『ビターバカンス』(Mrs. GREEN APPLE)の音域

★m2D#[ある]のはm1F#–2D#[い[な]めm2E[やし]ない]けどね【Dメロ】

　まず、『ビターバカンス』についてです。この楽曲は、２０２４年にロックバンドMrs. GREEN APPLEによりリリースされたシングル作品です。この記事を執筆時点で最も新しいシングルであり、アルバムには未収録です。
　同曲は、中村光さんの漫画を原作とした映画『聖☆おにいさん THE MOVIE 〜ホーリーメン VS 悪魔軍団〜』の主題歌として書き下ろされました。映画はまだ公開前ですが、楽曲は既にストリーミングランキングでも上位にチャートインしています。アーティストとしての注目度もあってか、ミセスの楽曲はリリースされるたびに上位にランクインすることが増えております。

　『ビターバカンス』はアップテンポのバンド曲です。ギターやピアノサウンドが強調されたバンド曲であり、ミセスらしいノリの良いアッパーチューンになっています。歌メロはAメロBメロサビと展開し、親しみやすいです。作詞作曲は大森元貴さん、編曲は大森さんと花井諒さんによりなされました。


　『ビターバカンス』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られています。低音域に余地があるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲は、ABメロについては中低音が中心で歌メロが作られます。mid2D～mid2Eなどの中高音も登場しますが、頻度としてはmid1E～mid2A辺りの中低音が多いため、「高音域が非常に得意な男性」だと若干低音感を感じるかもしれません（ただ、男性曲の低音としてはそこまで低くはない）。一方、サビについてはhiA等が登場し、中高音が中心となります。これらの点を考慮すると、「標準より高めの音域の楽曲」ですが、mid1E～mid2A辺りの低音が安定して歌える必要もあります。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。今回はABメロを中心にmid1E～mid2A辺りが多いため、女性にとってはかなり低音感がある楽曲といえます（Dメロでも瞬間的にmid1D#が登場する）。一つの目安ですが、原曲キーから２～４つ程度上げてみてください。ただ、一部の「標準より低めの音域の女性」については原キーがマッチする可能性があります。その辺りは実際に歌唱して、微調整を加えてください。



　最後に『ビターバカンス』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)～【地声最高音】hiA(A4)、【裏声最高音】mid2F#(F#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1C#はAメロで登場します。このmid1C#は歌い出しの瞬間的な音として登場し、かなり聞き取りづらいです。今回は低音域としては、大体mid1D#～mid2A辺りがしっかり歌えると形になりやすいです。mid1E辺りの回数が多いため、低音域が苦手な人は注意したいです。

　次に、地声最高音hiAはサビを中心に６回程度登場します。このhiAに次ぐ地声高音としては、mid2G#がピークとなる場面が全体で３回、mid2F#が９回程度登場します。こうした点を考慮すると、男性の音域としては高めであり、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから２～３つ程度下げてみてください。


　『ビターバカンス』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。ただ、今回の楽曲はそれなりに音域が広く、メロのアップダウンが激しいです。そのため、ビギナーについては、キー調整をしたとしても一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。
　同曲はメロディー自体は比較的わかりやすく、リズムなども取りやすそうです。ただ、今回の楽曲はメロのアップダウンが激しいため、低音～高音まで安定した音程のコントロールが求められます。反面、大森元貴さんに特徴的な裏声の発声などは今回は少ないです。

　『ビターバカンス』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E～hiAといった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。mid2F#～hiAが求められる場面はサビやDメロですが、ABメロではmid2Eなどが登場します。低音域についてはmid1E辺りがかなり多いため、「高音域が非常に得意な男性」だと若干歌いにくいかもしれません。
　こうした点を考慮すると、「標準より高め～高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。「高音域が非常に得意な男性」についても原キーが合いうるのですが、人によっては若干キーを上げるのもよいかもしれません。


【まとめ】

①ABメロは中低音中心、サビは中高音中心（音域はそれなりに広い）
②原キーだと「標準より高め～高音域が得意な男性」などに合いそう
③ミセスの曲としては裏声は少ない
④メロの上下が激しい。低音～高音まで音程に注意（mid1Eなどの低音が多い）


　※なお、当ブログがこれまでに取り上げたミセスの作品については、以下をご参照ください。『Mrs. GREEN APPLE』の音域一覧(まとめ)。