『コイコガレ』(milet×MAN WITH A MISSION)の音域

　まず、『コイコガレ』についてです。この楽曲は、２０２３年に女性シンガーソングライターのmiletさんとロックバンドMAN WITH A MISSIONによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとしてリリースされたのち、５月に『絆ノ奇跡』との両A面シングルとしてCDリリースされました。

　さて、『コイコガレ』は吾峠呼世晴さんの同名漫画を原作としたアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』のエンディングテーマとして制作されました。当ブログでも以前取り上げたオープニングテーマ『絆ノ奇跡』(過去記事)とともにmiletさんとマンウィズとのコラボ曲です。人気アニメの主題歌ということもあり『コイコガレ』のミュージックビデオは既に１３００万回を超える再生回数を記録しております（２０２３年６月現在）。
　『絆ノ奇跡』はどちらか言えばMAN WITH A MISSIONの側に主軸が置かれていましたが、今回の『コイコガレ』は主旋律の多くをmiletさんが担当しております。そうしたこともあり、クレジットも【milet×MAN WITH A MISSION】とmiletさんが先に記述されています。


　『コイコガレ』はアッパーなバンド曲です。今回は作詞作曲アレンジを梶浦由記さんが担当しております。梶浦さんは『鬼滅の刃』作品とは縁が深く、これまでに劇伴音楽なども含め取り組まれております。主題歌ではLiSAさんの『炎』(過去記事)、『明け星』(過去記事)、Aimerさんの『朝が来る』などを担当されております。

　『コイコガレ』の音域的な特徴についてです。同曲は、主旋律の大部分をmiletさんが担当されており、大よそ一般的な女性の音域の範囲内で歌メロが作られております（女性曲として分析します）。一般的な音域の女性も原曲キーでの歌唱が可能だといえます。
　一方、同曲はボーカルが複数人ということもあり、メロが断続的に続き、息継ぎが難しい場面があります。そのため、「どこで息継ぎを入れるか」、場合によっては「どこを歌わないか」といったことまで整理しておくとよいと思います。

　ちなみに、同曲を男性が歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいと思います。一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ程度下げてみてください（♭３～４程度）。一方、高音域が非常に得意な男性などはもしかしたら原曲キーでの歌唱が可能かもしれません。ただ、音域的にはmid2F#以上のレンジが非常に多く、男性曲の「最高音hiBの楽曲」よりもずっと高いです。



　最後に『コイコガレ』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiC(C5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。

　まず、地声最高音hiBはサビを中心に登場します。登場回数は全体で５場面（１０回程度）です。このhiBは女性の音域の範囲内ですが、歌い慣れていないとスムーズな発声が損なわれやすいです。ただ、女性であれば比較的克服しやすい音階でもありますので、少しずつ練習を重ねてください。高音域が苦手な方などはキーを下げるのも選択肢です。


　『コイコガレ』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。そのため、歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することができそうです。
　一方で、同曲はボーカルが複数人いるということもあり、息継ぎが大変な場面もあります。そのため、「どのメロを歌うか」、「どのメロは省略するか」といったことまで整理しておきたいです。また、Bメロ辺りは転調が多く、音程を取るのが苦手な人は少し大変かもしれません。その点も含めると、やはり歌い慣れた人向けの楽曲といえそうです。

　『コイコガレ』はアッパーなバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。現在放送中のアニメの主題歌ということもあり、思い入れの強い方も多いかもしれません。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。