『愛されなくても君がいる』( ピノキオピー ) の 音域

　まず、『愛されなくても君がいる』についてです。この楽曲は、２０２０年にボカロPのピノキオピーによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、２０２１年のベストアルバムの『PINOCCHIOP BEST ALBUM 2009-2020 寿』に初収録されました。また、同じ年にリリースされた
フルアルバム『ラヴ』にも収められております。

　さて、『愛されなくても君がいる』は初音ミク「マジカルミライ 2020」 テーマソングとして書き下ろされました。歌詞は初音ミクからファンに向けて、もしくはボカロPからファンに向けての感謝を歌った作品となっております。私は熱心なボカロファンではないのですが、楽曲を聴いたときに、非常に印象に残った楽曲でもあります。現在、ピノキオピーさんのYouTubeチャンネルでは７００万回を超える再生回数を記録しております。


　『愛されなくても君がいる』はアッパーなデジタルポップです。全体的にキラキラ感があり、明るい印象です。歌メロはAメロBメロサビとと展開しますが、ボカロ曲としては聞き取りやすく、J-POPなどにも近いテイストなのではないかと思います。ラストサビでは転調が行われ、キーが1つ上がります。使用されているボーカロイドは初音ミクです。

　『愛されなくても君がいる』の音域的な特徴についてです。同曲は、女性の音域としては極めて高いレンジで歌メロが作られております。そのため、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲はAメロBメロサビという構造はありますが、とりわけサビで大きく盛り上がります。ラストサビで転調しキーが上がる点なども含め、音域が極めて広いです。そのため、歌い慣れた人がキー調整をしても難しい部分が出てくるかもしれません。場合によっては、低音パートと高音パートに分けるなどして、複数人で歌うことも選択肢に入れてください。

　ちなみに、男性が同曲を歌唱する場合、人によっては1オクターブ下のレンジでもマッチするかもしれません。ある程度カラオケが好きで、高音域も得意な男性などはキーを3つ程度上げて、1オクターブ下で歌唱するのもよいのではないかと思います。先述のように、音域自体が広いため、歌う人を選ぶ作品になりそうです。男性の場合も、複数人でパート分けをして歌うことも選択肢に入れてください。



　最後に『愛されなくても君がいる』の音域についてですが、【地声最低音】mid2B(B3)～【最高音】hihiC(C6)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、極めて高いです。以下、見ていきます。

　まず、最高音hihiCはラストサビで登場します。登場回数は1回のみですが、ロングトーンです。このhihiCは女性の音域としても相当高く、通常は裏声（ヘッドボイスorホイッスルボイス）などで歌唱することになるのではないかと思います。このhihiCを除くと、hihiA#がラストサビを中心に複数回登場します。この辺りも女性の音域としてはかなり高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。
　一つの目安ですが、原曲キーから３つ程度下げてみてください（♭３程度）。「高音域が非常に得意な女性」ならば、この程度下げるとマッチするのではないかと私は推測しております。


　『愛されなくても君がいる』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ただ、同曲は音域がかなり広く、最高音も非常に高いです。そのため、キー調整をしたとしても難しい部分が出てくる可能性が高いです。そのため、低音パートと高音パートに分けるなど場合によっては複数人で歌唱することも選択肢に入れてるとよいと思います。

　『愛されなくても君がいる』を原曲キーで歌唱する場合、hiE～hihiCといった高音レンジをしっかり歌いこなせる力が求められます。そのため、女声域としてもかなり高く、ボカロ曲が非常に得意な人向けになります。「高音域が極めて得意な女性」などが原曲キーでギリギリ歌える人もいるのではないかと私は判断しました（割合的にはかなり少ないと思います）。
　今回の楽曲は1人で歌唱するのは非常に大変かもしれません。個人的には複数人でパート分けをして歌唱することをおススメしたいです。


　『愛されなくても君がいる』は音域が非常に広く、歌いこなすのが大変な楽曲かもしれません。ただ、楽曲自体は非常に親しみやすく、多くに人に届きうる普遍性のあるポップ曲だと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。