こんにちは。今回はスピッツの『ニノウデの世界』(1991)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。
なお、『ニノウデの世界』はアルバム曲であり、アーティストおよびレーベルの公式チャンネルではミュージックビデオが公開されておりません。ただ、ストリーミングなどでは視聴可能でありますので、実験的にSpotifyを埋め込んでみます。
『ニノウデの世界』(スピッツ)、Ninoude no Sekai(Spitz)
【地声最低音】mid1C#(C#3)
★つm1C#[め]たくっ[て]柔らぁm1D[か]な 二人で鍵かけた小さな世界【Aメロ】
【地声最高音】hiB(B4) ※Cメロで2回
★m2F#[おなかのうぶ]m2G#[毛]hiA–hiB[に[口づ]け]G#[た][の]G#[も]【Cメロ】
【補足】mid2E~hiAを含むフレーズ一覧
★二人でm2E–m2F#[カ[ギ]か]けた小さな世界【Aメロ】
★縮んでm2E[伸]びてフワリ飛んでった
★タンタンm2E[タン] そ[れ]m2G#–hiA[は[ぼ]く]m2F#[を][乗]せて飛んでった【サビ[Bメロ]】
★m2G#[しがみつ]m2F#[い]m2E[て]ただ[けの] あ[の日]【Cメロ】
※アウトロのフェイクの一番高いところはhiC#です。
まず、『ニノウデの世界』(にのうでのせかい)についてです。この楽曲は、1991年に4人組ロックバンド・スピッツによりリリースされたアルバム『スピッツ』の1曲目に収録されております。アルバム『スピッツ』はスピッツの記念すべきメジャー初のフルアルバムであり、シングル曲としては『ヒバリのこころ』、『夏の魔物』が収められております。
1stアルバム『スピッツ』はメジャー初のアルバムであります。この頃からオルタナ色の強いバンドサウンド、文学的な歌詞、ポップなメロディーというのは健在であります。ただ、スピッツの人気の楽曲や人気アルバムと比べるとやや癖の強い作品群となっており、J-POPでもよく見られるAメロ⇒Bメロ⇒サビといった展開をする曲がありません。また、歌詞なども人気曲と比べて難解なものが多い印象です。
ちなみに、アルバムのジャケットは「ヒトデの交尾」を描いたものが使われており、メンバーの写真などが登場しません。こうしたアルバムジャケットの傾向は、2022年現在もほぼ一貫しており、とりわけ1994年の『空の飛び方』以降は、女性モデル(もしくは少年)を起用したものが定番になっております。このようにアルバムジャケットの点からも、現在のバンドのカラーとの共通点が見てとれます。
さて、『ニノウデの世界』はバンドサウンドの心地よいミドルテンポのナンバーです。ギターについてはAメロなどではアルペジオが用いられており、こうした点はスピッツのパブリックイメージと近いサウンドではないかと思います。
歌メロについては、Aメロサビ(もしくはBメロ)Cメロといった形で作られており、シンプルです。また、分かりやすいサビメロなどはありませんが、メロディーそのものは分かりやすく、親しみやすいです。Cメロでは転調しておりますが、歌メロの音程が大きく狂うことはあまり無いと思います。
ちなみに、同曲の歌詞は使われている言葉自体は難しくないのですが、私自身にとっては連想しにくい比喩が多いと感じました。サビ頭の「タンタンタン」もよく分かりません(音としての中毒性は高いです)。ただ、タイトル『ニノウデの世界』や歌詞の一部から、どことなく「フェチズム(偏愛)な歌詞世界」、「2人の閉じられた世界」が感じ取れます。こうした点は現在にも続く草野さんらしい歌詞世界だと思います。
『ニノウデの世界』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性としては高いレンジで歌メロが作られております。一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。
ちなみに、スピッツの楽曲は、低音域が安定した女性ならば、原曲キーでも歌唱可能なものが多いです。ただ、この曲に関しては、女性だと低音がかなり辛いため、難しいのではないかと思います(初期のアルバム3枚+ミニアルバム1枚はその傾向が強いです)。
最後に『ニノウデの世界』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)〜【地声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高いです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1C#はAメロで登場します。mid1C#は一般的な男性の音域の範囲内であります。ただ、このAメロではmid1Dやmid1E辺りも一緒に登場するため、男性であっても低さを感じやすいです。
また、mid1C#は女性にとってはかなり低い音域になります。 そのため、女性が歌唱する場合はキーを上げた方が歌いやすいです。通常、スピッツの楽曲は、声がやや低い女性であれば、原曲キーなどでも歌いやすいのですが、今回は難しいといえます。
一方、地声最高音hiBはCメロにあたる部分で登場します。曲全体で2回ですが、【m2F#[おなかのうぶ]m2G#[毛]hiA–hiB[に[口づ]け]G#[た][の]G#[も]】と全体的に高いです。サビではhiAが登場します(曲全体で6回程度)。そのため、一般的な男性の場合はキーを下げた方が歌いやすいです。目安としてですが、原曲キーから3つ程度を目安に下げてみてください。
『ニノウデの世界』は低音部分に若干の余地があり、キー下げは可能です。ただ、同曲は音域自体が広めであるため、大きなキー下げは行いにくいです。よって、「歌い慣れた人であれば可能ですが、ビギナーには難しい」といった位置付けだと私は判断しました。そのため、この楽曲が難しく感じた場合は、別の易しめの作品などと並行して練習するとよいと思います。また、「Aメロは曖昧でもいいので、サビは頑張る」というように、場面ごとに練習の強弱を付けても良いです。
今回の『ニノウデの世界』は例外的ですが、通常、スピッツの作品は、音域がそこまで広くなく、キー調整しやすいものも多いのです。そのため、キー調整などを加えると練習曲としても使いやすいです。『ニノウデの世界』以外にも、歌えそうな作品を探してみるのもよいと思います。
『ニノウデの世界』を原曲キーで歌唱する場合、CメロのhiA,hiB辺りが淀みなく歌えることが必要不可欠です。そのため、男性の中でもある程度高音域が得意な人向けの作品といえます。女性については、低音域が大変ですので、キーを上げた方が歌いやすいです。
『ニノウデの世界』は音域が広めであり、歌い慣れた男性向けの作品といえます。ただ、爽やかなバンド曲であり、リズムなども難しくないので、声域が合う人にはカラオケなどでもお奨めしやすいです。歌詞なども独特ですので、興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。
コメント
リクエストに答えていただきありがとうございます。
リクエストですが、むぎ(猫)の「君に会いに」という曲をお願いします。
リストアップしておきます。
ありがとうございます。
初めて知るアーティストです。
サイトでこのような話題を出していいのかわかりませんが、「練炭自殺の比喩」という説が個人的には好きだったりします。
いろいろな考え方ができる曲で個人的にお気に入りです。
いえ、大丈夫ですよ。そういう解釈があるのですね。面白いです
こういう曲をデビューアルバムの1曲目に持ってくるあたりがやはりすごいと感じます