なお、『卒業』はアーティストおよびレーベルの公式チャンネルではライブバージョンの動画が公開されております(2番までの公開)。当ブログにおいても、その動画を添付いたします。また、ストリーミングでも配信されているようです。
『卒業』(尾崎豊)、Sotsugyou(Yutaka Ozaki)
【地声最低音】mid1E(E3)
★m1E[こ]うしゃのか[げ し]ばふの上 すいこまれる空【Aメロ】
★ざわめくここm1E[ろ]ぉ [今] 俺にあるもの 意味なく思えて とまどっていた【Bメロ】
★逆らいつm1E[づ]け あがきつ[づ]けた 早く自由になりたかった【サビ】
【地声最高音】hiA(A4) ※曲全体で1回
★(本当の自分に)m2F–m2F#–m2G#–hiA[たどりつ[け[るだ[ろう]【ラストサビ】
【補足】mid2E~mid2F#を含むフレーズ一覧
★退屈な心 刺激さえあれば 何でもm2F#[大げさ]にm2E–F#[しゃべり続[け]た]【Bメロ】
★m2F#–m2E[行儀よ]く[まじめなん]て E[出来やし]なかった【サビ】
★(’あと何度自分自身) m2F–m2F#[そつぎょ[う]m2G#[すれ]F#[ば]【ラストサビ】
★m2F#–m2E[仕組まれたじ]ゆ[う]に] F#–E[誰も気づ]か[ず]に]
まず、『卒業』についてです。この楽曲は、1985年に男性シンガーソングライターの尾崎豊(おざきゆたか)さんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、デビューから2枚目のアルバム『回帰線』に収められております。同アルバムには、当ブログでも以前に取り上げた『ダンスホール』(過去記事)や、ベストアルバムにも収められた人気曲『シェリー』、『Scrambling Rock’n’Roll』などが収められております。
その中で、シングル『卒業』はアルバム『回帰線』の先行シングルとして発売され、尾崎さんの作品としては初めてトップ20入りを果たし、知名度の上昇に貢献しました。楽曲自体も大きな話題を呼び、アルバム『回帰線』も大きなヒットを記録します。
尾崎さん作品は、しばしば「支配や社会への反抗」といったパブリックイメージがありますが、『卒業』は、まさにそうした面が色濃く表出された作品といえるかもしれません。この楽曲のヒットに伴い、「10代のカリスマ」としてのイメージが強くなっていきます。尾崎豊さんを代表する楽曲の1つといえると思います。
『卒業』はミドルテンポのフォークなバンドナンバーです。ピアノなどが基調となっており、ライブでは尾崎さん自身がピアノを演奏されることもあったようです。歌メロについてはAメロ(Bメロ)サビと展開します。AメロBメロが全体的に「静」にあたり、サビが「動」にあたるような作品であります。演奏時間は6分超と長く、とりわけラストのサビが印象的です。
同曲の歌詞については、当時の学校教育などの影響もあり、社会への疑問などが歌われております。この曲は、歌詞の「行儀よくまじめなんて 出来やしなかった夜の校舎 窓ガラス壊してまわった」という不良や暴力亭な部分がしばしばフィーチャーされることが多くみられます。ただ、私自身は今回の記事のために初めて歌詞をしっかり読んでみると、不良的な側面だけでなく、もっと深く、自身の弱さや社会への悩みのようなものが語られているようにも感じました。
『卒業』の音域的な特徴についてです。同曲は、一般的な男性の音域よりもやや高めのレンジで歌メロが作られております。高音域についてはmid2E~mid2F#が多く、サビではmid2F#辺りが連続して登場します。そのため、見た目以上に高さを感じる楽曲なのではないかと思います。歌い慣れた人の場合、原曲キーか少しキーを下げて歌ってもよいと思います。また、女性の場合は、キーを上げた方が歌いやすいです。
最後に『卒業』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)~【地声最高音】hiA(A4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりもやや高めです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1EについてはAメロBメロ等で登場します。頻度が意外と多いです。この辺りは一般的な男性の音域の範囲内といえますが、高音域が非常に得意な男性などは少し歌いにくく感じられるかもしれません。また、女性にとってはかなり低い声域になりますので、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。ちなみに、ももいろクローバーZの玉井詩織さんがこの楽曲をカバーされているのですが、玉井さんは原曲キーから4つ上げて歌唱されております(カラオケだと#4)。
一方、地声最高音hiAについては、ラストサビで1回だけ登場します。その他、mid2G#をピークとしたフレーズも1回と登場回数は少ないです。
同曲は、サビの【m2F#–m2E[行儀よ]く[まじめなん]て E[出来やし]なかった】などに代表されるように、mid2F#やmid2Eが非常に多く登場します。このmid2F#辺りは一般的な男性の音域の範囲内ですが、回数が尋常ではなく多いため、私なりのイメージとしては、一般的な男性は少しキーを下げた方が歌いやすいのではないかと思います。一つの目安ですが、原曲キーから1~2つ程度下げてみてください(♭1~2)。
『卒業』は低音域に若干余裕があり、キーを下げることは可能です。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに合わせることができます。一方、歌い慣れていない人向けの調整も可能だとは思います。ただ、同曲はサビなどを中心にかなりアクが強いです。そのため、私個人としてはビギナーの練習曲としては使いにくいのではないかと分析しました。
尾崎豊さんは、『I LOVE YOU』など歌メロが美しい作品もあります。歌い慣れていない人の場合は、そうしたメロディアスなものの方が、チャレンジしやすいのではないかと私は感じております。
『卒業』を原曲キーで歌唱する場合、一つの目安ですが、mid2F#辺りが1曲を通して安定して歌いこなせる力が求められます。先述しておりますが、同曲はサビを中心にmid2F#,mid2E辺りが非常に多く登場します。一方、地声最高音hiAなどは1回程度です。そのため、mid2F#辺りがしっかり歌えると全体としてかなり安定した歌唱ができます。
同曲の終盤はサビがかなり長めであります。そのため、スタミナなどが必要不可欠です。そのため、原曲キーで歌唱する場合、少し高め~ある程度高音域が得意な男性の方が合いやすいのではないかと思います。
『卒業』は演奏時間がやや長く、カラオケなどでは少し歌いにくいかもしれません。ただ、楽曲自体は非常によく、今も語られる名曲であります。私自身も今回記事を書く中で、「不良や10代のカリスマ」といった以上の良さを感じました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。
コメント
尾崎と言えば「15の夜」ですよね
15の夜もお願いします
リストアップしておきます。
尾崎豊さんは意外と取り上げてないので楽しみです。
もりっしーさんは校舎のガラス割ろうと思ったことありますか?
コメントありがとうございます。
後者のガラス割りたいとかはさすがにないですね。
バイクを盗みたいとかもないです笑