『そんなbitterな話』( Vaundy ) の 音域

　まず、『そんなbitterな話』（そんなビターなはなし）についてです。この楽曲は、２０２３年に男性シンガーソングライターのVaundyさんによりリリースされたシングル作品です。最新作であるため、アルバムには未収録。配信限定のシングルです。

　さて、『そんなbitterな話』はABEMAの恋愛リアリティ番組「花束とオオカミちゃんには騙されない」の主題歌として書き下ろされました。Vaundyさんは以前にも『恋風邪にのせて』(過去記事)を主題歌として提供しております。「オオカミ」シリーズは、これまでにあいみょんさん、Aimerさんなどが主題歌を担当しました。ネット局の番組にも関わらず、人気アーティストが主題歌を担当することが多い枠でもあります。


　『そんなbitterな話』はスローなバンド曲です。VaundyさんはR&Bやシンセポップ、ヒップホップなど幅広いジャンルの音楽を展開しておりますが、今回はロック、ヒップホップ等の要素を持っております。歌メロについてはAメロBメロサビと展開します。全体として韻を踏んだ歌詞などが印象的であり、ゆったりとしたメロでありながら跳ねた趣があります。作詞作曲編曲はVaundyさんによりなされました。

　『そんなbitterな話』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。低音域に少し余裕があるため、一般的な男性は少しキーを下げた方が歌いやすいと推測されます。
　同曲は「地声高音でみるとmid2E～mid2F#辺り」が多く、サビでhiB～hiE辺りの裏声が多用されます。私個人としては、裏声が得意な方は「hiA以上を全部裏声で歌唱する」など割り切った歌唱をしてもよいと思います。ただ、いずれにしても器用な裏声発声が不可欠となるため、練習が求められそうです。

　ちなみに、同曲を女性が歌う場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。低音域についてはmid1E辺りが複数回登場するため、一般的な女性にとっては低いと思います。また、サビの地声と裏声の使い分けを考えると、女性にとっては少しキーを上げた方がマッチしやすいと感じました。



　最後に『そんなbitterな話』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1EはAメロ～サビまで広く登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。同曲は、地声レンジが滅茶苦茶には高くない分、低音域がしっかりしていないと少し歌いにくいかもしれません。また、女性にとっては低いレンジですので、女性ははキーを上げた方が歌いやすいと思います。

　次に、地声最高音「hiB」はサビで登場します。登場回数は６回程度であり、いずれも裏声hiEから切り替える場面です（hiE裏–hiB地[僕た]ち]のところ）。hiBは男性の音域としては高いため、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから２～３つ程度下げてみてください。
　同曲の地声hiBは裏声と裏声の間に登場します。そのため、私なりの印象ですが、今回の地声hiB,hiAは「裏声」で歌ってもよいのではないかとも感じました。裏声が器用に出せる方はhiA以上を裏声で統一してもよいと思います。


　『そんなbitterな話』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。そのため、歌い慣れた人であれば自分の得意なレンジに調整することができると思います。一方、同曲は音域自体が広く、裏声も多用されているため、ビギナー向けの調整は難しいのではないかと私は推測しました。

　私なりのざっくりとした印象ですが、『そんなbitterな話』は地声レンジだけを見ると「低音～中音（mid2F#位まで）」が多く、高音域が裏声がメインに多くなります。そのため、「裏声がかなり器用」であれば、標準的な音域の男性でも原曲キーの歌唱可能だと感じました。
　ただ、原曲を忠実に再現しようとすると、地声hiB,hiAが必要な分やはり「ある程度高音域が得意な男性」向けになります。


　『そんなbitterな話』はゆったりとしたテンポの楽曲ですが、全体的に跳ねたリズムであり、カラオケなどでも歌いやすいと感じました。また、メロがゆったりしてる分、歌詞の良さ、ボーカルの良さなども活きやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。