『アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti』(MAISONdes)の音域

　まず、『アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti』についてです（以下『アイウエ』）。この楽曲は、２０２２年に音楽プロジェクトMAISONdes（メゾン・デ）より発表された楽曲です。タイトルにもあるように、女性シンガーソングライターの美波さんと、ボカロPのSAKURAmotiさんが参加されております。作詞作曲を両者が共同で担当しており、編曲はSAKURAmotiさんと真船勝博さんによりなされました。
　ちなみに、SAKURAmotiさんは、２００５年生まれの現役高校生ボカロPだそうで、初投稿『音楽好きの一少年』は中学生時代に発表されたそうです。高校生でありながら、美波さんとアニメの主題歌を担当するというのは、夢のある話だと強く感じます。

　さて、『アイウエ』は、高橋留美子さんの同名漫画を原作としたテレビアニメ『うる星やつら』（２０２２年版）のオープニングテーマとして書き下ろされました。同作は高橋さんのデビュー作であり、代表的な作品として知られるラブコメディーです。高橋さんは、1978年の『うる星やつら』以来、『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』『境界のRINNE』といった人気作を世に送り出しており、国内外を問わず大きく評価されている漫画家です。
　ちなみに、アニメ『うる星やつら』のエンディングテーマは花譜さんとツミキさんによる『トウキョウ・シャンディ・ランデヴ』で、こちらもMAISONdesによるプロジェクトとなっております。


　さて、『アイウエ』はアッパーなポップ作品です。歌メロはAメロBメロサビと展開します。ボカロPが楽曲提供したということもあってか全体的に豪華な構成になっており、ハチャメチャ感のある展開が魅力的です。覚えることも多くカラオケで歌いこなすのは大変そうですが、達成感は高そうです。また、メロが非常に速いですので、歌詞やメロ等をしっかり覚えた上で臨みたいです。

　『アイウエ』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域としては高いレンジで歌メロが作られております。そのため、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲は、ボーカルを女性シンガーソングライターの美波さんが担当されております。美波さんの声域は女性としては高い（場合によっては「かなり高い」）レンジで展開されますが、今回もそうした傾向がみられます。また、美波さんは力強い地声高音は、今作『アイウエ』でも健在です。
　同曲は先述のようにメロは速く、息継ぎなども行いにくい作品です。そのため、歌詞などをしっかり覚えた上で、「どこで息継ぎをするか」、「場合によってはどこを妥協するか」といったところまで整理した方がよいと私自身は強く感じました。


　最後に『アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G#(G#3)～【地声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最高音hiEはラストサビで登場します。登場回数は2回と少なめです。ただ、同曲はhiA以上の登場頻度が高く、要所要所でhiD,hiD#を含むフレーズも複数回登場します。全体的に高音寄りの作品であり、体力的にもしんどくなりやすいです。そのため、一般的な女性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから3つ程度下げてみてください。


　『アイウエ』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。若干高音がしんどいかもですが、歌い慣れた人であれば、ある程度自分の得意なレンジに調整することができるのではないかと思います。ただ、キー調整をすればすぐに歌えるという楽曲ではなく、歌詞やメロ、リズムをしっかり覚えた上で、練磨していく必要があります。息継ぎなども行いにくく難易度が高い作品です。

　『アイウエ』を原曲キーで歌唱する場合、hiB～hiEといった高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。同曲は全体的に高音寄りの楽曲であり、hiA以上の登場頻度が非常に高いです。また、歌メロが非常に多く、息継ぎなどもしにくいです。そのため、スタミナも必要不可欠です。これらを踏まえると、「高音域が非常に得意な女性」等が原曲キーに合いやすいと私は判断しました。

　『アイウエ』は元気のいいポップナンバーで、カラオケなどでも歌いやすいと思います。原曲キーの難易度は高いですが、歌いこなせた時の達成感も格別だと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。