『もののけ姫』(米良美一)
【最低音】mid2C(C3)
【補足】を参照ください
【最高音】hiD#(D#5)
★hiC–hiD^-hiD#–D[悲し[み]とい][か]り]に【Bメロ】
★ひhiA#[そ]む まhiD–hiD#^-A#[ことのこ[こ]ろ]を]hiD#–D[知]る]は
★もhiA#–C–hiD#–D[の[の[け]た]ち[だC[け]
【補足】hiA#~hiCを含むフレーズ一覧
★m2C–m2G[は]りつ]め[たゆhiA#[み]の【Aメロ】
★m2C–m2G[ふ]るえ]る[弦hiA#[よ]
★つhiA#–hiC[き[の光にざ]わ]めく おまえのこm2C[こ]ろ
★もhiC–hiA#–m2G#^[り]の]せ[い]
まず、『もののけ姫』についてです。この楽曲は、1997年に米良美一さんによりリリースされたシングル作品です。同曲は、宮崎駿さん監督のアニメ映画『もののけ姫』の主題歌として知られています。楽曲は、40万枚を超えるCDヒットとなりました。
ちなみに、映画『もののけ姫』は興行収入193億円を記録し、当時の日本映画の歴代興行収入第1位となりました。同作は、当時のジブリにとって倍の制作予算、作画にも年数をかけた大作であり、広告宣伝にも注力されました。この作品のヒットで、スタジオジブリは知名度が大きく上昇し、経営的にも安定していくことになります。また、「子どもやマニアが楽しむアニメ」という枠を超えて、「一般大衆に広く親しまれるアニメ」というものに大きく貢献した作品でもあります。
『もののけ姫』の音域的な特徴についてです。同曲は、歌メロがほぼ裏声で歌唱されている点が特徴的です。米良美一さんは日本を代表するカウンターテナーとして知られています。カウンターテナーは「女声に相当する高音域を歌う成人男性歌手」のパートの一つであり、裏声(ファルセットやヘッドボイスなど)を用いて歌唱されます。そのため、『もののけ姫』の歌唱においても器用な裏声発声が不可欠となります。
裏声の発声はJ-POPの楽曲を練習する上でも有用です。高音域を地声で歌うのが難しいときは、「最初は裏声で歌えるように練習する」のもよいといわれています。ただ、裏声は練習をし過ぎると喉を傷め、支障が出やすい発声でもありますので、少しでも違和感を感じたときは、積極的に休むようにしてください。少しずつ練習を重ね、長期間にわたって取り組みたいです。
女性が同曲を歌唱する場合についてです。同曲は、過去に多くの女性歌手がカバーしています。女性声優の島本須美さん、およびボーカルユニットKalafinaのメンバーとして知られるWakanaさんは原曲キーから2つ低いキーで歌唱しており、地声と裏声を交えて歌っております。その他に、井上あずみさんは原曲キーより1つ低いキー、阿部真央さんは原曲キー、朝倉さやさんは原曲キー+1で歌唱されております。この辺りが1つのキー調整の参考になると思います。
私なりの印象ですが、女性の場合は、いくらかキーを上げた方が歌いやすいのではないかと推測しています(低音域の裏声が難しい可能性がある)。
最後に『もののけ姫』の音域についてですが、【最低音】mid2C(C3)~【最高音】hiD#(D#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高め~高いです。以下、見ていきます。
まず、最低音mid2CはAメロを中心に登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。ただ、「高音域が得意な男性」などは裏声で歌うのが大変かもしれません。場合によっては少しキーを上げるのもよいと思います。
次に、最高音hiD#はBメロを中心に登場します。このhiD辺りは、一般的な音域の男性だと出しにくい可能性がある(もしくはかなりの練習が要求される)ので、場合によってはキーを下げた方がよいかもしれません。また、歌い慣れていない人だとかなり大変だと思いますので、キーを下げるとよいと思います。
『もののけ姫』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。今回の楽曲は音域自体はそこまで広くないため、歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。
ただ、今回の楽曲は曲全体で裏声が用いられております。まずはある程度しっかりメロディーを歌えることを目指したうえで、少しずつ表現力の向上に努めたいです。米良美一さんのような歌唱表現をするには大変な努力が要求されるため、弛まぬ練習を心掛けてください。
ちなみに、私自身もこの楽曲を歌うことがあるのですが、特に低音の場面が上手く歌えずに苦労しています。
『もののけ姫』を原曲キーで歌唱する場合、hiA#~hiD#といった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。いずれも裏声で歌唱されており、器用な発声が不可欠となります。標準的な音域の男性だと少し歌いにくい可能性もあります。反面、低音域では、mid2Cなど裏声としては低く、「高音域が得意な男性」だと慣れが必要になります。慣れないうちは地声などを上手く使って歌ってもよいかもしれません。
こうした点を考慮すると、「標準より高め~高音域が非常に得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。
【まとめ】
①男性曲としては高く、ほぼ裏声で歌唱される
②器用な裏声発声が不可欠になる曲
③原曲キーだと「標準より高め~高音域が非常に得意な男性」などに合いそう
④女性だとキーを上げた方がより歌いやすいかも(地声を交えるならば原キーもよい)
⑤調子が悪いと裏声に影響が出やすい。体調を考え、少しずつ練習していきたい