さて、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』の音域ですが、地声最低音 mid1D#(D#3)~地声最高音mid2G#(G#4) でメロディーが作られています。音域的には一般の男性の声域の範囲内、もしくはやや高いです。カラオケ等において盛り上がるタイプの楽曲ではないと思いますが、先に登場した『アイデンティティ』よりは歌いやすい曲であると思います。

 この地声最高音mid2G#辺りから、一般的な男性にとって難しくなります。場合によってはキーを下げることも検討してください。この曲も比較的キーの調整は利きやすいです。

 この『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』の歌詞は、恋人とのすれ違い・別れが描かれていると思います。恋人との思い出の曲がバッハというのは凄くオシャレだと思います。サカナクションはアンセムのように力強い歌唱を行っていますが、歌詞の内容に近づけて、少ししっとりと歌ってみるのも面白いかもしれません。