『UNITE』(結束バンド)の音域

　まず、『UNITE』についてです。この楽曲は、２０２４年にはまじあきさんの同名漫画を原作としたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく！』の劇中で登場するバンド【結束バンド】によりリリースされたEP『We will』に収録されています。同アルバムは、「結束バンドのメンバーが少し先の未来でそれぞれデモを持ち寄り作り上げた」というコンセプトで作られたEP作品です。楽曲提供をSaucy Dogの石原慎也さん、ACIDMANの大木伸夫さん、佐藤千亜妃さんなどバンドのフロントマンが担当し話題を呼びました。

　さて、『UNITE』はアップテンポのバンド曲です。同曲は04 Limited Sazabysが楽曲提供しているということもあり、メロコア調のロック曲になっています。ボーカルは伊地知虹夏（CV鈴代紗弓さん）が担当しています（作中ではドラム担当）。が作詞をボーカル＆ベースギター担当のGENさん、作曲を04 Limited Sazabys、編曲をakkinさんが担当しました。


　『UNITE』の音域的な特徴についてです。同曲は、女性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られています。一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいですが、今回はキーを下げる余地があまりありません。
　同曲はAメロサビCメロからなります。Aメロは中低音中心であり、mid1Eが登場する等女性の音域としてはかなり低いです。一方、サビはhiA～hiC#が多く見られ、女性の音域としては高めです。よって、「低音は女性曲としては低く、サビは女性としては高い音域の広い曲」であり、歌える人が限定されます。

　ちなみに、男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。ただ、今回は単純にキーを下げるのではなく、「キーを４～５つ程度上げて、１オクターブ下の音域を歌う」とよいと思います。また、「高音域が非常に得意な男性」についても通常はキーを下げた方が歌いやすいと私は分析しています。



　最後に『UNITE』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】hiD(D5)、【裏声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、高めであり、音域も広いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1EはAメロで登場します。登場回数は２回程度です。今回はmid1Eに次ぐ低音がmid1G#であるため、最低音mid1Eの曲としては若干歌いやすいかもしれませんが、それでも女性の音域としては低めであり、一般的には歌いにくい声域です。そのため、人によっては少しキーを上げた方が歌いやすい可能性があります。

　次に、地声最高音hiDはサビで登場します。登場回数は４回程度です。このhiDに次ぐ地声高音としては、hiC#がピークとなる場面が全体で２２回、hiBが３２回登場します。こうした点を考慮すると、女性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえそうです。一つの目安ですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください（ただし、高めの声域の人は下げない方がいいかも）。


　『UNITE』は低音域が低く、キーを下げる余地はほとんどありません。低音域が得意な人ならば少しキーを下げるのもよいですが、人によってはどうしても歌いにくい部分が出てきうる楽曲です。その点は留意して置いてください。音域の広さという点でハードルのある楽曲です。
　同曲はメロディー自体は比較的分かりやすく、リズムなども取りやすそうです。音域がマッチするのであれば練習曲にもよさそうです。ただ、歌メロがやや速いため、歌詞などはしっかり覚えておいた方がよさそうです。

　『UNITE』を原曲キーで歌唱する場合、hiA～hiDといった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回はサビを中心にこれらが頻出します。そのため、女性の音域としては高めです。反面、低音ではmid1Eが2回程度登場し、女性の音域としては低いです。
　こうした点を考慮すると、「標準より高め～高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。また、「高音域が非常に得意な女性」などは少しキーを上げるとより歌いやすいのではないかと思います

【まとめ】

①Aメロは一部低音が低い。サビは高め
②音域が広い曲であるため、原キーが合う人が限定されうる
③原キーだと「標準より高め～高音域が得意な女性」などに合う可能性がある
④メロ自体は分かりやすい。音域が合うのであればカラオケなどにもよさそう