『あられやこんこん』(弌誠)の音域

　まず、『あられやこんこん』についてです。この楽曲は、2025年に男性シンガーソングライターの弌誠さんによりリリースされたシングル作品です。この記事を執筆時点で新しいシングルの1曲です（執筆中に最新曲『ガタゴト』がリリースされた）。

　『あられやこんこん』はアップテンポのポップソングです。歌メロはAメロBメロサビと展開します。歌唱については、サビでの裏声発声などが特徴的です。こうした強い裏声は、Mrs. GREEN APPLEやKing Gnuなど最近のJ-POPの1つの特徴になりつつあります。演奏時間は3分半程度であり、全体的に密度が濃いです。作中では、「こんこんこん」といった中毒感のあるフレーズが繰り返され、そうした点も個性の1つになってます。作詞作曲は弌誠さん、編曲はnecchiさんによりなされました。necchiさんは人気曲の『モエチャッカファイア』（過去記事）も手掛けています。


　『あられやこんこん』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としてはかなり高い裏声レンジで歌メロが作られています（地声は標準より「やや高め～高め」くらい）。低音域に余地があるため、いくらかキーを下げた方が練習しやすいと私は分析しています。
　今回の楽曲は地声レンジについてはmid1D#～mid2G#程度で「標準よりやや高め～高め」程度です。ただ、今回はサビを中心にhiG～hihiA#といったかなり高い高音が登場します。そのため、非常に卓越した裏声高音が不可欠になり、その点でかなり歌いにくい曲です。裏声は比較的広がりやすいと言われていますが、それでも「高音域が得意（or非常に得意）な男性」等ではないと取っ付きにくいと私は分析しています。

　女性が同曲を歌唱する場合、若干キーを上げた方が歌いやすいです。今回は一部でmid1D#等が登場するため、そうした点を考慮するといくらかキーを上げた方が歌いやすいと想定しています。
　ただ、今回は低音の登場回数が少ないため、人によっては原キーで歌唱するのがマッチする女性もおられるかもしれません。具体的には「標準より低め～やや低めの音域の女性」などは原キーを選択肢に入れてみてください。ただ、音域がかなり広いため、力量が問われます。



　最後に『あられやこんこん』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D(D3)～【地声最高音】mid2G#(G#4)、【裏声最高音】hihiA#(A#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、裏声レンジがかなり高い（地声レンジは「やや高め」位）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1DはAメロで登場します。このmid1Dはかなり瞬間的ですので、聞き取りにくいです。低音域としては大体mid1D#辺りがしっかり歌えると形になりやすいと私は想定しています。男性の音域としては比較的歌いやすいです。


　次に、地声最高音mid2G#はBメロを中心に計4回程度登場します。この他mid2D#～mid2G辺りが登場します。こうした点を考慮すると、「標準よりやや高め～高め」であると私は分析しています。こうした点を考慮すると、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえます。
　一方、今回は裏声高音としてはhiG～hihiA#といった中高音が多く登場します。この辺りは男性の音域としては高く、かなり卓越した裏声発声が求められます。そうした点でも男性としては高めの声域が求められます。裏声高音なども考慮し、一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ程度下げてみてください。


　『あられやこんこん』は低音域に余地があるため、キー下げは可能です。ただ、今回は裏声音域がなり広いため、歌い慣れた人であっても一部歌いにくい部分が出てくる可能性があります。かなり器用な裏声発声が求められ、その点で難易度が非常に高い曲です。
　今回の楽曲はメロディー自体はシンプルであり、予測が付きやすいです。一方、今回は若干リズムが難しそうな場面があるため、原曲をしっかり聴き込んでおきたいです。地声と裏声の器用な発声が不可欠であり、その点での難易度が非常に高い曲です。また、歌メロの割合が高く、息継ぎを入れにくそうな場面もあるため、「どこのメロを歌う（逆に「こんこんこん」などは歌わないようにする）」など工夫も必要になりそうです（場合によっては2人嬢で歌うのもよいかも）。

　『あられやこんこん』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D#～mid2G#（裏声はhihiA#までかなり広い）といった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。Bメロ辺りを中心に地声高音が多いです。一方、今回は裏声レンジがhiGやhihiA#といったレンジが登場し、ロングトーンも含まれます。男性の音域としてはかなり高いといえます。低音はおおよそ標準的です。
　こうした点を考慮すると、「高音域が得意（or非常に得意）な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。また、限定的に「標準より低め～やや低めの音域の女性」なども原キーがマッチする可能性があります。ただ、男女ともに適性のある人でも非常に難易度が高い曲です。サビのロングトーンについては、うまい具合にブレスを入れて調整するのもよいと個人的には感じました。


【まとめ】

①地声音域は「標準よりやや高め～高め」
②裏声の音域が非常に高く、かなり卓越した発声が不可欠
③原キーだと「高音域が得意（or非常に得意）な男性」向け
④限定的に「標準より低め～やや低めの音域の女性」なども原キーが合うかも
⑤息継ぎしにくそうな場面もある。「ここは歌わない」といった調整も必要になる
⑥⑤に関連して、2人以上で分担して歌うのもよさそう