『道楽心情』(DOES)の音域

　まず、『道楽心情』（どうらくしんじょう）についてです。この楽曲は、2021年にロックバンドDOESによりリリースされたシングル作品です。これまでDOESのアルバムには未収録ですが、2023年の『銀魂BEST5』に収録されました。

　『道楽心情』は空知英秋さんの漫画を原作としたアニメ映画『銀魂 THE FINAL』の挿入歌として書き下ろされました。DOESらしいロック曲であり、ボーカルも男声らしい色気が強調されています。作詞作曲はボーカル＆ギターの氏原ワタルさんによりなされました。


　『道楽心情』の音域的な特徴についてです。同曲はおおよそ男性の音域の範囲内で歌メロが作られています。一般的な音域の男性が原曲キーでマッチしやすい曲です。
　同曲は中高音域がmid2C#～mid2F程度であり、一般的な音域の男性がマッチしやすいレンジだといえます。ただ、mid2D#～mid2F辺りは慣れてない人だとスムーズな発声が損なわれやすいため、しっかり練習する必要はあります。低音域はmid1D#程度で標準的(若干高め)です。音域はそこまで広くないため、キー調整もしやすいです。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。今回は低音がmid1D#やmid1F程度であり、女性には低いレンジです。女性の得意な高音などを考慮してもいくらかキーを上げた方が歌いやすいと私は分析しています。一つの目安ですが、原曲キーから４～６つ程度上げてみてください。ロック色が強いので、荒々しさを強調してみるのもよいと思います。



　最後に『道楽心情』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3)～【地声最高音】mid2F(F4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1D#はAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。「高音域が非常に得意な男性」などは若干キーを上げてもよいかもしれません。

　次に、地声最高音mid2Fはサビを中心に全体で9回登場します(特にラストサビで多い)。このmid2Fに次ぐ地声高音としてはmid2D#が24回登場します。こうした点を考慮すると、男性の音域の範囲内であり、「標準よりやや低めの音域の男性」でもマッチする可能性があります。「標準より低めの音域の男性」も合う可能性がありますが、mid2D#の回数などを考慮すると少しキーを下げるのもよいと思います。その辺りは実際に歌唱して微調整を加えて下さい。


　『道楽心情』は低音域に余地があるため、キー下げは可能です。今回は音域もそこまで広くないため、キー調整の融通が利きやすいです。歌い慣れた人はもちろんですが、ビギナー向けの調整も可能だと私は推測しています。ただ、原曲の氏原ワタルさんのような男性性の強い色気のある歌唱をするには力量が求められるため、弛まぬ練習を重ねたいです。
　同曲はメロディーやリズムも覚えやすいです。音域がマッチするのであれば練習曲などに向くと考えています。『曇天』（過去記事）などと比べるとボーカルは艶っぽく色気のある印象ですので、そうした歌唱も意識したいです。また、スケール外の音も一部で登場するため、音程を取るのが苦手な人は注意してください（比較的克服しやすいと思います）。最近のJ-POPとしては高音も高くなく、リズムも分かりやすいため、練習曲にはおススメです。

　『道楽心情』を原曲キーで歌唱する場合、mid2C#～mid2Fといった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回はmid2C#辺りが多く、サビ等を中心にmid2D#～mid2Fが登場します。mid2D#の回数などを考えると、「標準より低めの音域の男性」の一部は少し歌いにくい可能性もあります。
　こうした点を考慮すると、「標準より(やや)低め～ある程度高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。「高音域が得意（or非常に得意）な男性」も原キーで歌えなくもないですが、人によっては少しキーを上げた方がより歌いやすい可能性があります。

【まとめ】

①最近のJ-POPとしては高音が高くない
②原キーだと「標準より(やや)低め～ある程度高音域が得意な男性」などに合いそう
③キー調整もしやすく、比較的わかりやすい
④最近のJ-POPの中では練習曲として使いやすい
⑤原曲のように歌うには力量が必要。音程以外の歌唱表現についても注目したい