カテゴリー

『蓮の花』(サカナクション)の音域と感想

 こんにちは。今回はサカナクションの『蓮の花』(2014)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『蓮の花』(サカナクション)、Hasu no Hana(Sakanaction)


【地声最低音】mid1G(G3) 

★今朝 逃がした  [あの]小さ[い]蜘蛛  どうしてん[だろう]


【地声最高音】hiC(C5)  ※ラストサビで転調(+1)

hiC[wo] hiA#[wo] mid2G#[wo] mid2G[wo] [は][な]2F[降][は]な降る 水辺


【補足】mid2F#hiC辺りの注意箇所

★疲れるよm2G[る]m2F#[が][待っ]てる(Aメロ)
★静かにきm2G[み][を][妄]hiA[想し]hiB[たい][の]G[に]
★花散る 花散る 風で  hiC[yeah] hiA#[yeah] 2G#[yeah]2G#[ yeah](転調後サビ)

※3番Aメロ後(リンク動画2:52頃)でhiDのフェイク
※ラストサビ後(動画3:57頃)にhiD#のフェイク
※もしかしたら、Aメロのここのフレーズが一番難しいかもしれません


『蓮の花』(サカナクション)










 まず、『蓮の花』についてです。この楽曲は2014年に5人組ロックバンド・サカナクションによりリリースされたシングル作品です。『さよならはエモーション/蓮の花』の両A面シングルとしてリリースされました。『蓮の花』は映画『近キョリ恋愛』の主題歌として提供された作品ですが、シングル作品では一部生楽器で録り直すなど行っております。つまり、映画バージョンとシングルバージョンの2つが存在することになります。
 YouTube公式チャンネルではMVが公開され、2019年5月現在で470万回もの再生回数を記録しております。

 『蓮の花』のサウンドについてです。両A面の一方である『さよならはエモーション』がアップテンポ気味の作品であるのに対し、『蓮の花』はややゆったりしたアレンジになっております。また、生楽器で撮り直すなど行ったこともあり、バンドの音色が非常に心地良いです。例えば、サビのギターのカッティングなどが非常に耳に残ります。サイケデリックな印象も受けます。
 また、メロディーでは転調が行われております。メロディーの構成自体は【Aメロとサビ】によるシンプルなものですので、ドラマや映画主題歌などでありがちな壮大かつドラマティックに展開されている印象はそこまで強くないです。一方で、ボーカルの音域は男性としてはかなり高く、耳に残りやすいのではないかと思います。

 歌詞についてですが、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のオマージュのような歌詞になっております。「苦悩する「僕」を蜘蛛の糸で引っ張り上げてほしい」という歌詞が印象的です。これは歌詞の制作に悩んだボーカルの山口一郎さんの心情を表わしたものであると言われています。蜘蛛が自宅に現れたというのも自身の体験から想起させられたものだそうです。

 一方で、タイトルが『蓮の花』となっている点が非常に個性的だとも思いました。芥川龍之介の作品では地獄に落ちた主人公カンダタを、釈迦が蓮の池から覗き見るという形になっています。『蓮の花』でも苦悩する様子が描かれている反面
、サビで登場する「花の降る水辺」、「花散る風で」といった美しさが非常に強調されています。『蜘蛛の糸』と『蓮の花』では描かれる色合いが大きく違うように感じました。少しですが、モネの絵画『睡蓮』なども想起させられます。ちなみに蓮の花と睡蓮(スイレン)は似ていますが、異なる植物です。
 


 
 さて、『蓮の花』の音域についてですが、
【地声最低音】mid1G(G3) ~【地声最高音】hiC(C5)でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高いです。どちらかと言えば、女性の音域に近い形だと思います。

 まず、一つ断っておきたいことがあります。サビで出てくる[wo wo wo wo]の部分ですが、歌詞には記載されていません。カラオケ等の点数では実際にどのように判定されるのかは分かりません。ただ、ここを省略すると間違いなく楽曲のニュアンスが大きく変わってしまいます。故に、音域については、歌詞に無いこの部分も含めております。

 『蓮の花』ですが、
hiB,hiCといった音階が登場します。全体として、音域は高めであり、最低でもhiA辺りの音階が確実にこなせていないと厳しいと思います。ある程度歌い慣れている男性でも歌いにくい可能性があるということ留意しておいてください。

 実際に歌ってみた個人的な感想ですが、
hiC,hiBといった音階が登場する楽曲の中では比較的手を付けやすい部類ではあると思います。最高音がhiA程度の楽曲を歌いこなせるのであれば、試しに歌ってみても良いと思います。データほどは高さを感じません。サビのキーの高い部分は裏声で対応するというのもありかもしれません。
 『蓮の花』は音域自体はそこまで広くないですので、キーの調整はしやすいと思います。高い音域が苦手な場合はキーを下げるというのもアリだと思います。

 『蓮の花』は音域的には女性のキーに近いですので、女性が歌っても良いと思います。声が標準よりやや低いくらいの女性であれば、原曲キーでも良いと思います。声を張らずに優しく歌っても合う楽曲だと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする