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『1984』(andymori)の音域と感想

こんにちは。今回はandymoriの『1984』(2010)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『1984』(andymori)

『1984』(andymori)










【地声最低音】mid1E(E3) 

★椅子取りゲームへm1E[の 手]続きはまるで 永遠のようなんだ


【地声最高音】mid2G#(G#4)  ※転調後サビのみ

mid2G#[ファンファー]mid2F#[レ][熱]G#[狂](転調後サビ)
★赤いm2G#{太][陽] [5][時][サイ]レン


【裏声最高音】hiB(B4) ※通常のサビですべて裏声

hiB裏[ファンファー]hiA裏[レ]mid2G[と][熱][狂](通常のサビ)
★赤いhiB[太]A[陽][5][時]G[の][サイ]G[レン]


【補足】mid2Gの箇所

mid2G[1984](ナインティーエイティーフォー) 花に囲まれて生まれた(2番Aメロのみ)

Aメロでは基本的にmid2Eが中心となります




 まず、『1984』(いちきゅうはちよん)についてです。この楽曲は、2010年にandymoriによりリリースされたアルバム『ファンファーレと熱狂』の収録曲です。ちなみにアルバムタイトルの『ファンファーレと熱狂』というフレーズは、楽曲『1984』の中に登場します。よって、この『1984』はアルバムのリード曲、表題曲といっても良いかもしれません。つまり、アルバムの中で重要な位置づけにあり、ファンにも人気の高い楽曲の一つだと思います。
 ちなみに『1984』を収録したアルバム『ファンファーレと熱狂』は2011年に発表された第3回CDショップ大賞において最高賞を受賞するなど、非常に評価の高いアルバムになっております。

 『1984』のサウンドについてです。andymoriはギターボーカル、ベースギター、ドラムで構成される3人組バンドです。楽曲においてはそうした3人組ならではのサウンド作りの印象が強いです。編曲も『1984』含めandymori自身が行っております。
 一方で、この『1984』はイントロの象徴的なフレーズをバンド以外のトランペットが担当しております。サビの歌メロと同じフレーズです。このトランペットが楽曲の持つ黄昏感を非常に上手く表現しています。その他、アコースティックギター、エレキギターなども夕焼け感を上手く表現していますが、ここでトランペットを導入できた意味は非常に大きいと思います。
 メロディーについては、郷愁を誘うような切なさを感じます。メロディーの構成としてはAメロ、サビの繰り返しという単純なものです。しかし、最後のサビの直前で転調が行われ、キーが4つ下がります。最後の部分でキーが下がる楽曲というのは珍しいですが、歌メロに関しては裏声から地声に変わります。こうした工夫で聴き手にインパクトを与えています。

 歌詞については、具体的で直接的なメッセージが語られているわけではないため、様々な解釈が出来ると思います。私自身がandymoriと年齢が近いこともあるため、一層共感できるのかもしれませんが、
この『1984』は「あらゆる意味での『黄昏感』」が表現されていると思います。
 『黄昏』には「盛りを過ぎ、勢いが衰えるころ」といった比喩があります。「(まだ遊びたいのに)家に帰らなければいけない夕焼けを見たときの切なさ」といった歌詞解釈もできますが、「自分の人生」に対する諦観なども挙げられると思います。
 また、歌詞に「親達が追いかけたロックスター か弱い僕らもそのあとに続いた」と言った要旨のフレーズがあります。これは、「ロック」という音楽が勢いを失っていく様を描いているのではないかとも思います。
 私自身は「親世代が営んできたライフスタイル、これまで営まれてきた既存のスタイルが自分達の世代では難しくなっている」という意味もあると解釈しています。サビで繰り返される「5時のサイレン 6時の一番星」というのは『黄昏』を強く表現していると思います。そうした意味で、非常によく出来た歌詞だと思います。
 ちなみにアルバムタイトルでもある『ファンファーレと熱狂』は私自身は、「黄昏時」との対比としての「昼間」、「勢いがあったころ」、「(勢いがあった頃の)ロックミュージックの熱狂感」、「上の世代が行ってきたライフスタイル」といった意味で解釈しています。大雑把に要約するならば、『今(黄昏時)となっては手に届かなくなったもの』とも言えるかもしれません。



 
 さて、『1984』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3) ~【地声最高音】mid2G#(G#4) 、【裏声最高音】hiB(B4)でメロディーが構成されております。地声については、大よそ一般的な男性の音域の範囲内であると思います。

 まず、地声最高音のmid2G#についてですが、最後のサビでのみ登場します。mid2G#ある程度歌い慣れた人であれば届きやすい音階です。普段歌い慣れていない人は、練習を重ねることで克服してください。
 ただ、『1984』自体は、ラストのサビでしかmid2G#は登場しません。また、mid2G、mid2Fといった音階も楽曲全体でごく一部に登場するのみです。よって、『1984』はmid2G,mid2Fといった音階を練習したい人にとっては、あまり向かない曲といえるかもしれません。その点は留意しておいてください。
  ただ、この『1984』はAメロでは基本的にはmid2Eまでの音階が頻出します。そうしたmid2E以下の音域を練習したい場合は、『1984』のAメロが使えると思います。
 
 また、この楽曲は通常のサビで裏声が多く使われます。よって、裏声の練習には向いている楽曲といえると思います。

 やや暗めの曲でありますので、カラオケ等では向いてないかもしれませんが、非常に良い楽曲です。

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