『雀ノ欠伸』(Saucy Dog)の音域 [ 2019年の作品 ]

こんにちは。今回はSaucy Dogの『雀ノ欠伸』(2019)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。同曲は、元々、「サウシーの曲の中でも高音域が特にしんどい曲なので調べて欲しい」というコメントが寄せられました。サウシーは他にも多くのリクエストが来ており、記事化するまでに時間がかかりました。


『雀ノ欠伸』(Saucy Dog)、Suzume no Akubi(Saucy Dog)








　まず、『雀ノ欠伸』（すずめのあくび）についてです。この楽曲は、2019年に3人組ロックバンドSaucy Dog（サウシードッグ）によりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルであり、アルバムとしてはミニアルバム『ブルーピリオド』に収められております。ちなみに、当ブログでは、以前にこのアルバムに収録されている『月に住む君』(過去記事)を取り上げました。
　『雀ノ欠伸』はSaucy DogのYouTube公式チャンネルでミュージックビデオが公開されており、2022年5月現在、200万回を超える再生回数を記録しております。サウシーの人気曲と比べると多い再生回数ではないですが、私自身は既にバンドとしての完成度の高さを感じます。

　『雀ノ欠伸』はアップテンポのバンドナンバーです。軽快なギターフレーズなどが印象的です。私自身は、どことなく2010年代前半に大きく活躍したロックバンドandymoriなどに近いニュアンスを感じました。歌メロについてはおおよそ、AメロBメロサビといった形で作られており、またサビではバンドメンバーによる副旋律なども加えられております。
　ちなみに、『雀ノ欠伸』の読み方は、「すずめのあくび」と読みます。冒頭でも記述しておりますが、馴染みが薄い漢字ですので、繰り返しておきます。


　『雀ノ欠伸』の音域的な特徴についてです。同曲は、一般的な男性の音域としてはかなり高いレンジで歌メロが作られております、AメロBメロについては高音がmid2F#までとそこまで高くないのですが、サビで一気に盛り上がる形となっております。サビ・Cメロではほぼ全てのフレーズにhiB以上の音階が含まれております。
　同曲は、音域的には女性曲のようなレンジで歌メロが作られております。そのため、どちらかといえば、女性の方が原曲キーのチャレンジがしやすいかもしれません（AメロBメロが女声レンジとしては低めなので、少し歌いにくい）。
　

　最後に『雀ノ欠伸』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】hiD(D5)、【裏声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりもかなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1EはBメロや2番Aメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内といえます。ただ、女性の音域としてはかなり低めですので、高音域が女性はキーを上げも良いかもしれません。

　次に、地声最高音hiDについてはCメロとラストのサビで登場します。登場回数は4回程度です。一方、同曲は、サビやCメロを中心にhiA～hiC#辺りの頻度が高いです。例えば、サビだけを抜粋すると以下のようになります。

（明日は）オhiA[レ]ン[ジ]hiB–hiC#[の[か][ぁぜ]hiB–m2G#[が][吹]く
hiC#–hiB–hiA[カー]テ]ン]の[向こう]B–C#[が[わ]
hiC#[あ]hiB–hiA[た]ら[し]い]hiE裏–C#[あ]さ]B[ぁ]に]
きぼhiA[う]hiC#裏[をか]hiB[ん][じ]て[る]
hiB–hiA[き]み[も]hiC[そ]B[う][かな？]

　そのため、最高音hiDは全体で4回程度ですが、体感的には相当高いのではないかと思います。一般的な男性の場合ははキーを下げた歌いやすいといえます。


　『雀ノ欠伸』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ただ、一般的な男性が歌いやすいレンジに調整するには大きなキー調整が必要になります。そのため、歌い慣れた男性であっても、場合によっては難しい部分が出てくるかもしれません。その点は留意しておいてください。私なりの分析としては、「キー調整を考慮しても、ある程度高音域が得意な人向けの楽曲」であると判断しました。

　『雀ノ欠伸』を原曲キーで歌唱する場合、hiB～hiD辺りをしっかり歌いこなせる力が求められます。上述しておりますが、サビを中心にhiA～hiC#辺りが高頻度で登場します。そのため、男性曲としては極めて高いため、「高音域が非常に得意な男性」がチャレンジしやすいといえます。また、「ある程度高音域が得意な女性（低音域までしっかり歌える）」などもおススメです。そのため、原曲キーで歌える人はかなり限定されると私は考えております。

　『雀ノ欠伸』は原曲キーの難易度が高く、サウシーの作品群でも特に高音域が要求される楽曲ではないかと思います。そうした大変さはありますが、高音域が得意な方などはそそられる作品ともいえるかもしれません。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。