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『前前前世 (movie ver.)』(RADWIMPS)の音域と感想

 こんにちは。今回はRADWIMPSの『前前前世 (movie ver.)』(2016)を取り上げたいと思います。『前前前世』には映画バージョンとオリジナルバージョンがありますが、今回は映画バージョンの方を取り上げます。よろしくお願いします。

『前前前世 (movie ver.)』(RADWIMPS)、Zenzenzense(movie ver.)

『前前前世』(RADWIMPS)










【地声最低音】
mid1F#(F#3)  

★[やっ]1F#と眼を[][]したかい(mid2E)
★遥か昔から[]る その声に []まれてはじめ[]


【地声最高音】mid2F#(F#4)  

★君の髪や瞳だけで胸がい[たー]いよ
★君の[前前前]世から僕は 君を[探しはじ]めたよ
★そのぶきっちょな笑い方をめがけて やっ[]き[たん]だよ



 まず、『前前前世 (movie ver.)』についてです。この楽曲は新海誠監督の長編アニメーション映画『君の名は。』のために書き下ろされた楽曲です。RADWIMPSは『君の名は。』の音楽を担当し、主題歌4曲と劇伴22曲を担当しております。『前前前世 (movie ver.)』は『君の名は。』のサウンドトラックに収録されているのですが、映画劇中では『前前前世(original ver.)』に差し替えられたそうです。

 映画『君の名は。』の爆発的なヒットもあり、『前前前世』も広く知られる作品となりました。RADWIMPSのYouTube公式チャンネルでは2019年3月現在、2億1000万回もの再生回数を記録しております。

 
 『前前前世』のサウンドについては、RADWIMPSのパブリックイメージに近い、疾走感のあるギターサウンドになっております。メロディーのリズム感も非常にRADWIMPSらしいものだと思います。ただ特筆すべき点は、メロディーに対して、「前前前世から僕は」というリズム感のある歌詞を当てはめることが出来た点だと思います。
 「言葉の『リズム』は『意味』を超える」という言葉があります。RADWIMPSのこの楽曲もまさにそうだと思います。冷静に考えると、「『前前前世』ってなんやねん」というツッコミが来そうですが、『前世』ではなく、『前前前世』というリズム感のある言葉により、楽曲自体が非常に拡散した印象があります。映画『君の名は。』のヒットに、『前前前世』の拡散・ネタ化も一役買っているという分析もあります。作詞作曲を担当した野田洋次郎さんは、そうしたリズム感を活かした言葉の言い回しが卓越している印象があります。

 『前前前世』の歌詞の内容についてですが、映画のために書き下ろされた作品ということで、そうした内容に近いものになっております。情報通信も移動手段も発達した今の時代、「お互いに会いたいと思えば大体会うことが出来る」時代です。そうした意味で、「大切に相手に会いにいく」ということに対し、「宇宙だとか次元のハードル」が設定されており、「何億光年を超えて会いに行く」いるような歌詞内容です。全体として非常に映画の世界観を引き立てていると思います。

 個人的に印象的な歌詞は「心が身体を追い越してきたんだよ」という箇所です。映画の提供曲の一つでもある『なんでもないや』にも「 嬉しくて泣くのは 悲しくて 笑うのは 僕の心が僕を追い越したんだよ」というフレーズがあるのですが、やや共通するような面があると思います。「心」の中にある思いと、「体」・「行動」が一致しないという点です。「心」の速さに、「体の動き」がついていけないというとらえ方もできると思います。「僕」の思いの強さが表現されていると思います。






 さて、『前前前世』の音域についてですが、地声最低音   mid1F#(F#3) ~地声最高音 mid2F#(F#4)でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域です。

 以前より申しておりますが、一般的な男性の音域だからといって、「カラオケなどに直行して楽々に歌いこなせる」という類の楽曲ではありません。例えば、冒頭の「[やっ]mid1F#と眼を[][]したかい(mid2E)」といったフレーズです。音階の上下が非常に激しく、丁寧に歌わないとmid2E程度でもミスが出る可能性が高いです。ボーカルの野田さんもAメロは丁寧に歌っている印象です。

 ただ、必ずしも難易度の高い楽曲ではありませんmid2Fなどの音階ならば、努力すれば達成できる可能性が高いです。そういう点を踏まえておいてください。

 また、テンポの速い楽曲だと、高音でない楽曲であっても余裕がなくなります。まず歌詞をしっかり覚えておくことが重要です。歌詞をしっかり覚えた上で、余裕を持って歌に臨んでください。テンポの速い楽曲ですが、勢いに任せずに一つ一つの音を丁寧に発声していくことが肝要です。

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