『WHITE BREATH』(T.M.Revolution)の音域

　まず、『WHITE BREATH』（ホワイト・ブレス）についてです。この楽曲は、1997年に男性歌手・西川貴教さんのソロプロジェクトT.M.Revolution（ティーエムレボリューション）によりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、1998年の『triple joker』（トリプル・ジョーカー）をはじめ、ベストアルバムなどにも収められております。

　T.M.Revolutionは前作のシングル『HIGH PRESSURE』（ハイ・プレッシャー）が大きくヒットし、人気が急上昇します。その中でリリースされた『WHITE BREATH』は、ミリオンヒットを記録し、自身最大のヒット曲となりました。先に挙げたアルバム『triple joker』も200万枚を超えるヒットになり、アーティストとしての地位を確立していきました。西川貴教さんの中でも代表的な作品の1つであります。

　ちなみに、T.M.Revolutionは衣装やMVなどが話題となりますが、本作では「上半身が裸で、ネクタイ、ジャケット」といった奇抜なものになっており、やはり正面から強風を受けながら歌唱されております。

　『WHITE BREATH』はアップテンポのデジタルロックナンバーです。作詞を井上秋緒さん、作曲・編曲を浅倉大介さんが担当されております。2人はT.M.Revolutionの作品でもお馴染みのメンバーであり、ヒット曲を多く送り出しております。浅倉大介さんといえば、打ち込み系のシンセ音楽が印象的ですが、同曲はギターのリフなども非常に耳に残ります。

　歌メロは頭サビで始まり、その後、AメロBメロサビと展開していきます。西川貴教さんの人気曲の特徴でもありますが、サビ以外の部分でも非常に勢いのあるメロディーであり、その分、ボーカルも声域も高くなっております（後述参照）。ただ、アップテンポでありながら、Bメロサビ等はどこか哀愁を感じさせるものがあります。演奏時間は4分弱であり、比較的コンパクトなのではないかと思います。

　『WHITE BREATH』の音域的な特徴についてです。同曲は、上述のように男声としては高いレンジで歌メロが作られております。音域自体は1オクターブで構成されており、広くないのですが、その分中高音域が頻出し、持久力なども問われてきます。一般的な男性の場合は、キーを下げた方が歌唱しやすいです。


　最後に『WHITE BREATH』の音域についてですが、【地声最低音】mid2B(B3)～【地声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2Bについては、Aメロやサビで登場します。この辺りは男性であれば、比較的歌唱しやすいと思います。
　一般的に、男声曲でこのmid2B辺りが最低音になると、ほぼ間違いなく「キーが高い曲」となります。よって、最低音だけを見ても、一般的な男性が1曲丸々歌唱するのは結構しんどいのではないかと想像できます。逆に、最低音が高いということで、女性などは歌唱しやすいのではないかと思います。

　一方、地声最高音hiBはサビで登場します。各サビで1回ずつ登場し、曲全体で4回程度見られます。同曲は、hiA,mid2G#辺りの音階も多く、曲全体で中高音域が頻出します。よって、一般的な男性の場合は、キーを下げた方が歌唱しやすいです。目安として、原曲キーから３つ程度下げてみてください。


　『WHITE BREATH』は音域自体は広くなく、キー調整の融通は非常に利きやすいです。歌い慣れた人はもちろん、歌い慣れていない人向けの調整も可能です。ただ、歌い慣れていない人向けにキー下げする場合は、大きな調整が必要になるため、違和感などを感じられる方も多いかもしれません。また、西川貴教さんのような歌唱をするためにはしっかり歌い慣れておく必要があります。その辺りも踏まえて、練習に励んでください。

　『WHITE BREATH』を原曲キーで歌唱する場合は、先に述べたようにhiBをふくめた中高音域がしっかり歌いこなせる必要があります。同曲は、全てのフレーズにmid2F#以上の音階が含まれております。そのため、スタミナなども必要不可欠であります。私なりの感覚ですが、音域的には、前回取り上げた『HOT LIMIT』(過去記事)の方がアプローチしやすいのではないかと思います（『HOT LIMIT』も原曲キーでしっかり歌いこなせるのであれば凄いです）。

　『WHITE BREATH』は25年ほども前の作品でありますが、アップテンポの楽曲であり、カラオケなどでも歌唱しやすいと思います。音域的には女性の方が原曲キーでアプローチしやすいかもしれません。男女問わず、興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。