『春よ、来い』(松任谷由実)
【地声最低音】mid1F(F3)
★あm2F[わ]きひF[か]り立つにわかあm1F[め]【Aメロ】
★m1F[い]とし面影の沈丁[花]m2F
【地声最高音】mid2G#(G#4) ※サビで多く登場
★m2G#[は]m2F[る]よ 遠F[き]春よ【サビ】
★m2G#[ま]m2F[ぶ]た 閉じれF[ば]そこ[に]
【補足】mid2Fを含むフレーズ一覧
★それはそれは 空を越えて やがてやがて 迎えに来m2F[る]【Bメロ】
★(愛をくれし君の) なつかしm2F[き]声がする【サビ】
まず、『春よ、来い』(はるよ、こい)についてです。この楽曲は、1994年に女性シンガーソングライターの松任谷由実(まつとうやゆみ)さんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、『THE DANCING SUN』(ザ・ダンシング・サン)に初収録されました。同アルバムは、『Hello,my friend』(過去記事)といった人気曲も収められており、 200万枚を超える記録的なヒットとなりました。
さて、『春よ、来い』はNHK朝の連続テレビ小説『春よ、来い』のために書き下ろされました。楽曲の質も相まって、大きなヒットを記録し、最終的には100万枚を超えるCDセールスを記録しております。松任谷由実さんの作品群でも特に大きなヒットを記録した楽曲の1つです。
『春よ、来い』はこの時期の「春ソング特集」などでも度々取り上げられるなど、今もなお愛される人気曲といえると思います。他のアーティストからも多くカバーされており、松任谷さん自身のベストアルバムなどにも収められております。
『春よ、来い』はしっとりとした切ないポップナンバーです。イントロのピアノフレーズなどは非常に印象的であり、またサビメロがヨナ抜き音階で作られるなど、どこか懐かしさを感じさせる作品となっております。ちなみに、ラストサビではコーラスに童謡の『春よ来い』(相馬御風作詞、弘田龍太郎作曲)が引用されております。そうした点も凝っております。作詞作曲は松任谷由実さん、編曲は夫である松任谷正隆さんによりなされております。
『春よ、来い』の音域的な特徴についてです。同曲は、一般的な女性の音域の範囲内で歌メロが作られております。高音域はmid2G#とJ-POPの女性曲としては低めになります。低音域もmid1Fと女性の音域の範囲内ですが、やや低めです。
『春よ、来い』は一般的な女性が原曲キーで歌唱することも可能ですが、通常は少しキーを上げて歌唱してもよいと思います。2021年には女性歌手の浜崎あゆみさんが同曲をカバーされておりますが、原曲キーから3つ上げたレンジ(mid1G#~hiB)で歌唱されております。こうしたカバーなども参考にされてるとよいと思います。
ちなみに、男性が同曲をカバーする場合、原曲キーでのカバーも可能ではありますが、1998年に男性歌手の槇原敬之さんがカバーされた音域などが参考になると思います。槇原さんは原曲キーから1つ下げたmid1E~mid2Gでカバーされております。
最後に『春よ、来い』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F(F3)~【地声最高音】mid2G#(G#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内でありますが、高音がJ-POPの女性曲としては低めです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1FについてはAメロで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内ですが、やや低めのレンジになります。低音域が苦手な女性などは少し歌いにくく感じられるかもしれません。場合によっては、キーを上げたるなどしてもよいです。
一方、地声最高音mid2G#についてはサビで登場します。楽曲の最後までに20回以上登場するので、回数は多いです。ただ、この辺りは女性の音域の範囲内であり、最近のJ-POPの女性曲としてもそこまで高くありません。そのため、高音域が苦手な女性などでもチャレンジしやすいと言えます。
反面、「標準的~高音域が得意な女性」にとっては原曲キーだと低いといえます。個人差はありますが、一般的にはキーを上げた方が歌唱しやすいのではないかと思います。
『春よ、来い』は音域自体はそこまで広くなく、キー調整はしやすいです。この楽曲は、音楽の教科書などにも収録されたことがあるため、練習曲としても比較的使いやすいといえます。私個人としてもおススメしやすいと思い、今回取り上げることにしました。
松任谷由実さんの楽曲は、女性曲としては高音域がそこまで高くなく、比較的手に付けやすい作品が多い印象です。メロディーなどもよく、親しみやすいです。興味を持たれた方は松任谷さんの他の楽曲なども探してみてください。
『春よ、来い』は楽曲の性質上、カラオケで盛り上がるといった作品ではありません。ただ、どこか懐かしく、この時期にも合いそうな哀愁深い楽曲です。メロディーなども親しみやすく、音域的にも融通が利きやすいです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。