『灯火』(Vaundy)の音域

★m2G#[け]m2F#[どま]だ (どうしよう ここにいようか)

★（まだ見えない 未来を僕ら 灯火で照らしていく）m2G#[から]

　まず、『灯火』（ともしび）についてです。この楽曲は、2020年4月に男性シンガーソングライターのVaundy（バウンディ）さんによりリリースされたシングル作品です。翌月にリリースされたアルバム『strobo』（ストロボ）に収められております。同アルバムには、『不可幸力』(過去記事)、『napori』(過去記事)といった人気曲が収められております。 
　『strobo』に収められた作品の多くは、日本レコード協会によりストリーミング認定を受けております。『灯火』も2021年7月にシルバー認定（3000万回再生）されており、非常に人気の高い作品の1つといえます。他には、先に挙げた『不可幸力』、『napori』がそれぞれ1億再生のプラチナ認定、『当局フラッシュ』、『怪獣の花唄』がそれぞれ5000万再生のゴールド認定を受けております。

　『灯火』は、柴門ふみさんの同名漫画を原作とした配信ドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌としてタイアップが付きました。『東京ラブストーリー』は元々1991年にドラマ化されており、1990年代を象徴する爆発的なヒットを記録しました。主題歌である小田和正さんの『ラブ・ストーリーは突然に』も大きなヒットを記録しています。柴門ふみさんの漫画作品は、これまでに多くがドラマ化されており、その主題歌などもよく知られております。

　『灯火』はミドルテンポのポップナンバーです。アコースティックギターが基調となっており、歌メロもリズミカルです。
　同曲の歌メロは、AメロＢメロサビ大サビといった形で作られております。ただ、ラストの大サビになるまで、AメロＢメロサビは全体として低めのレンジで歌メロが展開されます。こうした展開は『不可幸力』(過去記事)でも見られましたが、こうしたJ-POPではあまり見られなかった展開でも多くの人気を集める点が、Vaundyさんの凄さの一つの側面かもしれません。演奏時間は3分弱で作られており、非常にコンパクトです。

　『灯火』の音域的な特徴についてです。同曲は、全体でみると男性としては高めのレンジで歌メロが作られております。ただ、細かい部分まで見ていくと、前半の2分程度までは男声としてはかなり低めであります。AメロＢメロサビの基本的なメロはm1B～m1G#で展開されており、相当低いです。その後、大サビとその周辺になると高めの音階が登場し始めます。低音から高音まで広いレンジが要求される作品であり、キー調整はやや行いにくいです。


　最後に『灯火』の音域についてですが、【地声最低音】mid1B(B2)～【地声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1BはAメロＢメロサビとそれぞれで登場します。登場回数も多いです。ここは可能であれば、しっかり歌唱したいところです。ただ、低音が苦手な方は無理をしなくてもよいと思います。同曲は全体7割くらいは低いレンジで歌メロが作られております。低音の練習などにはよいかもしれません。

　一方、地声最高音hiBはラストの大サビで登場します。曲全体で2回程度なので多くはないです。ただ、周辺にもmid2G#等が多く登場しているので、一般的な男性の声域としては高めです。音域の広い楽曲なので、キー調整はしにくいのですが、普通の男性はキーを下げた方がチャレンジしやすいです。

　『灯火』は低音域の登場回数が多いため、キー下げは行いにくいです。低音が得意な方や歌い慣れた人であればよいですが、ビギナーなどにはアプローチしにくいかもしれません。もしキーを調整しても難しいと感じた場合は、別の易しめの曲と並行して練習してください。人気の『不可幸力』などと比べるとまだ歌いやすいと私は分析しましたが、それでもやはり歌い慣れた人向けの作品であるといえます。