『微笑みの爆弾』(馬渡松子)の音域 /アニメ『幽☆遊☆白書』OP曲

　まず、『微笑みの爆弾』（ほほえみのばくだん）についてです。この楽曲は、１９９２年に女性シンガーソングライターの馬渡松子さんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、翌年にリリースされた『nice unbalance』（ナイス・アンバランス）に初収録されました。同アルバムには、シングル『P-U』、アニメ『幽☆遊☆白書』のエンディングテーマとなった『さよならbyebye』などが収められております。

　さて、『微笑みの爆弾』は冨樫義博さんの同名漫画を原作としたテレビアニメ『幽☆遊☆白書』のオープニングテーマとしてタイアップが付きました。『幽☆遊☆白書』は１９９０年～１９９４年の５年間にわたり連載され、発行部数が５０００万部を超える人気漫画です。その中で『微笑みの爆弾』は、アニメの1話目から最終話までを主題歌として使用され、大きな知名度を獲得しました。国内のみならず、海外でも人気の高いアニメソングです。

　『微笑みの爆弾』はシンセアレンジが心地よいミドルテンポのナンバーです。歌メロはAメロBメロサビと展開します。アニメの主題歌ということもあってか、全体的に元気のある作品で、その分中高音寄りのメロディーになっております（声域的にはアルト）。
　同曲の作詞はリー・シャウロンさん、作曲編曲を馬渡松子さんが担当されました。私個人としては、作曲編曲を自身で行い、作詞を外部の人が担当しているという点が非常に面白く感じます。


　『微笑みの爆弾』の音域的な特徴についてです。同曲は、大よそ一般的な女性の音域の範囲内で歌メロが作られております。そのため、多くの女性が原曲キーでの歌唱が可能だと思います。高音域が苦手な方や歌い慣れてない人などはキーを下げても歌いやすいと思います。
　ちなみに、アニメで蔵馬役を演じた声優の緒方恵美さんが今年リリースされたカバーアルバムでは原曲よりも2つ低いキーで歌唱されております（1998年でのカバーは原曲キーでした）。この辺りも1つの参考になると思います。

　同曲を男性がカバーする場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。同曲はアニソンということもあり、男性声優などもカバーされております。例えば、阿部敦さんは原曲よりも6つ低いキー（[mid1D#～mid2E]♭６）で歌われております。この辺りが1つ参考になると思います。高音域が非常に得意な男性の場合、原曲キーで歌唱することも可能だと思いますが、個人的にはキーを下げた方がより安定すると思います。



　最後に『微笑みの爆弾』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。

　まず、地声最高音hiA#はBメロやサビで登場します。登場回異数は１５回程度と多いです。この辺りは女性の音域の範囲内ですが、慣れていないとスムーズ発声が損なわれやすいです。ただ、hiA#辺りだと比較的克服しやすいですので、少しずつ練習を重ねてください。先述のように、高音域が苦手な女性などはキーを下げるのもよいと思います。


　『微笑みの爆弾』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。同曲は音域自体はそこまで広くないため、キー調整に抵抗が無ければ、多くの人に合うレンジに調整することができると思います。そうした点で練習曲には使いやすい印象です。一方、同曲は若干リズムが取りにくい部分があるため、原曲をしっかり聴き込んでおく必要があります。

　『微笑みの爆弾』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F～hiA#といった中高音域をしっかり歌いこなせることが求められます。とりわけ、今回は音域が広くない分、原曲キーでは中高音域が頻出します。そのため、音域以上に高音感があります。これらを踏まえると、「標準的よりやや低め音域～標準より高めの音域の女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。
　今回は低音がそこまで低くなく、中高音域の割合が高いです。そのため、最高音はhiA#程度ですが、標準より高いレンジの女性もチャレンジ可能だと思います。ボーカルの馬渡松子さんは、中性的なボーカルが魅力ですので、低音を利かせるとより原曲のニュアンスに近づくのはないかと思います。


　『微笑みの爆弾』は人気アニメの主題歌ということもあり、国境を越えて多くの支持を集めるアニメソングです。またノリの良いデジタルポップであり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。