『ナイロンの糸』(サカナクション)、Nylon no Ito
【地声最低音】mid1C(C3)
★何かを食べて眠くなっ[て]も
【地声最高音】hiA(A4)
★hiA[こ]mid2G[の海]mid2F[に居たい](サビ)
★hiA[こ][の海][に]hiA[帰っ][た]二人[は]いたい[けに]
【補足】mid2Fの注意点
★厚着で隠す あmid2F[の]日のこと [oh]~ [oh]~
★厚着で隠す あmid2F[の]日のこと [oh]~ [oh]~
★君が消える 影が揺れる あ[ま]えてもて[い]っぽ
まず、『ナイロンの糸』についてです。この楽曲は、2019年にリリースされたサカナクションのアルバム『834.194』(はちさんよんいちきゅうよん)に収録されている楽曲です。大塚製薬の「カロリーメイト」のCMソングのタイアップが付きました。同コマーシャルにはサカナクションのフロントマンである山口一郎さんも出演しております。余談ですが、山口一郎さんは近年は楽曲提供とともに積極的に企業のCMに出演しております。その中で、個人的には携帯電話会社auが関わる月面プロジェクトのCMが印象に残っています。
『ナイロンの糸』のサウンドについてです。エレキギターのアルペジオが印象的ですが、徐々にエレクトロな要素が加味されて、サカナクションらしいサウンドになっていきます。メロディーについては、一般的なJ-POPとは少し異なりますので、どのように分類するか難しいところですが、(Aメロ⇒Bメロ)×2⇒サビというように私は見ています。洋楽ではこうした歌メロの構成はよく見ます。必ずしも取っ付きにくい楽曲ではないと思いますが、もしかしたら、「サビがなかなか来ない」みたいな感じられ方をする人も居るかもしれません。ただ、『ナイロンの糸』は楽曲の後半から盛り上がりを見せる作品ですので、そうした点は多くの人を惹きつけうる要素だと思います。
歌詞についてです。山口一郎さんらしい抽象的な歌詞です。私なりの解釈ですが、今は会えなくなった「君」との海で過ごした日々を回想しているのだと思います。歌詞のラスト「この海に帰った振りしてもいいだろう」というフレーズから、やや現実逃避的なニュアンスもあるのではないかと感じました。
タイトルの『ナイロンの糸』についてですが、歌詞の中では「縒れてた古い糸を 静かに手で巻き取る様に いつかはわかる あの海のこと」という場面で糸が登場します。絡まったり、よれてた状態の糸が整理されていくように、「海での出来事」も心の中で整理できていくということなのだと思います。「今は完全に整理できていない君との海での記憶」をよれた糸に喩え、それを『ナイロンの糸』タイトルに据えているのだと考えます。
ちなみに「ナイロン」の用途は幅広く、釣り糸などにも使われます。山口一郎さんは釣り好きでもありますので、そうした背景がナイロンを選んだ理由の一つなのかもしれません。また、「海のこと」は釣りとも関係しているのかもしれません。
さて、最後に『ナイロンの糸』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C(C3) ~【地声最高音】hiA(A4)でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高めです。
まず、Aメロ、Bメロまではmid2Fが最高音になります。ここの辺りは、歌い慣れていない人は少し苦戦するかもしれませんが、努力を重ねると歌いこなせる範囲だと思います。
最後の盛り上がる部分でhiAという音階が地声で登場します。hiA辺りになると、歌いこなすのは少し難しくなります。場合によっては歌いこなすまでに時間を多く要したり、歌いこなせなかったりすることがあることを留意しておいてください。声が低い人は、原曲キーから1~2程度下げても良いかもしれません。これで最高音がmid2G#,mid2Gに設定されます。
ある程度高音域が得意な人の場合は、楽しく歌いこなすことが出来る楽曲であると思います。一方で、『ナイロンの糸』は楽曲の展開が従来のJ-POPとは少し異なります。また、楽曲のテンポもミディアムテンポからスローテンポ気味です。よって、カラオケなどで盛り上がる類の楽曲とは言い難いです。ただ、楽曲の歌詞内容自体はTPO的に汎用性が高いと思いますので、いつ歌っても問題ないように感じられます。