『Easy Breezy』(chelmico)の音域

　まず、『Easy Breezy』についてです。この楽曲は、２０２０年に女性ラッパーグループchelmicoによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同じ年に発売された『maze』に初収録されました。
　同曲はアップテンポのヒップホップ曲です。サウンド面でスカやロックのニュアンスがあり、韻を踏んだリズミカルなメロが印象的です。歌メロはやや気だるげな印象があり、中低音が強調されています。作詞作曲はRachelさんMamikoさん（作曲はryo takahashiとの共作）、編曲はpistachio studioによりなされました。

　『Easy Breezy』は大童澄瞳さんの同名漫画を原作としたアニメ『映像研には手を出すな!』のオープニングテーマとしてタイアップが付きました。楽曲の質も相まって、同曲は大きなヒットとなり、chelmicoの知名度も大きく上昇することになります。海外などでも人気が高いようです。
　ちなみに、同曲はミュージックビデオが大きく評価されており、アメリカの国際広告賞 『Clio Music 2020/2021』の Visual Effects部門で賞を受賞しています。MVは実写とCGが融合したアニメーションが印象的です。


　『Easy Breezy』の音域的な特徴についてです。同曲は、女性の音域としては低めのレンジで歌メロが作られています。一般的な女性はいくらかキーを上げた方がより歌いやすいのではないかと私は分析しました。
　同曲は全体的に中低音寄りの曲であり、mid1G辺りの低音域が多く登場します。反面、高音域についてはmid2F～mid2G程度であり、頻度も少なめです。発声のニュアンスは異なりますが、男性曲に近似するような声域といえます。低音域としてはmid1D-mid1E辺りも見られるため、一般的な女性はいくらかキーを上げた方が歌いやすい可能性があります。個人的には低音域の練習に良さそうだとも感じました。

　同曲を男性が歌唱する場合、通常はいくらかキーを下げた方が歌いやすいです。ただ、今回は女性曲としてはかなり中低音寄りの曲であるため、「高音域が得意な男性」などは原キーで歌うのもよいかもしれません。その辺りは実際に歌唱して、各々微調整を加えてください。



　最後に『Easy Breezy』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D(D3)～【地声最高音】mid2G(G4)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域としては、低め（中低音寄り）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1Dはサビで登場します。やや聞き取りにくいかもしれませんが、いずれもmid1Gとのコンボです。今回の楽曲は低音としてはmid1G辺りがかなり多く、mid1Fやmid1Eなども要所で見られます。そのため、女性曲としてはかなり低いレンジが要求されます。こうしたことから低音域が苦手な人などは少しキーを上げてもよさそうです。（原キーで歌うなら1オクターブ上を試してみるのもよいかも）。

　次に、地声最高音mid2Gはサビを中心に登場ます。この辺りは女性の音域の範囲内ですが、J-POPの女性曲としては高音が控えめです。低音域が得意な人は原キーでもよいかもしれませんが、人によってはいくらかキーを上げた方がより歌いやすそうだと推測されます。個人差はありますが、一つの目安として、原曲キーから３～４つ程度上げてみてください（低音の練習もかねて原キーで歌うのもよい）。


　『Easy Breezy』は低音域が低く、キーを下げる余地はほとんどありません（男性は可）。今回の楽曲は全体的に中低音寄りですので、キーを上げた方が歌いやすいのではないかと思います。歌い慣れた人であればある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。
　一方、今回の楽曲は全体的に歌メロが速いです。そのため、歌詞やリズムなどをしっかり覚えておきたいです。場合によっては原曲のように2人で歌うのもよいかもしれません。歌メロ自体は比較的わかりやすいです。

　『Easy Breezy』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F～mid2Gといった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。ただ、今回はこれらの頻度がそこまで多くありません。反対に、同曲はmid1G等の中低音が多く、場面によってはmid1D等が見られます。女性曲としては低音寄りです。
　こうした点を考慮すると、「標準より低い～標準よりやや低めの音域の女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。今回の楽曲は「低音域が安定している」ことが特に重要です。

【まとめ】

①女性曲としては中低音寄りの曲
②原キーだと「標準より低い～やや低めの音域の女性」などに合いそう
③一般的な女性に少しキーを上げた方が歌いやすそう
④歌メロが速いため、歌詞やリズムなどはしっかり覚えておきたい
⑤2人以上で歌うのもよい