『モエチャッカファイア』(弌誠)の音域

　まず、『モエチャッカファイア』についてです。この楽曲は、２０２４年に男性シンガーソングライターの弌誠（いっせい）さんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとして発表されました。

　さて、『モエチャッカファイア』はゲーム『ゼンレスゾーンゼロ』の登場キャラクター「エレン・ジョー」のイメージソングとしてリリースされました。ゲームの物語やキャラの特徴を捉えた歌詞内容が人気ですが、最近はそうした背景を離れて楽曲の中毒性が大きく人気を得ているように感じます。弌誠さんのYouTube公式チャンネルで公開されているMVは、１５００万回を超える再生回数を超えており、多くの支持を集めています（２０２４年１０月上旬現在）。


　『モエチャッカファイア』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域の範囲内（最近のJ-POPの中では低音寄り）で歌メロが作られています。一般的な音域の男性などが原キーで歌唱可能なレンジです。
　同曲はmid2E～mid2G等の中高音が登場する場面はCメロに限定されます。その他のAメロサビ（転調してキーが上がるラストサビも同様）については全体的に中低音が多いため、そうした声域が得意な男性がマッチしやすいです。
　ちなみに、今回の楽曲は、私自身はヴィジュアル系ロックのような発声ニュアンスを感じました。そうした歌唱が得意な方は取っ付きやすいかもしれません。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。ただ、今回の楽曲はCメロ除くと大体mid1A(orlowG)～mid2Cのレンジで歌メロが作られています。そのため、女性の場合は1オクターブ上のレンジ（mid2a(mid1G)～hiC）を歌唱してみるのもよいかもしれません。
　一方で、Cメロについては1オクターブ上の音域だとかなり高音域になるので、原曲と同じレンジ（mid1E～mid2G）で歌うか、「裏声」などを使うとよいのではないかと思います。



　最後に『モエチャッカファイア』の音域についてですが、【地声最低音】mid1A(A2)～【地声最高音】mid2G(G4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内（J-POPの男性曲の中では低音寄り）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1AはAメロで登場します。今回はmid1Bなどとコンボになっており、それなりに低音感があります。「高音域が非常に得意な男性」などはキーを上げてもよいかもしれません。
　※音域調査から除外したAメロ冒頭はlowG辺りが連続して登場します。この場面はかなり低いレンジですが、メロの上下が意外と少ないので、比較的歌いやすいのではないかと私は想定します。

　次に、地声最高音mid2GはCメロで登場します。登場回数は全体で2回程度です。このmid2Gに次ぐ地声高音としては、mid2F#がピークとなる場面が全体で2回登場します。こうした点を考慮するとおおよそ男性の音域の範囲内といえます。そのため、一般的な音域の男性が原曲キーで歌唱することが可能そうです。
　ちなみに、今回の楽曲で登場するmid2F#やmid2Gなどは少し柔らかな艶っぽい印象を感じました。そのため、高音域が得意でない方は、mid2G等を少し裏声のように歌唱しても合うのではないかと私は感じました。


　『モエチャッカファイア』は低音域が低いため、キーを下げる余地はあまりありません。もしキーを下げる場合は「低音域が非常に得意な男性」などが想定されるのではないかと私は分析しました。逆に、「高音域が得意な男性」などについてはいくらかキーを上げるのがよいのではないかと思います。今回の楽曲は音域自体がかなり広いため、ビギナーだと一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。
　同曲はメロディー自体は分かりやすく、リズムなども比較的取りやすいです。ただ、歌メロは比較的速いため、歌詞などはしっかり覚えていた方が良さそうです。全体的に中低音寄りのメロであるため、そうした練習にもよいと思います。

　『モエチャッカファイア』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E～mid2Gといった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回、Cメロを中心にこれらの音が見られます。一方、Aメロサビ等ではlowG～mid1Eなどの低音が多く見られます。
　こうした点を考慮すると、「標準より(やや)低め～標準より高めの音域の男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。


【まとめ】

①Cメロで中高音が見られるが、全体的に低音寄り
②原キーだと「標準より(やや)低め～標準より高めの音域の男性」などに合いそう
③女性はキー調整をせずに、1オクターブ上で歌うと合う可能性がある
④メロは分かりやすく、リズムなども取りやすそう