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『パメラ』(須田景凪[バルーン])の音域 [2021年の作品]

こんにちは。今回はバルーンPこと須田景凪さんの『パメラ』(2021)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。
 同曲は、ボカロ曲としてリリースされ、後にセルフカバーされたものです。セルフカバーではボカロの1オクターブ下のレンジで歌唱されております。そのため、キー(調)としては同じで、最低音がmid2F#(F#4)⇒mid1F#(F#3)、地声最高音hihiA(A5)⇒hiA(A4)のように対応します。今回はセルフカバーの方が男女ともに歌いやすいと思いますので、須田景凪さんのレンジを中心で表記します。


『パメラ』(須田景凪[バルーン])Pamela、(Keina Suda[Balloon])
『パメラ』(須田景凪[バルーン])の音域





【地声最低音】mid1F#(F#3),mid2F#(F#4) 

★長い夜は貴方の事 ばかm1F#[り]かんm2F[が]m2E[え]て時を過ごす【Aメロ】


【地声最高音】hiA(A4)  ※ラストサビ[転調前]で登場

★そhiB裏[の]m2F#[手]を差し伸hiA地[べ]F#[てお]m2G[れ]【ラストサビ】


【裏声最高音】hiC(C5),hihiC(C5) ※ラストサビ[転調+1]で登場

hiC裏[だんだん]m2F[ひ]m2G[と][り]が染みm2G#[付][いて]【ラストサビ[転調+1]
★こhiC裏[の]m2G[ゆ]m2F[め]が覚FG[め[る]ま]えに


【補足】mid2E(一部のみ)hiBを含むフレーズ一覧

★ああ なm2F#[がい]m2E[夜]は貴方の事 ばかり考えて時を過ごす【Aメロ】
m2F#[Ah 近]m2E[づい]た夏の気配  茹だるそのm2F#[こ][え]で触れて欲しい

★熱を持つ呼吸 割れた花瓶 いずれ全て何気m2F#[なくなっ]m2E[て]いく【Bメロ】
★雲hiB裏[が]hiA[く]m2F#[れ]F#[る]みずm2G地[い][ろ]
★言葉で片m2E[付くもの]なんて 一つも要らhiA裏[な]m2F#[い][と]思う

★ 寂m2G{し]m2F{の]m2G#[感][度]も忘れ[てい]G[く]【ラストサビ[転調+1]

 まず、『パメラ』についてです。この楽曲は、2021年にボカロP・バルーンとしても活躍される男性シンガーソングライターの須田景凪さんによりリリースされたボカロ作品です。ボカロ曲として発表された約1か月後にセルフカバーバージョンもリリースされております。使用ボーカロイドはflowerであり、『刹那の渦』に続き、10か月ぶりのボカロ曲の発表となりました。

 『パメラ』は音楽番組「バズリズム02」が開催する歌い手発掘オーディションの審査課題曲として制作されました(そのほかの課題曲は、他に黒うさPの『千本桜』、syudouさん作詞作曲の『うっせぇわ』、バルーンの『シャルル』)。『パメラ』は、2021年12月現在、YouTube公式チャンネルでも180万回超、セルフカバーは130万回の再生回数を記録しております。ニコニコ動画でもミリオンを達成、しており、『シャルル』(過去記事)、『雨とペトラ』に続き、3作目のミリオン再生となりました。
 ちなみに、須田景凪さん自身も2021年は多くの作品をリリースしており、最近は、ロックバンド・フレデリックとのコラボ曲である『ANSWER』もリリースしました。


 さて、『パメラ』はアップテンポのバンドナンバーです。Bメロの非常に速い歌メロ等はボカロっぽさを感じます(実際に歌唱される方は大変かもしれません)。また、ラストのサビでは転調が行われ、キーが1つ上がります(#1)。私自身は、この【そhiB裏[の]m2F#[手]を差し伸hiA地[べ]F#[てお]m2G[れ]】の転調がの音程が少し難しく感じました(最後の「れ」の部分です)。しっかり聴き慣れておくと、カラオケなどではスムーズに歌えると思います。
 ちなみに、同曲のMVはアボガド6(アボガドロク)により制作されております。アボガド6氏はバルーンの作品と縁が深く、そのほか、そらるさんや天月さん、Eveさんなどのミュージックビデオも手掛けております。


