『Q-vism』(Who-ya Extended)の音域

★愛想ぶったキスm2G[に]m2F#[銃]を革命ぶったハグG[に]F#[ナイ]フを

★涙だって毒牙で刺す奇想殺伐すらm2G[祈り]m2F#[だっ]た 
★背後に見たピースをもう一度m2G[だ]m2F#[け]ぇ

　まず、『Q-vism』（キュビズム）についてです。この楽曲は、2019年に音楽ユニットWho-ya Extended（フーヤ・エクステンデッド）によりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、2020年にリリースされた『wyxt.』（ダブリューワイエックスティー）に収められております。

　『Q-vism』はテレビアニメ『PSYCHO-PASS ３』オープニングテーマとして書き下ろされました。『PSYCHO-PASS』は人気のオリジナルアニメであり、映画化なども行われております。その中で、Who-ya Extendedは『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』という劇場版の主題歌も担当しております。

　ちなみに、Who-yaさんは、デビュー当初は顔出しがされておりませんでした。これは、『PSYCHO-PASS』や楽曲そのものの世界観のために、表に出ることを避けられていたようです。現在は顔出しなどを行っております。


　『Q-vism』はアップテンポのロックナンバーです。歌メロはAメロBメロサビとなっておりますが、2番以降は、その流れに必ずしも踏襲していません。上の音域表記では、便宜上【2番Aメロ】としていますが、私自身はCメロのように感じており、Cメロ⇒Bメロ⇒ラストサビへと展開します。このため、演奏時間3分程度とコンパクトになっており、非常に密度が濃いです。作詞作曲アレンジは、Who-ya Extended名義となっております。

　私自身も音域調査をしていて時々感じるのですが、最近のJ-POPの楽曲は、2番以降についてはAメロBメロサビと展開せずに、最後のサビへと向けて準備をしているような作品が増えております。そのため、今回の『Q-vism』のように、演奏時間がコンパクトなものが増えている印象です。

　ちなみに、タイトルの『Q-vism』とは、画家のパブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックなどによって興ったキュビズム（Cubism）から由来しております。ピカソというと、独特な絵画で有名であります。具体的には、キュビズム以前の絵画は、一つの視点から描かれていたのに対し、キュビズムによる絵画は、様々な視点から見た物の形を一つの画面に描いております。
　その中で、私自身は、楽曲『Q-vism』について、ピカソの絵画のように多数の視点から物事観察したような混沌感を感じました。

　『Q-vism』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性としては高めのレンジで歌メロが作られております。AメロBメロはmid2Gなど高めの音が登場しますが、比較的抑え気味に歌われており、サビで表現が爆発します。キー調整は可能ですが、歌い慣れた人向けの楽曲であると思います。


　最後に『Q-vism』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最高音hiBについては、サビを中心に登場します。各サビで4回ずつ登場し、曲全体で9回程度見られます。登場回数もやや多く、サビの美味しい部分で、このhiBが使われております。したがって、原曲に近い表現をしたい場合は、この地声hiB辺りが不可欠になると思います。このhiB辺りは男性の声域としては高いですので、一般的には、キーを下げた方が歌唱しやすいです。目安として、原曲キーから３つ程度下げてみてください（♭３）。

　『Q-vism』は低音部分に余裕があり、キー下げなどもできます。歌い慣れた人であれば、自分の合いやすいレンジに調整することが可能だと思います。一方で、ビギナーなど歌い慣れていない人の場合は、キー調整を行っても難しい部分が出てくるかもしれません。キー調整をしても難しいと感じたら、別の易しめの曲と並行して練習を行ってください。

　ちなみに、同曲を原曲キーで歌唱する場合、先にも述べたように、hiBがしっかり歌えることがカギとなります。一方で、回数としてはmid2E～mid2G辺りの中高音も意外と多いです。mid2E～mid2G辺りがしっかり歌えることも重要になります。その辺りも踏まえて、練習に励んでください。

　『Q-vism』は人気アニメの主題歌ということもあり、非常に質が高く、カラオケなどでも歌いやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。