『さぁ』( SURFACE ) の 音域

　まず、『さぁ』についてです。この楽曲は、１９９８年に２人組音楽ユニットSURFACE（サーフィス）によりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、翌年にリリースされた『Phase』（フェイズ）に初収録されました。同アルバムには、『なにしてんの』、『ジレンマ』、『それじゃあバイバイ』といったシングル曲が収録されており、40万枚ほどのCDセールスを記録しました（日本レコード協会よりプラチナ認定がなされております）。

　『さぁ』は桜野みねねさんの同名漫画を原作としたアニメ『まもって守護月天!』のオープニングテーマとして書き下ろされました。同漫画は累計発行部数が500万部を超える人気作であります。SURFACEとしては初のアニメの書き下ろし楽曲となります。タイアップと楽曲の質も相まって、SURFACEの楽曲としても人気の高い1曲となっております。売上としては、配信部門で２０１６年に１０万ダウンロードを超えるロングヒットとなりました。そうした点からも長く愛されている楽曲と言えるのではないかと思います。


　『さぁ』はアップテンポのバンド曲です。歌メロはAメロとサビから成り、シンプルです。作詞はボーカルの椎名慶治さん、作曲編曲は椎名さんと永谷喬夫さんによりなされました。永谷さんはギター担当のであり、キーボードなど多くの楽器もこなします。作曲や編曲の多くは永谷さんによりなされております。永谷さんはアニメのキャラソンなどでも多くの楽曲を提供していらっしゃいます。

　『さぁ』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としてはかなり高いレンジで歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲は、最低音がmid1Gであり、男性曲としては高いです。そのため、相対的に中高音域が多く、地声最高音はhiDとなります。そのため、男性よりもむしろ女性の方がマッチするかもしれません（女性だと一部低音が歌いにくいかもですが）。ただ、高音域が非常に得意な人だと挑戦心をくすぐられるようなレンジだとも感じます。

　同曲は音域を総合すると、女性が原曲キーで歌唱することも可能だと思います。低音域のmid1Gやmid2A#などの登場回数が少し多いので、人によってはキーを上げた方が歌いやすいかもしれませんが、音域的には女性の方がマッチしやすいと思います。



　最後に『さぁ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3)～【地声最高音】hiD(D5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、かなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1GはAメロで登場します。登場回数は多いです。この辺りは男性の音域の範囲内です。ただ、mid1Gが最低音となる男性曲は、高い確率で「一般的な男性にとってはキーが高い曲（スタミナも不可欠）」となります。今回の『さぁ』については、明確にこの傾向が当てはまります。
　男性にとっては歌いにくい分、女性が原曲キーで歌唱することも一応は可能です。ただ、Aメロはやや低く、音域もある程度広いため、しっかりした練習は必要だと思います。

　次に、地声最高音hiDはサビで登場します。登場回数は７回程度です。このhiDに次ぐ高音としては、hiCが全体で8～9回程度登場します(サビはhiA以上の割合が高い)。そのため、男性の音域としてはかなり高く、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。


　『さぁ』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。そのため、歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することができると思います。ただ、同曲は地声最高音がhiDであるため、一般的な男性が大きなキー調整が必要になります。その点で違和感などを感じる方も多いかもしれません。

　『さぁ』を原曲キーで歌唱する場合、hiA～hiDといった高音域をしっかり歌いこなせることが求められます。この辺りは男性としてはかなり高く、サビでは頻度が高いです。そのため、「高音域が非常に得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。また、先述のように、女性の中には、同曲の原曲キーがマッチする可能性がある方もおられると思います。個人的には割合としては女性の方がマッチしやすい楽曲ではないかと感じました。


　『さぁ』はアッパーなバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。また、どことなく共感できる「情けない主人公」のような歌詞なども魅力です。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。