『五月は花緑青の窓辺から』(ヨルシカ)の音域

　まず、『五月は花緑青の窓辺から』についてです。この楽曲は、2019年に音楽ユニット・ヨルシカによりリリースされたアルバム『だから僕は音楽を辞めた』に収録されています。アルバムには、『だから僕は音楽を辞めた』、『藍二乗』などの楽曲が収録されています。

　『五月は花緑青の窓辺から』はアップテンポのバンド曲です。アルバムの1曲ということもあり、歌メロはAメロサビからシンプルに構成されるギターロックです（演奏時間も3分程度）。歌メロはいわゆるヨナ抜きの5音階をベースに作られております。作詞作曲編曲はn-bunaさんによりなされました。


　『五月は花緑青の窓辺から』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域の範囲内（もしくはやや高め）で歌メロが作られています。低音域に余地があるため、場合によっては少しキーを下げるのもよいと思います。
　今回の楽曲はサビを中心にhiCやhiDといった中高音が登場します。Aメロについてはmid2GやhiAが地声高音の中心です。hiCやhiDなどの回数を考慮すると、女性の音域の範囲内だと私は想定してまいます。ただ、今回は地声高音としてhiDが登場するため、その辺りで慣れが必要になります（高音域が得意だと有利に歌えやすい）。また、今回は最低音がmid2Dと高いため、中高音が苦手な人だと体力的に少し辛くなる可能性があります。歌声は要所で裏声が使われているため、地声と裏声の器用な使い分けが不可欠になります。

　男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから５～６つ程度下げてみてください。「高音域が非常に得意な男性」についても若干キーを下げた方がより安定すると私は分析しています（それか地声hiDを裏声で統一するのもよいかも）。



　最後に『五月は花緑青の窓辺から』の音域についてですが、【地声最低音】mid2D(D3)～【地声最高音】hiD(D5)、【裏声最高音】hiD(D5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域としては標準的（もしくはやや高め）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2DはAメロで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内ですが、女性曲としては高めの低音となります。相対的に中高音が多く登場する分、高音域が苦手な人は特徴が活かしにくい可能性があります。

　次に、地声最高音hiDはサビを中心に計8回程度登場します。このhiDに次ぐ地声高音としてはhiCがピークとなる場面が全体で4回登場します。こうした点を考慮すると、女性の音域の範囲内、もしくはやや高めであると私は分析しています。原キーで歌唱可能な人も多いと思いますが、場合によっては少しキーを下げることも選択肢に入れてみてください（原キーから１～２つ程度下げる）。
　今回の楽曲はhiDが裏声になっている場面も多いです。原曲と若干ニュアンスは異なるかもしれませんが、場合によっては「hiDを裏声で統一して歌う」と高音域が苦手な人でもマッチする可能性があると私は考えました（「標準より低め～やや低めの音域の女性」なども合いうる）。


　『五月は花緑青の窓辺から』は低音域に余地があるため、キー下げは可能です。今回は音域自体は1オクターブと広くないため、キー調整はしやすく、ビギナー向けの調整も可能であると私は推定しています。
　今回の楽曲は歌メロが分かりやすく、リズムも取りやすいです。そのため、練習曲としておススメだと私は考えました。ただ、サビは歌メロが比較的速く、息継ぎなどもしにくそうな場面があります。そのため、慣れないうちは若干テンポを下げて練習してもよいかもしれません。

　『五月は花緑青の窓辺から』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F#～hiDといった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。hiCやhiDといった地声高音はサビを中心に登場します（ただ、回数はそこまで多くない）。また、低音がmid2Dと高く、その点で全体的に中高音に寄っています。
　こうした点を考慮すると、「標準（orやや高め）～高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。先述のように、hiDを裏声で統一と、「標準より低め～やや低めの音域の女性」なども合う可能性があります。


【まとめ】

①低音が高い分、中高音寄り（ただhiC以上はそこまで多くない）
②原キーだと「標準（orやや高め）～高音域が得意な女性」向け
③地声と裏声の器用な使い分けは不可欠
④キー調整はしやすい。メロもよく、練習曲におススメ
⑤サビは若干息継ぎしにくいので注意（慣れないうちはテンポを下げてもよい）