『もっと遠くへ』( レミオロメン ) の 音域

　まず、『もっと遠くへ』についてです。この楽曲は、２００８年にスリーピースロックバンド・レミオロメンによりリリースされたシングル作品です（『オーケストラ』との両A面）。アルバムとしては、同じ年にリリースされた『風のクロマ』に収録されました。同アルバムには、『オーケストラ』、『Wonderful & Beautiful』、『蛍』といったシングル曲が収められております。私自身は、『リズム』という曲も非常に耳に残っております。アルバムは、１０万枚程のCDセールスを記録し、日本レコード協会よりゴールド認定がなされました。

　さて、『もっと遠くへ』はフジテレビの『2008年北京オリンピック』のテーマソングとして書き下ろされました。ただ、歌詞についてはアスリートの立場だけでなく、私たちも勇気づけられるような歌詞内容になっております。当時、五輪中継を見ていた人などは特に印象に残っているのではないかと思います。『粉雪』(過去記事)や『3月9日』(過去記事)といった楽曲には知名度で劣るものの、レミオロメンの作品の中でも人気の高い楽曲の１つです。作詞作曲はボーカル＆ギターの藤巻亮太さん、編曲はレミオロメンと小林武史さんによりなされました。


　『もっと遠くへ』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲はAメロとBメロ辺りはしっとりした「静」、サビで大きく盛り上がります。そのため、AメロBメロ辺りは中低音域が多く、サビでは中高音域が頻出します。こうした構成もあり、低音域～高音域まで安定した歌唱が求められます。

　同曲を女性が歌唱する場合、低音域のmid1D,mid1C辺りがハードルになります。そのため、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。ただ音域自体が広いので、キー調整をしても難しい部分が出てくるのではないかと思います（男声についても同様）。



　最後に『もっと遠くへ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1A#(A#2)～【地声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1A#は２番Aメロで登場します。このmid1A#については、歌い出しの瞬間的な音であるため、私個人としてはあまり厳密な音程にこだわらなくてもよいと感じました。不可欠な低音としては、mid1C,mid1D辺りになります。
　今回の『もっと遠くへ』はAメロBメロ辺りが低めであるため、高音域が得意な男性だと少し歌いにくいかもしれません。また、女性にとっては極めて低いレンジです。女性の場合は、キーを上げた方が歌いやすいです。

　次に、地声最高音hiA#はサビで登場します。このhiA#は男性の音域としては高く、登場回数は全体で７回程度です。また、同曲のサビではmid2F～mid2G#辺りが頻出します。こうしたことを考えると、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすそうです。一つの目安ですが、原曲キーから２つ程度下げてみてください。


　『もっと遠くへ』は低音域にいくばくかの余地があり、キー下げは可能です。ただ、今回は音域自体がかなり広いため、歌い慣れた人がキー調整をしても歌いにくい部分が出てくるかもしれません。ビギナーにとっても取っ付きにくい楽曲だと私は判断しました。
　同曲はメロディー自体は親しみやすく、最近のJ-POPと比べると息継ぎなどもしやすい方だと思います。音域が合う人であれば、マッチしやすい作品なのではないかと思います。

　『もっと遠くへ』を原曲キーで歌唱する場合、高音域についてはmid2F～hiA#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。とりわけmid2F～mid2G#辺りがサビで多いです。また、今回はAメロ辺りが低く、mid1C～mid1D#といった低音域も不可欠です。
　こうしたことを考慮すると、「標準より高め～ある程度高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。今回は低音域が低いため、「高音域が非常に得意な男性」などはキーを上げた方がより良いかもしれません。


　『もっと遠くへ』はスローなバンド曲です。オリンピック中継のために書き下ろされた作品であるため、私たちも共感できるような歌詞なのではないかと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。