『乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう』(粗品)の音域

　まず、『乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう(CV: 竹達彩奈)』についてです（以下、『乱数調整のリバースシンデレラ』）。この楽曲は２０２１年にお笑いコンビ霜降り明星のメンバー・粗品さんによりリリースされたシングル作品です。

　粗品さんは音楽に造詣が深く、２０２０年にはボカロPとしての活動を開始します。ボカロP以外での楽曲制作も行っていき、２０２１年に今回取り上げる『乱数調整のリバースシンデレラ』をリリースしました。タイトルにもあるように、キャラクター彩宮すうをフィーチャリングした楽曲で、声優の竹達彩奈さんが声を当てております。


　『乱数調整のリバースシンデレラ』はアッパーなバンド曲です。頭メロでサビが始まり、AメロBメロサビと展開します。全体的に親しみやすいメロであり、耳に残りやすい作品でないかと思います。
　同曲は歌詞が特徴的な作品であり、表向きは「王女の彩宮すうが”運命の人”探しに奔走する」内容となっております。一方、同曲は歌詞の中で様々な数字が登場し、それらを足し合わせていくと、楽曲のオチが表れるという要素を持っており、そうした点が魅力の1つでもあります。楽曲とともにミュージックビデオに出てくる乱数カウンターを見ながら楽しむと、より面白いのではないかと思います。

　※ちなみに、「乱数調整」とはゲームに存在する運やランダム性の要素を、コントローラーの操作などにより調整し、狙いの目を引き当てることです。当然賛否はありますが、乱数調整を行うことで、強いキャラを引き当てたり、アイテムドロップ、レベルアップなども思いのままに操ることが可能になります。
　今回の『乱数調整のリバースシンデレラ』は歌詞中に登場する数字が積み重なることで、最終的に「運命の人」にたどり着く仕掛けとなっております（主人公の姫は気付かないままですが）。楽曲の制作のみならず、ミュージックビデオビデオに表示される仕掛けなども粗品さんが単独でプロデュースしたそうです。


　『乱数調整のリバースシンデレラ』の音域的な特徴についてです。同曲は、おおよそ一般的な女性の音域の範囲内で歌メロが作られております。高音域が苦手な女性などは少しキーを下げてもよいのはでないかと思います。
　同曲は、ラストサビの一部を除くと、地声高音がhiA#,hiAとなっており、女性の音域としては標準的であり、J-POPの女性曲としても高くありません。そのため、一般的な音域の女性でも原曲キーでの歌唱が可能だと思います。

　ちなみに、同曲を男性が歌う場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。高音域が得意な男性だと原曲キーでの歌唱も可能かもしれませんが、ボーカルの竹達彩奈さんのような表現で歌うのは男性だとかなり大変です。そのため、高音域が得意な男性でもキーを下げるのが無難だと思います。



　最後に『乱数調整のリバースシンデレラ』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiC#(C#5)、【裏声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内（一部が「やや高め」）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最高音hiC#はラストサビで登場します。登場回数は2回程度です。このhiC#辺りは女性の音域のボーダーラインような音階であり、人によってはこの辺りからスムーズな発声が損なわれやすくなります。原曲キーでも歌唱可能な人も多いですが、場合によってはキーを下げるのも選択肢だと思います。
　ちなみに、同曲は同じようなhiC#のフレーズを裏声で歌っている場面もあります。高音域が得意でない女性は、場合によっては「hiC#を全て裏声」で統一してもよいかもしれません。


　『乱数調整のリバースシンデレラ』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。同曲は音域自体もそこまで広くないため、キー調整もしやすく、ビギナーの練習曲としても使いやすい方だと思います。一部メロが速い部分がありますが、全体的にリズムも取りやすく、個人的にはおススメしやすい楽曲だと感じました（歌詞内容にもしかしたら好き嫌いはあるかもしれませんが）。

　『乱数調整のリバースシンデレラ』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G～hiC#といった高音域をしっかり歌いこなせることが求められます（hiC#は裏声でも可）。今回は高音としてはhiA,hiA#辺りが多く、J-POPの女性曲としてもそこまで高くはありません。そのため、「標準より低め～ある程度高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。高音域が得意な女性はhiC#を地声で歌ってもよいと思います。


　『乱数調整のリバースシンデレラ』はアッパーなバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。個人的には歌詞なども非常に耳に残りました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。