なお、『1/3の純情な感情』はアーティストおよびレーベルの公式チャンネルでミュージックビデオや音源が公開されておりません。ただ、Acid Black Cherryの公式チャンネルでは音源が視聴可能ですので、yasuさんによるカバーを添付いたします。ちなみに、ストリーミングではSIAM SHADEの原曲も視聴可能です。
『1/3の純情な感情』(SIAM SHADE)、1/3 no Junjou na Kanjou(SIAM SHADE)
【地声最低音】mid1C#(C#3) ※Aメロで登場
★長くて眠れないm1F[よ]るが 君への[お]もm1C#[い]【Aメロ】
★m2E[凍]てつく夜の寒さも Goo[d]m1Eこらえられ[る]【Bメロ】
※低音域が苦手な方はmid1C#に必ずしもこだわらなくても良い
【地声最高音】hiB(B4) ※曲全体で3回
★（壊れるほど愛しても）3分のいm2F#[ち]も[つ]m2G#[た]hiA[わ]hiB[ら]ない【冒頭以外のサビ】
※その他hiAを含んだフレーズが7回登場。
【補足】mid2F～hiAを含むフレーズ一覧
★壊れm2E[る]m2F#[ほ][ど]愛F#[し]て[も]【冒頭サビ】
★3分のいm2F#[ち]も[つ]m2G#[た]hiA[わ]G#[ら]ない
★(純情な感情は空回り I love you さえ言えないでいる) m2F#[My hea]rt
★「それは恋なんです」とm2F–m2F#[さ[さ]や]くよ【Aメロ】
★揺れる鼓動は微熱混じりのm2F–m2F#[た[め]い]きF–F#[へ[と]か]わる
★m2E[Give me] smile and shine [days] [君]のsmile m2F#[で][ぇ]【Bメロ】
★見つめm2E[ら]m2F#[れ][る]と言[え]F#[ない] 言葉[が]F#[宙][に]舞う【2番サビ】
まず、SIAM SHADE（シャムシェイド）について少し説明します。SIAM SHADEは1989年に結成、1995年にメジャーデビューした5人組のロックバンドです（2002年には解散しましたが、最近では2016年に一時的な再結成を行っております）。ちなみに、活動初期は、ヴィジュアル系のスタイルを取っていたそうです。
SIAM SHADEは今回取り上げるシングル『1/3の純情な感情』が70万枚近いセールスを記録し、人気バンドの仲間入りを果たしました。バンドの人気曲としては、上記の他に『グレイシャルLOVE』、『曇りのち晴れ』、『Dreams』などが知られております。シングル曲の中では、私は『NEVER END』、『せつなさよりも遠くへ 』といった作品も印象に残りました。
SIAM SHADEは『1/3の純情な感情』が人気アニメの主題歌として爆発的なヒットを記録したため、そこに着目されがちです。ただ、バンドとしては、ハードロック、ヘヴィメタル、プログレッシブ・ロックの色合いが強く、テクニカルで硬派な印象であります。『D.Z.I.』や『Allergy』、『Don’t Tell Lies
』といったアルバム曲、カップリング曲などはファンにも非常に人気があります。激しめのバンド曲などが好きな方はアルバム曲などもお奨めできるバンドであります。他者のブログですが、「DETARAME THOUGHTS」というブログで、SIAM SHADEのヘヴィメタルの側面を詳しく紹介されておりますので、今回添付いたします。興味のある方はご参照ください。
さて、『1/3の純情な感情』（さんぶんのいちのじゅんじょうなかんじょう）についてです。この楽曲は、1997年に5人組ロックバンドSIAM SHADEによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、『SIAM SHADE IV・Zero』に収められました。CDシングルとしては60万枚を超える大ヒットを記録し、ベストアルバムなどにも収録されました。ファン以外にも幅広く浸透した代表曲とも言えます。
『1/3の純情な感情』は、和月伸宏さんの同名漫画を原作としたアニメ『『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のエンディングテーマとしてタイアップが付きました。『るろうに剣心』シリーズは漫画、アニメ、実写映画ともに大ヒットを記録し、JUDY AND MARY、ONE OK ROCKなどの人気曲も生み出しております。累計発行部数は7000万部を超える少年漫画です。
