『レナは朝を奪ったみたいだ』( indigo la End ) の 音域

　まず、『レナは朝を奪ったみたいだ』についてです。この楽曲は、２０１２年にロックバンドindigo la Endによりリリースされたミニアルバム『渚にて』に収録されております。同アルバムには、『レナは朝を奪ったみたいだ』と『渚にて幻』のミュージックビデオが制作されており、この2曲がリード曲のような位置づけになります。このアルバムから２年後、indigo la Endはメジャーデビューを果たしました（【ゲスの極み乙女】も同じ時期にメジャーデビューしております）。


　さて、『レナは朝を奪ったみたいだ』はスロー～アップのバンド曲です。インディーズ時代の作品ということもあってか、Aメロとサビでテンポが変わるなど、従前のJ-POPとは異なる独特な作りになっています。歌とともにバンドサウンドの良さが引き立つ楽曲であり、演奏時間も６分近くと長い（間奏が1分半以上続く場面もある）です（ポストロックやプログレッシブロックなどに当たるのかもしれません）。作詞作曲は川谷絵音さん、編曲はバンドによりなされました。


　『レナは朝を奪ったみたいだ』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としては高い（もしくは「かなり高い」）レンジで歌メロが作られております。低音域に余地があるため、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲は最低音がmid2Aですが、登場回数も少ないです。終盤を除くと地声レンジは大体mid2D～hiA辺りで構成されており、かなり高音感があります。ただ、今回の楽曲はバンド演奏にも大きな比重がおかれており、ラストサビ前に間奏が1分半以上続きます。そのため、ボーカルが休憩できるポイントも多いです。

　ちなみに、同曲を女性が歌唱する場合、個人差はありますが、原曲キーがマッチする人も多いのではないかと思います。ただ、地声のhiBやhiC以上が登場する場面は終盤までは少ないので、標準より高めの音域の女性はキーを上げた方がより歌いやすいと思います。



　最後に『レナは朝を奪ったみたいだ』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiD(D5)、【裏声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、「高い」or「かなり高い」です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2AはCメロで登場します。登場回数は１回程度と少なめです。このmid2Aを含むフレーズを除くと、低音域がmid2Dとなり、男性曲としてはかなり低音が高いです。そのため、相対的に中高音域の頻度が高く、一般的な男性には高音感があります。

　次に、地声最高音hiDは楽曲の終盤で登場します。登場回数は５回程度です。このhiDは男性の音域としてはかなり高いです。一方、この地声最高音hiDを除くと、地声高音としてはmid2F#～hiA辺りが非常に多くなります。こうしたことを踏まえると、一般的な男性の音域として高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいと思います。一つの目安ですが、原曲キーから３つ程度下げてみてください（このレンジだと終盤は地声hiB辺りが求められる）。


　『レナは朝を奪ったみたいだ』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、自分が得意なレンジに調整することができると思います。
　一方、今回は終盤で地声のhiDが登場するなど、男性の音域としてはかなり高いです。そのため、理論上はキー調整はしやすいものの、終盤に高音域が増えるため、「自分の得意なレンジを見つけるのが難しい」のではないかととも感じました。ある程度高音域が得意な男性の方が、キー調整などもしやすいと思います。

　『レナは朝を奪ったみたいだ』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F#～hiB（終盤はhiD）といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。特に、今回はmid2F#～hiA辺りの頻度が非常に高いです。一方、低音域は男性曲としては高く、全体的に中高音寄りです。
　こうしたことを踏まえると、「高音域が（非常に）得意な男性」が原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。また、先述のように、女性も原曲キーがマッチする人がおられると思います。具体的には「標準より低め～標準的な音域の女性」などは原キーが合う可能性がありそうです。

　ちなみに、今回の楽曲は地声最高音hiDの作品としては結構歌いやすいのではないかと私は推測しております。高音域が得意な男性などはチャレンジしてみる価値のある楽曲だと私は分析しました。



【まとめ】

①Aメロサビ辺りは「男声としては高い」、終盤は「かなり高い」
②全体的に中高音が多く、「高音域が得意な男性」が原キーに合いそう
③低音域が高く、「標準より低め～標準的な音域の女性」なども原キーが合う可能性がある
④間奏が長いため、休めるポイントも多い