 『パメラ』の声域的な特徴についてです。同曲は、一般的な男性の声域よりやや高いレンジで歌メロが作られております。曲の一部でhiAやmid2G#が登場するため、その辺りが少し高く感じる人もおられると思います。
 また、同曲は音域自体はそこまで広くなく、キー調整などはしやすいです。最低音が比較的高いですので、女性が原曲キーで歌唱することも可能なのではないかと思います(一般的には少しキーを上げた方がより歌いやすい)。
 ※ちなみに、今回、ボーカロイドのバージョンを取り上げたのは、上記のような音域的な側面があります。女性も含め、多くの人にとっては須田景凪さんのセルフカバーのバージョンの方が音程などをつかみやすいと思います(ボーカロイドのバージョンに関しては、原曲キーで歌唱するのは一般的には相当難しいです)。


 最後に『パメラ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3),mid2F#(F#4)~【地声最高音】hiA(A4)、【裏声最高音】hiC(C5),hihiC(C5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の声域よりもやや高いです(ボカロ曲のレンジだとハチャメチャに高い)。以下、見ていきます。

 まず、地声最低音mid1F#はAメロで登場します。このmid1F#は一般的な男性であれば、比較的発声しやすい音階だと思います。また、女性にとっては若干低いですが、歌唱可能といえます。場合によっては、別の高い音をあてても違和感は少ないと思います。
 このmid1F#辺りが最低音となる男性曲は、比較的高い確率で「キーが高めの男性曲」に分類されます。今回の『パメラ』もhiAなどはそこまで多くないですが、mid2E~mid2G#辺りの中高音域がやや多いため、全体としてキーが高めの曲となっております。

 一方、地声最高音hiAはラストサビで1回だけ登場します。また、同曲はmid2G#辺りも比較的多く、曲全体でみると、mid2E~mid2G辺り中高音域が多くみられる作品です。そのため、一般的には少しキーを下げた方が歌唱しやすいです。目安としてですが、原曲キーから1~2つ程度下げてみてください(♭1~♭2)。

 『パメラ』は低音域に比較的余裕があるため、キー下げなどは行いやすいです。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに合わせることも可能だと思います。一方、ビギナー向けの調整も可能だと言えますが、同曲はラストサビの転調でやや音程が取りづらく、また歌メロが非常に速い場面(Bメロ)もございます。そうした点で、もしかしたら歌い慣れていない人などは苦戦させられるかもしれません。そうした点も留意しておいてください。

 『パメラ』を原曲キーで歌唱する場合、先にも述べたように、hiA,mid2G#辺りがしっかり歌いこなせる力が求められます。同曲は、歌い出しの【ああ なm2F#[がい]m2E[夜]は貴方の事】などに代表されるように、曲全体を通してmid2E~mid2G辺りの中高音域が多く登場します。そのため、一般的な男性の場合は、ある程度スタミナなども必要になると私は分析しております。一方で、女性にとっては原曲キーでもチャレンジ可能だと思います。目安としてですが、hiA,mid2Gなどの高音域が発生可能な男性や低音域が得意な女性などは合いやすいと思います。

 『パメラ』は一部で難しい部分もありますが、カラオケなどでも楽しみやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

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コメント

  1. 匿名 より:

    いつもお世話になっております。
    【補足】に書いていただいた
    雲hiB裏[が]hiA[く]m2F#[れ]すF#[る]みずm2G#地[い][ろ]
    のm2G#『い』の部分ですが、m2Gだと思われます。
    キーもBマイナーなのでm2Gが自然な気がしました。
    細かい指摘ですみません。

    • もりっしー より:

      丁寧なコメントありがとうございます。
      後ほど指摘の場面について確認し、ミスがあれば記事を修正します。
      教えていただきありがとうございます。
      経過については、このコメント欄に追記していきます。

      (追記)
      先ほど原曲を確認したら、匿名さんの仰る通りmid2G#⇒mid2Gでした。
      記事の方を修正しましたので、お伝えします。
      今回は教えていただきありがとうございます。