『虹』( Aqua Timez ) の 音域

　まず、『虹』についてです。この楽曲は、２００８年にロックバンドAqua Timezによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、２００９年に発表された『うたい去りし花』に収録されました。同アルバムには、『Velonica』、『STAY GOLD』、『夏のかけら』などのシングルが収められており、１０万枚を超えるCDヒットを記録しました（日本レコード協会よりゴールド認定がなされております）。

　さて、『虹』は、森本梢子さんの同名漫画を原作としたテレビドラマ『ごくせん 第3シリーズ』の主題歌として書き下ろされました。『ごくせん』シリーズは人気が非常に高く、第3シリーズも平均視聴率が２２％を超えるなど大きなヒットになりました。
　楽曲の質も相まって、主題歌となった『虹』も大きくヒットし、CDとしては２０万枚の売り上げを記録しました。更に、リリースから１０年以上が経過した２０１９年には配信売上が１００万ダウンロードを記録し、日本レコード協会よりミリオン認定がなされました（ランキングデータブログBillion Hitsより引用）。人気曲『千の夜をこえて』（過去記事）などともにAqua Timezの代表的な楽曲の1つです。


　『虹』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としてはやや高め～高めのレンジで歌メロが作られております。低音域に余地があるため、一派的には少しキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲はmid2G#が1回のみと、最高音が滅茶苦茶に高いわけではありません。一方、低音がmid1Fやmid1G辺りと比較的高いため、相対的に中高音域が多く登場します。こうしたことから、最高音はmid2G#が１回のみですが、「標準よりやや高め」としてしております。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ程度上げてみてください。ただ、今回の楽曲は最低音がmid1Fであり、男性曲としては比較的高めです（低音はmid1G辺りが多い）。そのため、女性が原曲キーで歌うことも全く不可能というわけではなく、とりわけ「標準より低い音域の女性」などは原曲キーがマッチする可能性もあります。



　最後に『虹』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F(F3)～【地声最高音】mid2G#(G#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、「やや高め」です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1Fは通常のサビで登場します。登場回数は2回程度です。このmid1Fに次ぐ低音としてはmid1G辺りが多く登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。また、女性の音域の範囲内でもありますが、mid1G～mid2Aなどの登場回数を考慮すると、女性は少しキーを上げた方がより歌いやすくなると思います。

　次に、地声最高音mid2G#はラストサビで登場します。登場回数は1回のみです。同曲はラストサビで転調しキーが１つ上がります。そのため、mid2G#に次ぐ地声高音としては、mid2Gがピークとなる場面が全体で４回、mid2F#は１３回程度登場します。こうしたことを考慮すると男性の音域としてはやや高いと判断しました。一つの目安ですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください。


　『虹』は低音域に余地があり、キー下げはしやすいです。今回の楽曲は音域がそこまで広くないため、キー調整の融通は利きやすいです。そのため、ビギナー向けの調整もある程度可能だと思います（サビの一部のアップダウンが少し歌いにくいかもですが）。
　同曲はメロディーも比較的わかりやすく、その点でも練習曲やカラオケなどに向きやすいです。一方、Dメロの一部は若干音程が取りにくくなっております。その辺りはしっかり原曲を聴き込んで慣れておきたいです。

　『虹』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D～mid2G#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はmid2D～mid2F#辺りが特に多く、サビでこれらが多く登場します。また、低音が比較的高いため、その分相対的に中高音寄りのメロになります。
　こうしたことを踏まえると、「標準よりやや高め～高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。女性だと、「標準より低い音域の女性」が原キーにマッチする可能性があります。

【まとめ】

①サビで中高音が多いが、ABメロもそこまで低いわけではない（音域も広くない）
②原キーだと「標準よりやや高め～高音域が得意な男性」などに合いそう
③「標準より低い音域の女性」は原キーが合う可能性もある（女性は通常はキー上げ）
④音域が広くない分、キー調整もしやすく、練習曲向き
⑤メロは分かりやすい（Dメロだけは少し音程が取りにくいので注意）