『Hello!My World!!』(fhána)の音域[2017年の作品]

★突然に巻き起こるこのm2B[奇]跡　ほら【ラストサビ直前】

★（Tiny revolution a little evolution） hiD[一瞬の]hiE[間]D[にひ]hiC[か]り放て【サビ】

★迷いや不安は脱ぎ去って こhiC[の]hiD–hiE[き[ぼ]う[を]む]ねに

※☆のhiGは地声感があるのですが、今回は「強い裏声」と判断しました。

【補足】hiB～hiDを含むフレーズ一覧

★Magic naviga[tion]hiB Miracle crea[tion] hiD[せ]hiC[か][い]たちまち揺れて【サビ】

★ずっとポケッhiC[ト]hiB[の]なC[か][に] [そ]hiD[っとか]C–B[く]し[持っ]て]た夢が【Aメロ】
★僕は生まれ変わった 世界のhiB[ル]ール変わ[る]hiC[の][さ]

　まず、fhána（ファナ）について少し説明します。fhánaは2011年に結成された音楽グループです。当初は音楽制作・楽器を担当する3名とゲストボーカルで 活動されておりましたが、2012年にゲストとしてボーカルを担当したtowana（トワナ）さんが正式メンバーとして加入し、現在の体制となります。2013年にはランティスよりメジャーデビューしました。ランティスはアニメやゲームの音楽、映像制作などを中心に行う音楽レーベルです。

　fhánaは『有頂天家族』、『僕らはみんな河合荘』、『ウィッチクラフトワークス』といった多くのアニメ主題歌を担当してきました。最近は、『小林さんちのメイドラゴン』シリーズのオープニング曲が非常に知られているのではないかと思います。同アニメのオープニング曲『青空のラプソディ』は、2021年11月現在、YouTube公式チャンネルで再生回数4200万回を超える人気曲となっております。アニメソングを多く担当しているということもあり、関連するアニメを視聴していた人には特に思い入れのあるグループではないかと思います。
　ちなみに、fhána（ファナ）というグループ名は、ゲール語(アイルランド語の一種)「Fána」から由来しており、「坂」を意味するそうです。


　さて、『Hello!My World!!』（ハローマイワールド）についてです。この楽曲は、2017年に4人組音楽グループfhánaによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、2018年の『World Atlas』に収められました（ベストアルバムにも収録）。同アルバムには、先述した『青空のラプソディ』を中心に、アニメの主題歌となったシングル曲も多く収録されております。

　『Hello!My World!!』は、天酒之 瓢（あまざけ の ひさご）さんの同名小説を原作としたテレビアニメ『ナイツ&マジック』のために書き下ろされました。同曲は、グループのYouTubeチャンネルでは530万回を超えており、またSpotifyの再生回数、カラオケランキングでもでも上位に位置しております。fhánaの中でも特に人気の高い作品の1つといえます。

　『Hello!My World!!』はアップテンポのバンドナンバーです。頭サビでメロディーが作られており、AメロサビCメロと展開していきます。全体としてサビ尺が長く、その分体力も要求されそうです。私自身は、キャッチーなメロディーとサウンドワークが非常に耳に残りました。
　同曲の作詞は別のバンドで活躍していた林英樹さんが担当しており、作曲はバンドのリーダー佐藤純一さん、編曲はfhánaとA-beeによりなされております。fhánaの作詞は、基本的に外部の林さんが担当しており、その点が特徴的です。

　『Hello!My World!!』の声域的な特徴についてです。同曲は、女性としてはかなり高いレンジで歌メロが作られております。地声最高音であるhiEが曲全体で非常に多く登場し、裏声でもhiGなど非常に高いレンジが要求されます。また、全体としてサビやCメロなどの「盛り上がり」となるパートの割合が多く、体力も必要不可欠になります。私なりの印象ですが、男性が1オクターブ下を歌唱しても合いやすいのではないかと思います（声質が原曲と大きく異なるので、楽曲のニュアンスは大きく変わると思います）。


　最後に『Hello!My World!!』の音域についてですが、【地声最低音】mid2B(B3)～【地声最高音】hiE(E5)、【裏声最高音】hiG(G5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の声域よりもかなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2Bはラストのサビ前で登場します。曲全体で1回程度です。このmid2Bを除くと、mid2Dが最低音となります。このmid2Dは女性曲の低音部としても高めのレンジであります。低音部が高い分、必然的に高音域も高くなりやすいため、「キーが高い曲」となることが多くなります。本作もその傾向が如実に表れております。

　次に、地声最高音hiEはサビやCメロで登場します。登場回数は曲全体で20回以上と非常に多く、地声のhiDや裏声のhiGなどとコンボになっております。声域的にはボカロ曲などに近く、一般的な女性曲としては相当しんどいのではないかと私は分析しました。通常はキーを下げた方が歌いやすいです。ちなみに、男性だと1オクターブ下でも歌唱できるのではないかと思います。

　『Hello!My World!!』は低音部分に余裕があり、キー調整はしやすいです。歌い慣れた人であれば、自分が歌いやすいレンジに調整することも可能なのではないかと思います。ビギナー向けの調整も可能だとは思いますが、裏声が広く、息継ぎなどが大変な部分もあり、歌いにくい部分もあるのではないかと私は分析しております。
　全体として歌メロが非常にキャッチーであり、ジェットコースターのようなワクワク感があります。聴く側としては非常に気分が上がるのですが、歌う側としてはかなり大変なのではないかと思います。ただ、カラオケ等で高いレベルで歌いこなせると非常に気持ちよいのではないかと強く感じました。


　『Hello!My World!!』を原曲キーで歌唱する場合、地声hiE辺りをしっかり歌いこなせる力が求められます。高音域の頻度がかなり高いですので、スタミナなども必要不可欠です。また、裏声hiGなどを器用に使いこなす必要もあります。よって、原曲キーの場合は、高音域が非常に得意な人向けの作品であります。

　『Hello!My World!!』は音域面での歌唱難易度が高いですが、メロディーやサウンドがよく、歌いこなせると非常に気持ちがいいのではないかと思います。同曲はfhánaの人気曲ですが、私自身は、今後もっと広く知られる作品となるのではないかと感じました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。