『多面態』( Tani Yuuki ) の 音域

　まず、『多面態』（ためんたい）についてです。この楽曲は、２０２３年に男性シンガーソングライターのTani Yuukiさんによりリリースされたアルバム『多面態』に収録されております。アルバムのリード曲にあたり、１２曲中１２曲目にに収められております。
　同アルバムには、『夢喰』(過去記事)、『もう一度』(過去記事)といったシングル曲が収録されております。とりわけ『もう一度』は２０２３年２月に再生回数は１億回を突破する等大きなヒットとなりました。

　さて、『多面態』はアップテンポのバンド曲です。歌メロはAメロBメロサビと展開します。AメロBメロは韻を踏んだメロが印象的であり、中低音中心にメロが展開します。一方、サビに入るとメロディーが活きた展開となり、ボーカルの声域もかなり高くなります。全体的に覚えやすいメロディーなのではないかと思います。作詞作曲はTani Yuukiさん自身によりなされました。


　『多面態』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高い（もしくは「かなり高い」）レンジで歌メロが作られております。一般的にはキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲の低音域については、大体mid1D辺りが歌えると形になりやすいです。ABメロは基本的に中低音中心です。その後、サビでは大きく盛り上がり、hiD,hiCといったかなり高い音が連続的に登場します。最低音がmid1A#はそこまで不可欠ではありませんが、それを考慮しても音域が広い作品といえます。

　ちなみに、Tani Yuukiさんの人気曲は地声最高音がhiA#位までであり、高音域が滅茶苦茶に要求されることはありませんでした。その点で、今回の『多面態』はかなり異色の作品だとも感じます。



　最後に『多面態』の音域についてですが、【地声最低音】mid1A#(A#2)～【地声最高音】hiD#(D#5)、【裏声最高音】hiC(C5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高い（もしくはかなり高い）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1A#はAメロで登場します。ただ、このmid1A#は歌い出しの瞬間的な音であるため、あまり厳密な音程にこだわらなくてもよいと私は判断しました。今回の低音域は、大体mid1D辺りがしっかり歌えると、形になりやすいといです。

　次に、地声最高音hiD#はラストサビで登場します。登場回数は１場面（2回）です。今回はサビを中心にhiDが１５回程度登場します。このhiDは男性の音域としてはかなり高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいと思います。


　『多面態』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ただ、今回は低音～高音まで音域が広いです。そのため、歌い慣れた人がキー調整をした場合でも一部で歌いにくい部分が出てくるかもしれません。ある程度高音域が得意な男性の方が有利に働きやすいです。また、音域が広い分、ビギナーの練習曲にも向きにくいです。
　同曲は、メロディー自体は分かりやすく、何度か聴いているうちに自然と予測が付くようになります。音域がマッチする人であれば、おススメしやすい楽曲です。

　『多面態』を原曲キーで歌唱する場合、hiA～hiD#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はサビを中心にhiDが多いです。一方、AメロBメロはmid1D#～mid2D#辺りでメロが展開されます。
　こうしたことを踏まえると、「高音域が(非常に)得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。



【まとめ】

①最高音が高いため、「高音域が(非常に)得意な男性」向けの楽曲。
②ABメロはそれなりに低く、低音も不可欠（音域が広い）。
③メロディー自体は分かりやすい