『一滴の影響』(UVERworld)の音域 [2017年の作品]

★hiA–hiA#[残[り]hiC[の]数％ 誰のせいでもないそのふA[ひょうど]m2G[う]を
★hiA–hiA#[今日も君は生き[ている]m2G[ぅ]【2番サビ】
★（自分のせいにしないで）hiA[ 立ち止まら]hiC[ない]A[で]m2G[ぇ]【ラストサビ】
　まず、『一滴の影響』（いってきのえいきょう）についてです。この楽曲は、2017年にロックバンドUVERworldによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同じ年にリリースされた『TYCOON』（タイクーン）に収められました。
　同アルバムには、『僕の言葉ではない これは僕達の言葉』や、『DECIDED』といったシングルが収められております。また、当ブログでも取り上げた『PRAYING RUN』、『SHOUT LOVE』といった作品も含め、全18曲が収められております。そうしたこともあってか、アルバムの収録時間が78分59秒となっており、ボリューミーな作品群となっております。アルバム自体も10万枚を超えるセールスを記録し、日本レコード協会よりゴールド認定されております。

　『一滴の影響』は加藤和恵さんの漫画を原作としたテレビアニメ『青の祓魔師 京都不浄王篇』のオープニングテーマに起用され、話題を呼びました。楽曲の質も相まって、2018年には日本レコード協会より配信でのゴールド認定（10万ダウンロード）されております。

　青エクこと、『青の祓魔師』（あおのエクソシスト）は2018年12月時点で累計発行部数が1700万部に達する人気漫画であり、アニメ化映画化なども行われております。UVERworldは多くのアニメの主題歌を担当しておりますが、『青の祓魔師』シリーズとも縁が深く、これまでに『CORE PRIDE』や『REVERSI』といった人気曲が主題歌となっております。


　さて、『一滴の影響』はアップテンポのロックナンバーです。同曲は頭サビで歌メロが作られており、AメロBメロサビへと展開します。アニメの主題歌ということもあってか、全体を通して非常にハイな作品であり、その分歌メロの音域も高くなっております。
　ちなみに、『一滴の影響』というタイトルは、「小さな差でも、それが結果として大きな違いにつながる」といった意味合いなのだと私自身は解釈しております。そうした中で、歌詞の中では、「自分を愛すること」の重要さが歌われており、リスナーの背中を押します。私自身も歌詞が非常に耳に残った作品です。

　『一滴の影響』の音域的な特徴についてです。同曲は男性としては相当高いレンジで歌メロが作られております。全体としてhiA～hiCが非常に多く、体力が必要不可欠です。また、同曲は、低音域が上のピアノ画像で示すよりもずっと高く、体感的にはmid2Cくらいを最低音としても違和感がありません。そのため、高音域が得意な人でもスタミナがゴリゴリ削られる類の作品といえます。原曲キーの場合は、女性の方が歌いやすいかもしれません。


　最後に『一滴の影響』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F(F3)～【地声最高音】hiD(D5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりもかなり高いです。以下、見ていきます。


　まず、地声最低音mid1FはAメロで登場します。このmid1Fは重要性としてはあまり高くないので、落としたとしても違和感は少ないです。同曲は、低音域が男性曲としては高めであり、mid2C辺りを低音域の基準としてもよいと思います。
　「低音の基準がmid２Cとなる男性曲」は、ほぼ「キーが高くて、一般的な男性にはしんどい曲」となります。男声にはつらい楽曲です。反面、こうした楽曲は女声にはアプローチしやすく、原曲キーなどで歌唱しても合いやすいのではないかと思います。

　次に地声最高音hiDは2番サビで1回登場します。このhiDについてもあまりこだわらなくてもよいと思います。『一滴の影響』はhiDが出せること以上に、hiCが曲全体でしっかり歌いこなせることの方が重要度が高いです。hiCについては曲全体で25回以上登場します。そのため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。


　『一滴の影響』は、体感的には上のピアノ画像が示すほどに低音は低くないため、キーを下げる余地が多いです。そのため、キー下げなどはしやすいです。ただ、同曲は元々高音域が高いため、「一般的な男性が歌いやすい音域」に合わせるためには大きなキー調整が必要となります。そのため、原曲とニュアンスが変化し、違和感などを感じられる方も多いかもしれません。その点は留意しておいてください。
　
　『一滴の影響』を原曲キーで歌唱する場合、一つの目安ですが、高音域はhiC辺りがしっかり歌いこなせる力が求められます。同曲はおおよその歌メロディーはmid2C～hiCの1オクターブで成り立っており、特にhiA～hiC辺りの登場頻度が非常に高いです。そのため、高音域が使いこなせるだけでなく、1曲を通して安定して歌えるスタミナが必要不可欠です。そのため、原曲キーの場合は、女性もしくは高音域が非常に得意な男性向けの作品といえます。
　ボーカルのTAKUYA∞さんは、「1日に10㎞走る」というノルマを自分自身に課しているそうです。私自身は、この曲の音域調査を終えた際に、その「1日10㎞」のエピソードが頭の中に思い浮かびました。

　『一滴の影響』は原曲キーだと非常に大変ですが、キー調整を行えば、ある程度アプローチしやすい楽曲です（歌い慣れている必要はあります）。興味を持たれた方は、男女問わずチャレンジしてみてください。