こうしたこともあってか、同曲は、アニメソングとしても側面も強く、ミュージシャンのみならず、声優やアイドルにもカバーされております。また、ゲームアプリやリズムゲームなどで使用されるなど、リアルタイムでSIAM SHADEの作品に触れていなくても、聴いたことがあるという方も多いかもしれません。先にも述べたように、Acid Black Cherryによるカバーは、配信でもゴールド認定されております。
さて、『1/3の純情な感情』はアップテンポのバンドナンバーです。頭サビで歌メロ始まり、AメロBメロサビへと展開します。作詞作曲はSIAM SHADE、編曲にはバンドと共同で明石昌夫さんがクレジットされております。明石さんはビーイングのアーティストとゆかりが深く、B’zやZARDなどのサウンドアレンジにも携わっております。
ちなみに、同曲は、英語版のウィキペディアではプログレッシブロックなどに分類されております。プログレは、日本ではX Japanなどに代表されます。同曲については、私は、転調が複数回行われている点、ギターソロなどにプログレっぽさを感じました。歌メロについても、ややリズムが取りづらい部分がある点など、親しみやすさの中に難しい場面もあります。
『1/3の純情な感情』の声域的な特徴についてです。同曲は、男性としては高いレンジで歌メロが作られております。サビでhiA、hiBといった高いレンジが登場しますので、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。また、低音域も意外と低いですので、女性はキーを上げた方が歌いやすいと思います。
ちなみに、ボーカルの英喜（ヒデキ）さんは、高音部分でにエッジをかけており、爽やかな楽曲の中にもややガラガラしたニュアンスが込められております。こうした表現について、私はSIAM SHADEのハードロック、メタル的な側面が垣間見えた気がしました。
最後に『1/3の純情な感情』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)～【地声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高いです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1C#はAメロで登場します。私なりの個人的な感覚ですが、このmid1C#については、男性の声域の範囲内ですが、若干低いレンジになります。低音域が苦手な男性などは厳密にこだわらなくてもよいのではないかと思います。
それ以外の場面ではmid1Eなどが登場します。女性が歌唱する場合、この辺りはかなり低いです。一般的にはキーを上げた方が歌いやすいと思います。
一方、地声最高音hiBについては、１～２番サビ、ラストサビで登場します。曲全体で3回程度です。加えて、同曲はサビでhiAを含んだフレーズが7回程度登場します。そのため、一般的な男性としては高いレンジであり、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。目安としてですが、原曲キーから３つ程度下げてみてください（♭３）。
『1/3の純情な感情』は低音部分に若干の余裕があり、キー調整は可能です。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに合わせることも可能なのではないかと思います。一方で、音域自体がやや広いため、ビギナー向けの調整などはやや難しいのではないかと私は考えております。
通常、キーを下げると低音が歌いにくくなることも頻繁にあるのですが、「低音域は曖昧でもいいから、サビで頑張る」というように、パートごとに強弱をつけて練習してもよいと思います。
『1/3の純情な感情』を原曲キーで歌唱する場合、hiA、hiBといった声域が安定的に歌いこなせる力が求められます。先にも述べたように、曲全体で10回程度（hiAが7回、hiBが3回）登場します。また、AメロBメロでもmid2F#が登場するなどします。原曲キーの場合は、ある程度高音域が得意な男性向けの作品といえます。
『1/3の純情な感情』はカバーも多くされており、今でも愛されるバンド曲です。歌詞についても、片思いの恋心が歌われており、広い世代に共感されやすいのではないかと感じました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。