『綾』( My Hair is Bad ) の 音域

　まず、『綾』（あや）についてです。この楽曲は、２０２２年に３人組ロックバンドMy Hair is Badによりリリースされたアルバム『angels』に収録されております。同アルバムには、シングル『カモフラージュ』、『白昼夢』、『味方』といった作品が収められております。当ブログではリード曲の１曲である『歓声をさがして』(過去記事)という曲を取り上げたことがあります。

　さて、『綾』はアルバムの５曲目に収録されているスローなバンド曲です。歌メロはAメロBメロサビと展開します。また、同曲の歌詞は伴侶を持つ人との恋愛が描かれており、主人公がその恋を終わらせるという内容になっております。アルバム曲でありながら、そうした切ない歌詞世界も人気の要因なのではないかと思われます。作詞作曲はボーカル＆ギターの椎木知仁さんによりなされました。


　『綾』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。低音域に余地があるため、一般的な男性は少しキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲はAメロでは中低音中心、それ以外のBメロサビDメロでは中高音中心のメロが展開されます。そのため、低音～高音まで音域が広めになっています。ただ、割合的には中高音の頻度が高く、mid2D#～mid2G#辺りが非常に多く見られます。そのため、終盤などは体力的に辛くなる可能性もあります。メロは地声ベースですが、一部で裏声が用いられます。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすそうです。今回は必要不可欠な低音域がmid1D#辺りであり、女性の音域としては相当低いです。そのため、いくばくかキーを上げた方がより歌いやすいと思います。一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ程度上げてみてください（#3～4）。



　最後に『綾』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C(C3)～【地声最高音】mid2G#(G#4)、【裏声最高音】hiC(C5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高め（体感的には明確に「高い」といってもよいかも）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1CはAメロで登場します。このmid1Cは歌い出しの瞬間的な音であり、そこまで厳密な音程にこだわらなくてもよいのではないかと私は推測しております（歌えるに越したことはない）。今回の楽曲については、mid1D#辺りがしっかり歌えるとある程度形になりやすいのではないかと私は分析しました。

　次に、地声最高音mid2G#はBメロやサビで登場します。登場回数は２４回と多いです。今回はAメロを除く大部分でmid2D#～mid2G#辺りが多く登場します。そうしたことから、最高音mid2G#の楽曲としては高音感があり、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいといえそうです。一つの目安ですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください。


　『綾』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意とするレンジに調整することができると思います。一方、同曲は音域自体が広めの作品であるため、ビギナーだと一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。その点は留意しておいてください。
　同曲はメロディー自体は比較的分かりやすく、音域が合う人であれば練習曲には使いやすい印象です。歌メロも速すぎず遅すぎずちょうどよさそうです。

　『綾』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D#～mid2G#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はAメロ以外の多くの場面でこうした音階が登場し、見た目以上に高音感があります。
　こうしたことを踏まえると、「標準より高め～高音域が得意な男性」などが原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。


【まとめ】

①Aメロは中低音中心、それ以外の大部分は中高音が頻出する（音域は広め）
②原キーだと「標準より高め～高音域が得意な男性」などに合いそう
③メロやリズムは分かりやすく、音域が合えば練習曲向き